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公開日:2024年02月06日  
更新日:2024年03月08日

添削者直伝! 作文・小論文で間違いやすい漢字・語句・表現

中学・高校の入試に作文(または小論文)が出題される傾向が強まっています。入試作文(小論文)の採点は基本的に減点方式。つまり、その減点をいかに抑えられるかが合否に大きく影響します。今回は、すぐに役立つ、作文・小論文で点数を落とさないための情報をお届けします。

間違いやすい漢字ベスト3 〜小学生編〜

小学生にありがちな間違いの第1位は「達」。線が一本足りない間違いが圧倒的に多いです。「土の下に羊」と教えるのはどうでしょうか。

第2位は「早」・「速」。これらは国語の問題にも出されますが、作文でも「早」と「速」の漢字の使い分けの間違いが多く見られます。漢字の意味を意識することが大切です。迷ったときには、ひらがなで書くことも一つの方法。ただし、あまりにひらがなが多いと減点される場合もあるので注意が必要です。

第3位は「代」。こちらも漢字の意味をしっかりと理解しておくことが大切です。

間違いやすい語句・表現ベスト3 〜小学生編〜

誤り例正しい例
1位なのでだから、それで、このように など
2位あとまた、さらに など
3位…しずらい…しづらい

小学生に限らず間違いがとても多いのが、文頭の「なので」です。作文・小論文では口語は用いないことが基本ですが、最も使ってしまいがちな口語がこれと言ってもよいでしょう。日常生活でよく使う言葉のため、違和感なく使ってしまう人が多いようです。

また、「なので」をどのような表現に直すのかについても注意が必要。「なので」の代わりに「だから」を使う、と覚えるだけでなく、伝えたいことがきちんと伝わる表現かどうか、意識して使うことが大切です。次の二つの例を見てください。

【誤】私はスポーツが得意です。なので、学校の行事で好きなものは運動会です。
【正】私はスポーツが得意です。だから(それで)、学校の行事で好きなものは運動会です。
【誤】私は学校の代表として水泳大会に出場しました。また、サッカーチームに入っていて、レギュラーとして活躍しています。なので、私はスポーツが得意です。
【正】私は学校の代表として水泳大会に出場しました。また、サッカーチームに入っていて、レギュラーとして活躍しています。このように(以上のように)、私はスポーツが得意です。

どちらも文頭の「なので」 を修正していますが、修正後の正しい表現は異なります。一つ目の例は、順接の接続語の用法です。前の文が後ろの文の原因や理由であることを示しています。

二つ目の例は、これから結論を述べる場合の表現です。ここで「だから」のような順接の接続語を使ってしまうと、作文の流れが変わってしまうので注意が必要です。

第2位は、「あと」です。間違いが多い理由は、「なので」と同じく日常生活での使用頻度が高いためです。

第3位は「ず」と「づ」の使い分けです。「…しづらい」以外に、「おこづかい」「言葉づかい」も間違いやすいポイント。その言葉の意味を意識すれば間違いを防ぐことができます。「…しづらい」は何かをすることが「つらい」から「づ」。「おこづかい」や「言葉づかい」はお金や言葉を「つかう」ことだから「づ」です。

間違いやすい漢字ベスト3 〜中学生編〜

中学生編、不動の1位は「〜にも関わらず」。大人の小論文でも多く見られる間違いです。正しい漢字表記は「拘らず」ですが、作文・小論文では「かかわらず」とひらがなで書くのが一般的。最近ではテレビ番組のテロップやお店の掲示物など、さまざまな場面で「関わらず」が用いられているのを見かけますが、入試では使わないほうが無難です。

第2位は「環」。土へんにしてしまう間違いが多いです。つくりを間違えている場合もあります。環境問題はテーマとなる確率が高いので、対策が必要です。

第3位は「例え〜だとしても」。この場合の「たとえ」の正しい漢字表記は「仮令」ですが、ひらがなで書くことが望ましいです。

間違いやすい語句・表現ベスト3 〜中学生編〜

誤り例正しい例
1位まず第一にまず(第一に)
2位割合が多い/少ない割合が大きい/小さい、高い/低い
3位…だけに限らず…だけでなく、…に限らず

第1位は「まず第一に」です。一見問題なさそうですが、実は重複表現です。「まず」も「第一に」も同じ内容を言い表しているため、どちらかにしたほうが簡潔で適切な表現となります。同様に、「まずはじめに」「まず一点目に」などの表現にも注意が必要です。

第2位は「割合が多い」です。中学生になると、データを引用して理由を説明しながら意見を述べる文章が多くなります。それに伴って増える間違いです。同様に、「確率」の場合は「大きい/小さい」または「高い/低い」で表現しましょう。

第3位は「…だけに限らず」です。こちらも「まず第一に」と同様、つい使ってしまいがちな重複表現です。

入試直前、ここもチェック!

ほかにも、最後に見直すだけで減点を抑えられるポイントを二つ紹介します。

1. たりの用法

次の例も、小・中学生の作文・小論文で非常によく見られる間違いです。

【誤】私は家の中で過ごすことが好きで、いつも自分の部屋で本を読んだり、リビングで弟や妹といっしょにゲームをします。

「たり」は基本的に繰り返して並列を表します。「私は本を読んだりゲームをします。」のように、修飾語が少ない短い文では違和感を感じやすいですが、文が長くなればなるほど見落としがちになります。正しくは、次の通り。

【正】私は家の中で過ごすことが好きで、いつも自分の部屋で本を読んだり、リビングで弟や妹といっしょにゲームをしたりします。

または、「たり」を1回だけ使って例示を表す場合もあります。

【正】私は家の中で過ごすことが好きで、いつも自分の部屋で本を読んだりしています。

この場合、家の中での過ごし方の一例として読書を挙げていて、他にも過ごし方があることを暗に表しています。例示の「たり」です。ただし、「たり」を何となく使ってしまうのはNG!

【誤】私は家の中で過ごすことが好きだったりします。

普段の会話では、よく聞く表現です。この「たり」は「好きだ」に係っています。この場合、「好きだ」という感情以外に例を示していると考えると「嫌い」や「どちらでもない」という感情がありますが、それらを例示しているとは考えにくいため、この「たり」の使い方はやはりおかしいということになります。何となくで「たり」を使うのは間違いの元になるだけでなく、文章表現があいまいな印象になってしまうので注意が必要です。

2. ら抜き言葉

もう一つ、よくある間違いは「ら抜き言葉」です。小学生を中心に、普段話している言葉がそのまま書き言葉として正しいと思っている人が多く見られます。作文・小論文対策としては、特に次の言葉を押さえておくとよいでしょう。

【誤】考えれる    →    【正】考えられる
【誤】見れる     →    【正】見られる
【誤】抑えれる    →    【正】抑えられる
【誤】決めれる    →    【正】決められる
【誤】食べれる    →    【正】食べられる

ら抜き言葉は習慣です。普段の会話から正していくと、いざ文章を書くときにも役立ちます。

まとめ

ここまで、作文・小論文入試で減点を抑えれる方法をお伝えしてきましたが、これらのポイントを本番で活かすために大切なのは見直しの時間です。時間配分を意識することが重要です。さて、この段落で一つ、ら抜き言葉に気づけましたか?

執筆:NPO現代用語検定協会

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