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「子どもたちが、やりがいや楽しさを感じながら取り組める発表にしたい」
「クラスでの成長や学びの成果が、しっかり伝わる発表会にするには?」
そんな想いを胸に、学習発表会の出し物を考えている先生も多いのではないでしょうか。
しかし、実際に出し物を決めようとすると、「どんなネタが、子どもたちに合っているだろう?」「準備や指導を、教師としてどんなふうに進めればいい?」と、迷う場面もありますよね。
そこでこの記事では、子どもたちが意欲的に取り組める出し物の選び方や、小学校の学年ごとにおすすめの学習発表会アイデアを紹介し、指導のコツをお伝えします。
子どもたちにとっても保護者の方にとっても心に残る、充実した学習発表会づくりのヒントになれば幸いです。
学習発表会の出し物、どう選ぶ?|ネタを決めるポイントを整理
学習発表会の出し物を決める際は、前年度と異なるものや、見栄えがするものを選びたいですよね。それだけでなく、子どもたちの学びや成長につながる内容かどうか、という視点も大切にしたいものです。
そこで、以下の2つの視点からネタを考えていくのがおすすめです。
学習発表会の「ねらい」を明確にしよう
出し物を決める前に、「この学習発表会を通して、子どもたちのどんな力を育てたいか」という視点に立ち返りましょう。表現力・思考力・協働性・主体性など、育てたい資質・能力によって、出し物の内容や形式、進め方の工夫は変わってきます。
たとえば、
- 低学年:「学んだことを自分の言葉で伝える力」
- 中学年:「仲間と協力して形にする力」
- 高学年:「自分の考えを論理的に伝える力」
というように、ねらいをあらかじめ共有しておくことで、各学年や各クラスの方向性に一貫性が生まれます。ねらいがはっきりすると、出し物の形や構成もぶれにくくなり、指導する中で何を大切にすべきかが見えてきます。
なお、学習発表会のねらいについては、学習指導要領において「学校行事」の「文化的行事」の項を参考にするとよいでしょう。文部科学省により、以下のように示されています。
平素の学習活動の成果を発表し、その向上の意欲を一層高めたり、文化や芸術に親しんだりするような活動を行うこと。
(引用元:学習指導要領「生きる力」第6章 特別活動/第2 各活動・学校行事の目標及び内容
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/syo/toku.htm)
つまり、学習発表会は、日頃の学びや取り組みの成果を見せる場であると同時に、子どもたちに成長を促す学びの機会でもあるのです。育てたい資質・能力を明確にして、子どもたちに合った出し物を選ぶことが大切です。
子どもが力を発揮しやすい発表の仕方を選ぼう
出し物を決める際は、発表のねらいに応じて、子どもたちが力を発揮しやすい表現方法を選ぶことが大切です。学年やクラスの雰囲気、各児童の性格や特性によっても、取り組みやすい方法は異なります。
たとえば、
- おだやかで控えめな子が多いなら、群読や合唱など、個人が目立つよりもみんなで合わせて表現する形式を
- 表現することが好きな子が多いなら、劇やプレゼン・スピーチなど、一人ひとりが自分の言葉や動きで表現できる形式を
- 活動的で積極性のある子が多いクラスなら、ダンスや楽器演奏(合奏)など、身体を使って見せるパフォーマンス形式を
というように、子どもたちが無理なく自分を表現できる発表の仕方を考えるとよいでしょう。
また、クラスとしての一体感を意識して、子どもたちが協力し合える発表の形式を選ぶことで、一人ひとりが自然と前向きに取り組めるようになります。
出し物の選び方に正解はありません。大切なのは、子どもたちにとって意味のある経験になるかどうか。ねらいや表現方法を丁寧に考えることが、発表への意欲やクラスの一体感にもつながっていきます。
小学校の学習発表会におすすめ|学年別アイデア集
