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公開日:2024年04月09日  
更新日:2024年04月18日

算数・数学の世界 「誕生日パラドックス」

クラスや学年などで何十人かが集まると、同じ誕生日の人達がいる、ということが時折起こります。一方で、自分と同じ誕生日の人がいることは、ほとんどないような気がしませんか?
それは、自分と同じ誕生日の人が少ないからでしょうか?それとも別の理由があるのでしょうか?確率を使って、その理由を考えてみましょう。
この記事は、高校生以上を教える先生方に向けて、確率に関する問題をいくつか紹介しています。授業の導入などにお使いください。

同じ誕生日の人が2人いる確率は?

無作為に30人を集めたとき、誕生日が同じである2人の組は少なくとも1組いるでしょうか?それともいないでしょうか?
1年を365日とすると、1月1日から12月31日まで、異なる誕生日は全部で365通りあるわけだから、30人では感覚的に「いない」と考える人が多いのではないでしょうか。
ところがこの場合、誕生日が同じである2人の組は、70%以上の確率でいることになります。
今回は、すべての日付の出生率が同じとして、このことを確率の計算を使って確認してみましょう。

30人全員の誕生日が違う確率

まず、30人全員の誕生日がそれぞれ違う確率を求めます。 はじめに、30人の中から適当に1人の人を選びます。次に、もう1人の人を選ぶと、この人が1人目と違う誕生日である確率は\(\frac{364}{365}\)となります。つぎに3人目を選び、この人が1人目、2人目と違う誕生日である確率は\(\frac{363}{365}\)、さらに4人目が1、2、3人目と違う誕生日である確率は\(\frac{362}{365}\)となり、次々に続けていくと、最後の30人目が1、2、……、29人目と違う誕生日である確率は\(\frac{336}{365}\)となります。したがって、30人全員が違う誕生日である確率は、

$$\frac{364}{365}\times\frac{363}{365}\times\frac{362}{365}\times … … \times\frac{336}{365}=0.29368 … …→約29\%$$

となります。
つまり、30人がそれぞれバラバラの誕生日である確率は、約29%であり、逆に71%の確率で同じ誕生日の2人組が少なくとも1組はいることになるのです。

意外に高い確率で同じ誕生日の人がいるものだと思いませんか?

ちなみに、23人集まれば約50%の確率で同じ誕生日の2人組がいることになり、50人集まれば約97%の確率で同じ誕生日の2人組がいることになります。(グラフ参照)

あなたと同じ誕生日の人がいる確率は?

しかし、これは自分と同じ誕生日の人がいる確率とは違います。
あなたを含めた30人の中に、あなたと同じ誕生日の人がいる確率は次のようになります。

あなた以外の29人の中から1人目をつれてきます。この人があなたと違う誕生日である確率は、\(\frac{364}{365}\)です。2人目をつれてきて、この人もあなたと違う誕生日である確率は\(\frac{364}{365}\)です。同様に、29人の1人1人について、あなたと違う誕生日である確率はそれぞれ\(\frac{364}{365}\)だから、29人全員があなたと違う誕生日である確率は、

$$\frac{364}{365}\times\frac{364}{365}\times … … \times\frac{364}{365}$$

と\(\frac{364}{365}\)を29回掛け合わせた値となり、この値は\(0.923 … …\)となります。 つまり、あなたと同じ誕生日の人がいる確率は8%以下ということになります。

もっと考えてみよう!

あなたの学校のクラスの中に、あなたと同じ誕生日の人が少なくとも1人いるおよその確率を計算してみましょう。

(ヒント:\(\frac{364}{365}=0.997\)として、電卓で計算しましょう。)

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