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公開日:2026年08月26日  
更新日:2026年08月25日

最新時事から考えてみよう!「環境問題・自然災害の現状」

この記事では、「環境問題・自然災害の現状」の時事解説を小学校高学年~中学生にわかりやすく説明します。授業の合間に話すネタ、関連事項を解説する際の資料などとしてご活用ください。

雨風による自然災害は激甚化しており、事前防災はますます重要に!

近年、世界各地で極端な気象状況がもたらす大規模な自然災害が相次いでいます。「今までにこんな大雨はなかった」「こんな場所で浸水が起こるとは思わなかった」という言葉をよく耳にするようになったのではないでしょうか。また、2026年7月には、過去最長となる5日連続で全国のいずれかの地点で40℃以上の酷暑日を観測するなど夏場の暑さも厳しくなっています。深刻な自然災害は私たちの生命や財産の安全をおびやかし、社会活動や経済活動に深刻な影響を及ぼします。自然災害から自分の命や生活を守るためにはどうしたらよいのでしょうか。自然災害の状況や影響とともに、私たちができる対策についても考えてみましょう。

雨風による自然災害はどのような状況になっているの?

世界各地で自然災害が発生していますが、特に暴風雨や洪水、それに伴う土石流の発生といった風雨によるものが相次いでいます。その大きな要因となっているのが地球温暖化です。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第6次評価報告書によると、世界中のすべての地域で気候変動によって極端な暑さや激しい雨、火災の発生しやすい気象条件の増加、干ばつなどが起きています。

2025年も世界各地で高温が記録され、暴風雨や洪水による自然災害が発生しました。インドを中心とするモンスーンによる記録的な豪雨による洪水や土石流、中国の豪雨による洪水、中部アフリカ地域の洪水や地滑りなどで多くの人命が失われています。

日本でも2025年の夏(6~8月)の3か月平均気温は統計開始(1898年)以来1位の高温となりました。また、国土交通省の「水害レポート2025」によると、8月に発生した北陸から九州地方にかけての記録的な大雨では1,168棟が床上浸水となり、土砂災害で199戸が被害を受けています。そして9月に発生した台風第15号などによる大雨では、各地で線状降水帯が発生し、全国で1,627棟が床上浸水しています。 日本ではこのような自然災害による被害が毎年発生しています。近年、大規模な被害をもたらしたケースとしては、2023年の梅雨前線による大雨で、期間中の総雨量が大分県、佐賀県、福岡県で1200mmを超えて118河川が氾濫し、全国で397件の土砂災害が発生しており、2024年に発生した台風10号では、期間中の総雨量が東海地方や九州南部で900mmを超えて42河川で氾濫し、全国で157件の土砂災害が発生しています。2014年~2023年の10年間で見ると、全国の約97%の市区町村で水害・土砂災害が1回以上発生している状況です。

雨風による自然災害はなぜひどくなっているの?

では、日本において浸水や河川の氾濫、土砂災害といった深刻な被害の発生原因となる雨の降り方はどのように変化しているのでしょうか。

気象庁によると、1時間降水量が50mm以上の大雨は、最近10年間(2016~2025年)の年間平均発生回数が約340回となっており、1976~1985年の約226回と比べて約1.5倍増えています。また、1時間降水量が80mm以上、3時間降水量が150mm以上、1日降水量が300mm以上などの強い雨は、1980年頃と比較しておおむね2倍程度に増加しています。なお、気象庁では1時間に50mm以上80mm未満の雨を「非常に激しい雨」、80mm以上の雨を「猛烈な雨」と定義しています。

このような雨の量の変化の要因には、気温の上昇が挙げられています。空気は気温が高くなるほど水蒸気を多く含むため、気温が高くなることで降水量が増えます。日本の年平均気温は1898〜2025年の間で1.44℃上昇していますが、特に1990年代以降、高温となる年がたびたびあります。

また、雨の量には海面の水温も影響してきます。2025年までの海域平均海面水温(年平均)の上昇率は、100年あたり1.36℃上昇しています。また、近年、「令和元年東日本台風」を始めとする大型で猛烈な台風が発生するケースも出ていますが、台風は海からエネルギーとなる水蒸気を受け取って発達するため、海面水温が高いほど強い台風に発達する傾向があります。気温や海面温度が上昇していることで以前よりも激しい雨が降ったり、大型の台風が発生したりする確率が高まる傾向にあるのです。次の表は環境省が「令和元年東日本台風」を例に、地球温暖化が進行して気温が上昇した場合にどのような影響をもたらすのか、スーパーコンピュータで行った予測です。