学習発表会の出し物は、学年やクラスの子どもたちの実態に合っていることが大切です。無理のない内容を選ぶことで、子どもたちが安心して力を発揮でき、自信をもてる発表につながります。
ここでは、小学校の低学年・中学年・高学年のそれぞれに合った、おすすめの出し物アイデアを紹介します。
低学年におすすめの出し物アイデア
1・2年生は特に、楽しく活動を経験しながら、言葉や動きで気持ちを伝える力を育むことが、成長につながります。学習発表会では、子どもたちが表現する喜びや、クラスで活動に取り組む楽しさを感じられるようにしたいですね。そのため、低学年では次のような出し物がおすすめです。
- 言葉や動きに「意味」があることを、子ども自身が実感できるもの
- 「大きな声で言えた」「動きがそろった」といった、小さな成功体験を積み重ねやすいもの
このような視点で出し物を選ぶことで、子どもたちが達成感や自信を味わいやすくなり、意欲的に取り組めるようになります。
みんなで声を合わせて伝える群読
国語の題材や季節の詩などを、みんなで声をそろえて読む発表です。
言葉のリズムや抑揚、さらに動作をつけることで、聴く人の心に伝わる表現になり、子どもたちの表現力を培うでしょう。また、集団で声の大きさやタイミング、身体の動きを合わせる体験は、協調性を育てることにもつながります。
手話をつけた歌
「にじ」「ありがとうの花」など、子どもたちにとって親しみのある歌に手話をつけて発表します。手話を取り入れることで表現に新鮮さが生まれ、歌詞の意味を考え深めながら伝える力も育ちます。
手話に限らずとも、音楽に合わせて身体で歌のメッセージを表現する経験は、楽しさや一体感を味わえる貴重な時間となるでしょう。
昔話などを短いセリフで演じる劇
『おむすびころりん』などの昔話や、生活科で学んだ内容などを、短いセリフで構成した劇形式で表現します。セリフを言って演じるだけでなく、各場面の背景や登場人物の気持ちについて考える時間も大切にしましょう。
セリフは短めにすることで、低学年の子でも無理なく取り組めます。また、短いセリフで内容を伝えるには、動きや表情で気持ちを表すことも求められるため、表現力も育まれるでしょう。
身近な楽器を使った合奏
リコーダー、ピアニカ、カスタネット、タンバリン、トライアングルなどの身近な楽器を使い、曲を演奏する発表です。一人ひとりが担当する楽器の音を大切にしながら、みんなでひとつの音楽をつくり上げる経験ができます。
音がそろったときの達成感は、子どもたちにとって自信や充実感につながるでしょう。
中学年におすすめの出し物アイデア
3・4年生は、仲間と協力して何かをつくり上げる経験を大切にしたい時期です。総合的な学習や教科で学んだことを自分たちでまとめ、表現する活動にも挑戦できる年齢になっています。
そのため、中学年の学習発表会では、
- 調べたことをみんなで発表する
- 複数人で構成を考える
- 役割分担をする
など、協働的な要素が含まれた出し物がおすすめです。
配役や担当決め、構成づくりなどに子どもたちの意見を取り入れながら進めることで、一人ひとりが自分の役割を意識して取り組むことができます。協働の楽しさと、責任感の両方を味わえる発表になるでしょう。
調べ学習で分かったことを工夫して発表
総合的な学習や社会科などで学んだテーマをもとに、「クイズ」「スライド」「ペープサート(紙、割り箸などを使って行う人形劇)」「ポスターセッション」などの形で発表します。
学習発表会で扱うテーマとしては、地域の名所や歴史、行事などや、身近なSDGsなどもおすすめです。
「どんな順番で見せると分かりやすいか」「どうすれば興味を持ってもらえるか」といった視点を持つことで、聴き手を意識した伝え方が身につきます。
「調べ学習」について詳しく知りたい方は、こちらの記事が参考になります。
▶️【小学生向け】調べ学習の進め方|子どもの主体性を育てる授業づくりガイド
物語を自分たちでアレンジした創作劇
