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トップページ教育小ネタ帳>算数・数学の世界 「小町算ってなんだ?」
公開日:2024年03月19日  
更新日:2024年04月04日

算数・数学の世界 「小町算ってなんだ?」

小町算をご存知でしょうか?小町算とは数学パズルの一種で、小野小町に由来して名付けられました。現在では、中学受験の入試問題でも出題されることが多いようです。
この記事は、小学生を教える先生方に向けて、小学生でもわかるように小町算をまとめています。授業の導入などにお使いください。

小町算とは?

\(12+3+4+5-6-7+89=100\)

\(1\times2\times3\times4+5+6+7\times8+9=100\)

のように、1~9までの数字を順番に一度だけ使って、答えがちょうど100になる計算を小町算といいます。

小町算の由来

小野小町おののこまちは、今から1200年程昔の平安時代の歌人です。幼い頃から歌や踊りはもちろん、琴、書道となんでも上手だったそうです。日本では、エジプトのクレオパトラ、中国の楊貴妃ようきひとならんで世界三大美人としても有名です。

小野小町が実際に小町算を解いたかは定かでありませんが、語源は、小野小町が深草少将ふかくさのしょうしょうに「自分のもとに100夜続けて通えば結婚してあげます。」と約束し、その男性が99夜通って、あと1夜というところで亡くなってしまった! という話にちなんでいるという説があります。

一方、ヨーロッパでは、似たような計算を「センチュリーパズル」とよびます。

 

センチュリーとは、一世紀=100年 のことですね。

 

小町算とセンチュリーパズルの違い

ヨーロッパでは1~9までの数字を一度だけ使って答えがちょうど100になるように、帯分数の形にならべた計算式を「センチュリーパズル」とよびます。

$$ 96\frac{1428}{357} = 100 $$

小町算との違いは、
・数字の並びが1から順番でなくても良いこと
・帯分数の形にならべること
です。

小町算の考え方

小町算は、解き方が決まっていません。ひたすら試してみるという解き方になってしまいますが、一部分の計算結果について、

・ケタがより大きい数になるであろう足し算やかけ算を先に考える
・割ったときに割り切れるかどうか考える
・全体の計算結果が100よりもかなり小さい数(例えば負の数)になるか考える

など、計算する順番を考えて解いていくと、うまくいくかもしれません。

例えば、次の小町算で□にあてはまる記号は、あとの【考え方】のようにして解くことができます。

1□2\(\times\)3□4\(+\)5\(+\)6\(□_A\)7\(\times\)8\(□_B\)9\(=\)100

【考え方】

  1. 各部分の計算結果が大きい数になりそうな\(□_A\)\(□_B\)の□に注目する。
  2. ABのいずれかが\(\times\)のとき、左辺の計算結果は100を大きくこえてしまうため、いずれも\(\times\)ではない。
  3. ABのいずれかが\(\div\)のとき、割り切れず計算結果が整数にならないため、いずれも\(\div\)ではない。
  4. Aが\(-\)だと(7\(\times\)8\(=\))56以上の数を引くことになるが、1~5までの計算では、記号をどのようにしても56より大きい数にはならないので、計算結果が負の数になってしまう。そのため、Aは\(-\)ではない。よって、Aは\(+\)となる。

    1□2\(\times\)3□4\(+\)5\(+\)6\(+_A\)7\(\times\)8\(□_B\)
    →1□6□4\(+\)5\(+\)6\(+\)56\(□_B\)

  5. Bは、23より\(+\)か\(-\)となる。
    Bが\(+\)の場合…1□6□4\(+\)5\(+\)6\(+\)56\(+_B\)9=1□6□4\(+\)76
    Bが\(-\)の場合…1□6□4\(+\)5\(+\)6\(+\)56\(-_B\)9=1□6□4\(+\)58

    1□6□4の部分が24か42になる組み合わせを探すと、1\(\times\)6\(\times\)4のとき24となる。よって、答えは次のようになる。

\(1\fbox{×}2\times3\fbox{×}4+5+6\fbox{+}7\times8\fbox{+}9=100\)

小町算の練習問題

和差コース

\(+\)、\(-\)をあてはめましょう。
(1) 123\(-\)45□67□89\(=\)100
(2) 1\(+\)2\(+\)34□5□67□8\(+\)9\(=\)100
(3) 98\(-\)7\(+\)6□5□4□3□2\(+\)1\(=\)100

四則コース

\(+\)、\(-\)、\(\times\)、\(\div\)をあてはめましょう。
(4) 12\(+\)3□4□5\(+\)6□7□8\(+\)9\(=\)100
(5)(1\(+\)2)□3\(\times\)4□(56□7□8\(+\)9)\(=\)100

答え

(1) \(123-45\fbox{−}67\fbox{+}89=100\)

【考え方】
123\(-\)45□67□89\(=\)100

  1. □は\(+\)か\(-\)なので、はじめから決まっている計算123\(-\)45から考える。
  2. 123\(-\)45\(=\)78を100から引いた数(22)が、89\(-\)67の答えと同じであることを見つける。

(2) \(1+2+34\fbox{−}5\fbox{+}67\fbox{−}8+9=100\)