実際の台風2℃気温が上昇した場合4℃気温が上昇した場合
東京湾付近の中心気圧965hPa平均4.3hPa低下平均11.3hPa低下
累積降水量(神奈川県箱根で総降水量が1000mm超え、17地点で500mm超え)平均4.4%増加平均19.8%増加
最大風速34.8m/s(東京都大田区羽田)約2.5m/s増加約3.1m/s増加
河川の最大流量(阿武隈川水系で河川整備基本方針の流量を超過した)平均10%上昇平均23%上昇
高潮の最大潮位偏差+1.6m(東京都中央区)平均1.1%上昇平均21.4%上昇

(環境省「勢力を増す台風2023」より抜粋・作成)

この予測を見ても、将来的に地球温暖化による気温の上昇が進んだ場合、降雨量が増えたり台風が大型化したりするなどして、被害がさらに大きくなっていくことが想定できるでしょう。

自然災害に備える

自然災害が深刻さを増す中で、被害を未然に防ぎ被害を軽減していく防災対策の重要性が高まっています。防災対策には国や行政の取り組み(公助)、地域社会やコミュニティでの一緒の取り組み(共助)、自分自身の取り組み(自助)の3つがありますが、この3つが連携して、それぞれの立場で取り組んでいくことが必要です。

重要さを増す「事前防災」

2026年7月、「防災庁」を設置する法律が成立し、11月の発足を目指して準備が進められています。防災庁は徹底した事前防災、災害発生時から復旧・復興までの一貫した災害対策の司令塔と位置づけられています。「事前防災」とは災害によって生じる被害の未然の防止・軽減(被害の予防・軽減)と災害発生後の被害拡大や社会・経済への影響を防止・軽減(事前準備)するために平時から行う取り組みで、この考え方が重要さを増しています。

近年、前例がないため過去の経験が生かされない災害の発生が増加する確率が高まっています。その対策として2020年には「気候変動を踏まえた水災害対策のあり方」についての提言が取りまとめられました。これまで、洪水や排水路などの内水氾濫、土砂災害、高潮などを防ぐ計画は、過去の雨の量や潮位などのデータに基づいて作成されてきました。しかし、前述の環境省の台風の予測結果でもわかるように、気候変動の影響による雨の量の増大などを考えると、これまで通りのやり方では安全が確保できない可能性が出ています。そのため、将来の気候変動を踏まえた計画に見直していくことが提言され、その方針のもと治水計画が進められています。

治水計画の見直しの他にも、地震に備えた建物の耐震化・不燃化、避難路の確保など災害に強い都市計画、主要交通や通信機能の強化、安全な避難所の開設や備蓄品の確保など、「防災基本計画」をもとに国や自治体で取り組みが行われています。この防災基本計画は過去に起こった大規模災害の教訓を踏まえるとともに科学的な知見から起こり得る災害とそれによって引き起こされる被害を想定して定期的に計画が見直されています。

防災標識を知っていますか?

国や自治体によって進められている防災対策の一つとして安全に避難できるようにするために「防災標識」が設置されています。防災標識は、この地域ではどのような危険が起こりえるのか、避難場所がどのような災害に対応しているのかが誰にでもわかるようなマークになっています。

例えば、災害の種類を表す記号としては次の7種類が決められています。

また、避難場所や避難所を示す記号は、次のように決められています。

出典:図版1,2国土交通省「防災標識」

「避難場所」とは「緊急的に避難する場所」で、「避難所」は避難してきた人が一定期間滞在するための施設となります。

そして、避難場所や避難所には防災標識と組み合わせて、次のように避難を誘導する標識が設置されています。右側の標識は避難場所に設けられるものですが、表示は「土石流」「がけ崩れ・地滑り」の場合の避難場所となり、「洪水」「高潮/津波」「大規模な火事」の場合の避難場所にはならないことを示しています。

出典:内閣府「避難場所等の図記号の標準化の取組」https://www.bousai.go.jp/kyoiku/zukigo

多くの学校は避難場所や避難所になっているため、学校にこのような表示がされているのを見たことあるかもしれません。また、通学路など街中でも誘導するための標識を見かけたことがあるかもしれません。自分の身の回りにある防災標識を改めて意識して、その意味を理解しておくことで、いざというときに備えましょう。

ポイントを確認しよう

雨風による災害に加え、地震も多い日本では、いつどこでどんな自然災害が起こり得るか、それが自分自身に関係してくるか、常に注意を払う必要があります。地球温暖化の進行によって、極端な自然災害が起こるリスクがますます高まっている現在、最悪の事態を考えて備えることが大切です。2026年5月29日には新たな防災気象情報の運用も開始されました。新たな防災気象情報では、とるべき避難行動をわかりやすくするための警戒レベルがつけられて発表されています。日ごろから自分の住んでいる地域のハザードマップや避難場所への経路を確認するなどして、いざというときに命を守る行動につなげられるようにしましょう。

※執筆:NPO現代用語検定協会

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