国語の教材や身近な物語をもとに、自分たちで続きを考えたり、登場人物の視点や立場を変えたりした創作劇として発表します。
たとえば、『ごんぎつね』や『モチモチの木』の「その後」を想像して演じるのも面白いでしょう。
物語への理解を深めつつ、自分たちの考えを反映させた構成にすることで、思考力や表現力の育成にもつながります。
学んだことをテーマにした歌や劇
環境や防災など社会的なテーマについて学んだことを、歌やリズム、簡単な振り付けと組み合わせて発表する方法です。たとえば、学んだ内容を替え歌にして歌ったり、リズム劇で伝えたりするのもおすすめです。
楽しさの中に学びを盛り込みながら、創意工夫を凝らして伝える力や、クラスの一体感を育むことができるでしょう。
高学年におすすめの出し物アイデア
5・6年生では、自分の考えを広げたり、社会との関わりに目を向けたりできるよう、学習内容も発展的になります。学習発表会でも、これまでの学びをもとに「伝えたいメッセージ」や「問いかけ」を意識した取り組みに挑戦することで、よりやりがいのある活動になります。
また、役割分担や構成づくり、スライド作成、照明・音響などの係活動も含めて、クラス全体で協力し合い子どもたちだけで運営する形で進めることも可能です。自分たちの手でつくり上げる体験が、達成感やクラスの一体感につながっていくでしょう。
調べ学習を通して考えたことのプレゼン
高学年の調べ学習の発表では、分かった情報を伝えるだけでなく、自分の考えや、聴き手への問いかけを盛り込む構成にすると深みが出ます。
スライドや写真を活用し、学習を通じて分かったこと・考えたことをプレゼン形式で発表してみましょう。タブレットやプロジェクターを使うことで、情報の整理や伝え方の工夫も学ぶことができます。
テーマの例としては、以下のようなものが挙げられます。
- 「食品ロスを減らすには?」
- 「地元の魅力を発信しよう」
ナレーション・スライド操作・発表の進行役など、役割分担しながら進めることで、チームでプロジェクトを進める力も育まれるでしょう。
社会的なテーマに迫る創作劇やドキュメンタリー劇
劇の形式を選ぶ場合、環境問題や人権、福祉などの社会的テーマを扱うことは、発表当日までの過程そのものが学習のプロセスになります。ドラマ的な構成がむずかしい場合、インタビュー形式やニュース番組風などに仕立てるのも、メッセージを伝えやすいアイデアです。
たとえば、
- 「子ども食堂って、どんな場所?」
- 「SNSとのつき合い方」
といったテーマがおすすめです。メッセージ性や表現力が求められる内容だからこそ、子どもたちの意識や協力も自然と高まっていきます。
合唱×映像×振り付けやダンスなどの発表
メッセージ性のある楽曲を選び、合唱をベースに、曲のテーマに合ったスライドや映像、ダンス、メッセージによる呼びかけなどを組み合わせ、総合的な演出による発表にチャレンジするのもおすすめです。歌うチーム、ダンスチーム、映像チーム、ナレーション…と、各パートに分かれて練習したり、構成について話し合ったりすることで、クラス全体で一つの作品をつくり上げる達成感が味わえます。
みんなで決めたひとつのテーマに対し、自分の得意分野を活かした表現で参加する経験は、子どもたちにとって印象深いものになるでしょう。
それぞれの学年の特徴をふまえて、子どもたちが「やってよかった!」と思える出し物を選べるとよいですね。
学習発表会を成功させるために|準備・練習・本番の進め方
学習発表会の出し物が決まったら、いよいよ本番に向けての準備や練習が始まります。準備や練習は、子どもたちにとって大きな学びの場でもあります。
発表会を成功させるためには、先生が各段階で「子どもが安心して力を発揮できる環境」を整えることが大切です。
ここでは、準備・練習・本番それぞれの段階で、先生が意識しておきたいポイントをご紹介します。
【準備】構成や役割を、子どもと一緒に考えよう