【考え方】
1\(+\)2\(+\)34□5□67□8\(+\)9\(=\)100

  1. (1)と同様に、□は\(+\)か\(-\)なので、1\(+\)2\(+\)34\(+\)9から考える。
  2. 1\(+\)2\(+\)34\(+\)9\(=\)46を100から引いた数(54)が、67\(-\)8\(-\)5の答えと同じであることを見つける。

(3) \(98-7+6\fbox{+}5\fbox{−}4\fbox{+}3\fbox{−}2+1=100\)

【考え方】
98\(-\)7\(+\)6□5□4□3□2\(+\)1\(=\)100

  1. (1)と同様に、□は\(+\)か\(-\)なので、98\(-\)7\(+\)6\(+\)1から考える。
  2. 98\(-\)7\(+\)6\(+\)1\(=\)98を100から引いた数(2)が、5\(-\)4\(+\)3\(-\)2の答えと同じであることを見つける。

(4) \(12+3\fbox{×}4\fbox{+}5+6\fbox{+}7\fbox{×}8+9=100\)

【考え方】
12\(+\)3\(□_A\)\(□_B\)5\(+\)6\(□_C\)\(□_D\)8\(+\)9\(=\)100

  1. まずADのいずれかが\(\div\)のとき、割り切れず計算結果は整数にならないため、いずれも\(\div\)ではない。
  2. 次に、はじめから決まっている計算12\(+\)9を考える。12\(+\)9\(=\)21を100から引いた数(79)を、残った数の組み合わせ(\(+\)3\(□_A\)\(□_B\)5\(+\)6\(□_C\)\(□_D\))から見つける。
  3. 仮にADがすべて\(+\)だったとすると、残った数の計算結果は33になり、79よりも小さくなってしまうので、どこかで\(\times\)をあてはめて、計算結果を大きくする必要がある。
  4. 逆にすべて\(\times\)とすると、残った数の計算結果は396となり、79をこえてしまうので、\(\times\)と\(+\)(もしくは\(-\))の組み合わせであることがわかる。
  5. より大きくなる計算から考えていくと、7\(×_D\)8\(=\)56となり、
    \(□_A\)\(□_B\)5\(+\)6\(□_C\)56\(=\)79 となる。
  6. Cが\(\times\)だとすると、79を大きくこえてしまう。またCが\(-\)だとすると、負の数になってしまう。よって、Cは\(+\)であることがわかる。
  7. \(□_A\)\(□_B\)5\(+\)6\(+_C\)56\(=\)79となるので、6\(+\)56\(=\)62を79から引いた数(17)を、残った数の組み合わせ(3\(□_A\)\(□_B\)5)から見つける。

(5) \((1+2)\fbox{÷}3\times4\fbox{×}(56\fbox{÷}7\fbox{+}8+9)=100\)
【別解】
\((1+2)\fbox{×}3\times4\fbox{+}(56\fbox{+}7\fbox{−}8+9)=100\)

【考え方】
(1\(+\)2)\(□_A\)3\(\times\)4\(□_B\)(56\(□_C\)\(□_D\)8\(+\)9)\(=\)100

  1. (1\(+\)2)を先に計算するということは、Aには\(\times\)か\(\div\)が入る。

Aが\(\div\)のとき

  1. (1\(+\)2)\(÷_A\)3\(\times\)4\(=\)4となり、Bが\(\div\)、\(-\)だと答えが100にならないため不適。よって、Bは\(+\)または\(\times\)となる。
  2. Bが\(+\)のとき、4\(+_B\)(56\(□_C\)\(□_D\)8\(+\)9)\(=\)100 となるが、4を100から引いた数(96)は残った数の組み合わせ(56\(□_C\)\(□_D\)8\(+\)9)からは見つけられないので、不適。
  3. 次にBが\(\times\)のとき、4\(×_B\)(56\(□_C\)\(□_D\)8\(+\)9)\(=\)100 となるので、100を4で割った数(25)を残った数の組み合わせ(56\(□_C\)\(□_D\)8\(+\)9)から見つける。

【別解】Aが\(\times\)のとき

  1. (1\(+\)2)\(×_A\)3\(\times\)4\(=\)36となり、Bが\(\times\)、\(\div\)、\(-\)だと答えが100にならないため不適。よって、Bは\(+\)となる。
  2. 36\(+\)(56\(□_C\)\(□_D\)8\(+\)9)\(=\)100 となったので、36を100から引いた数(64)を残った数の組み合わせ(56\(□_C\)\(□_D\)8\(+\)9)から見つける。

もっと考えてみよう!

今回は1~9まで数字を順番に一度だけ使って答えがちょうど100になる小町算をご紹介しました。

美しくならんだ数字を計算すると、これまたきれいな数字の結果が出てくる(上の例では100!)というのは感動さえおぼえます。

小町算以外にも「111\(\times\)111=12321」(答えが1・2・3・2・1!)なども面白い計算です。また、自動車のナンバープレートの数字やカレンダーの日付など数字で10をつくることは、みなさんも経験がありませんか?

 

きれいにならんだ数字を計算してみて、100ぴったりになるのは気持ちいいですね。

 
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