出し物のジャンルや大まかな方向性(劇・群読・プレゼン形式など)は、発達段階や育てたい力を踏まえて先生が決めることが多いでしょう。しかし、その先の準備まで自分でやってしまっては、子どもたちの主体性は育ちません。
「どう表現するか」「どんなふうに伝えるか」といった構成や演出の部分は、発表の主役となる子どもたちと一緒に考えていきましょう。
たとえば、次のような活動を通して、子どもたちの主体性を引き出すことができます。
- 台本やセリフのアイデア出し
- 小道具やスライドなどの演出の工夫
- 演者・ナレーター・音響・スライド係などの役割分担
あらかじめ、発表のねらいや時間、人数などの条件を整理しておくと、進行がスムーズになります。
クラス全体や運営係の子どもたちと相談しながら進めていくことで、「自分たちでつくっている」という実感が生まれ、意欲ややりがいもぐっと高まっていきます。
【練習】小さな成功体験を積み重ねよう
構成が決まったら、いよいよ練習です。この段階で大切にしたいのは、単に上達を目指すのではなく、子どもたちが「できた」を実感できる環境づくりです。
たとえば、次のような工夫が効果的です。
- 練習前に「今日のめあてカード」を使って目標意識を高める
- 練習後に「よかったところ・次にがんばること」をカードに書いて振り返る
- グループやクラスを交えて練習発表を行い、感想や意見を出し合う
練習がうまくいったという経験は、本番への自信にもつながります。「前回よりも、ちょっと上手くできた」「みんなとぴったり呼吸が合った!」といった小さな成功の積み重ねが、前向きな姿勢や達成感を育ててくれるでしょう。
【本番】安心して力を発揮できるように支えよう
いよいよ本番が近づいてきたら、演出や段取りの最終確認とあわせて、子どもたちが安心して力を発揮できるような支援が大切になります。
- 本番の会場で練習し、立ち位置や動線をしっかり確認する
- 緊張しやすい子には、「ちゃんと〇〇ができていたよ」など具体的な声かけで自信を引き出す
- 招待状づくりや掲示物の準備などを通し、保護者など発表を観てくれる人への呼びかけで意欲を高める
また、当日にトラブルが起きたときのために、先生が自身の「もしもの場合の動き」を想定しておくことも、本番に向けての安心材料になります。たとえば、セリフが飛んでしまったときにどうフォローするか、誰かが欠席した場合に代役をどう調整するかなど、想定しておくことで冷静な対応がしやすくなります。
本番は、完璧にこなすことが目的ではありません。子どもたちが「やりきった」と感じ、自信と充実感をもって発表を終えられることが、一番の目的です。だからこそ、子どもたちのがんばりを間近で見てきた先生のあたたかい声かけと雰囲気づくりが、何よりの支えとなるでしょう。
3つのステップの目的を意識して進めることで、学習発表会は、子どもたちにとっても先生にとっても価値ある経験になっていきます。発表本番だけでなく、準備や練習のプロセスを大切にしていきましょう。
子どもがやりがいを感じられる学習発表会にしていこう
学習発表会は、出し物選びや準備においての悩みも多い一方で、子どもたちがぐんと成長するのが感じられる貴重な機会です。「何を伝えたいか」を明確にして、学年やクラスに合った出し物を選びましょう。子どもたち自身が意味を感じて取り組めるよう、先生が配慮しながら進めることが大切です。
そして、発表までの過程でも、
- 主役である子どもたち自身で考え決めることを、大切にする
- 小さな目標を立て、スモールステップでの成功体験を積み重ねる
- 本番で力を出し切れるように、日々の進捗を見守りながら支える
といった主体性を尊重する関わり方が、子どもたちにとっての学びを促します。
「見せるため」に行うのではなく、「伝えること」「つくりあげること」そのものに意味を見出せる発表会を目指しましょう。そのためにも、ぜひ、今回ご紹介したアイデアや進め方を取り入れてみてください。
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