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「自分の夢に向かって、コツコツがんばっているなぁ」
「あの子は失敗からしっかり立ち直る力があるなぁ」
「難しい課題でも、仲間と協力して解決していてすばらしいなぁ」
子どもたちの様子を見ていて、こんな風に感じる場面はありませんか?こうした資質は、認知能力とは異なる「非認知能力」によるものです。
子どもたちが社会で活躍し、幸せな人生を送るためには、学力だけではなく「非認知能力の育成」が欠かせません。 この記事では、非認知能力とは何か、なぜ大切なのかをご紹介します。非認知能力を伸ばすための具体的な関わり方もまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
非認知能力とは?
子どもの可能性を伸ばすためには、非認知能力の育成が重要視されています。まずは「そもそも非認知能力とは?」という点を確認していきましょう。
ただし、認知能力も大切な能力であることは忘れてはいけません。非認知能力と認知能力は、車の両輪のような存在です。両方の能力を伸ばすことで、子どもたちはより幅広い可能性を開花させることができると考えられます。
認知能力と非認知能力の違い
認知能力は、IQや語学力、計算力などの学業的能力を指します。一方で、非認知能力は、学力テストでは測れない能力のことを言います。意欲やコミュニケーション力、自制心など、数値では測りにくい資質を指すのです。
非認知能力には、具体的には以下のようなものがあります。
- 長期的目標を実現する力(忍耐力、自己統制力など)
- 他者と協働する力(コミュニケーション能力、思いやりなど)
- 感情を上手に管理する力(自尊心、楽観性など)
非認知能力は知識や技能とは異なる資質であり、人生の基盤となる大切なものだと言えるでしょう。
以下で、OECD、文部科学省における非認知能力の取り扱いについて確認してみます。
OECDが定める「非認知能力」
OECDは、非認知能力に値する「数値化できない心の動き」を社会情緒的スキル(Social and Emotional Skills)としてその重要性を唱えています。社会情緒的スキルは、さらに思考、感情、行動の3パターンに分けて紹介されています。
- 目標の達成(責任感、自己抑制)
- 感情のコントロール(楽観性、ストレス耐性)
- 協働性(共感性、協調性)
- 開放性(好奇心、創造性)
- 他者とのかかわり(社会性、積極性)
- 複合的な能力(批判的思考、自己効力感)
社会情緒的スキルを身につけることで、生涯にわたって学び続ける力を身につけることができると考えられています。
※出典:「家庭、学校、地域社会における社会情動的スキルの育成」,2015,ベネッセ教育総合研究所(訳)」
文部科学省が求める「非認知能力」
文部科学省による学習指導要領にも、非認知能力に関する指摘があります。「知識及び技能」(認知能力)に加え、「思考力、判断力、表現力等」(認知・非認知能力)、「学びに向かう力・人間性等」(非認知能力)の育成が求められている形です。
具体的には、①自分の目標に粘り強く取り組む ②柔軟に考え方を変える ③仲間と協力し合う、といった非認知能力の伸長を重視しています。
※参考:文部科学省ホームページ|中央教育審議会 初等中等教育分科会・幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会―第2回会議までの主な意見等の整理
3つの非認知能力グループ
OECD、文部科学省それぞれの内容を踏まえると、非認知能力は大きく以下の3つに分類できます。
- 自分と向き合う力:自制心、忍耐力、レジリエンス(回復力)など
- 自分を高める力:意欲・向上心、自尊感情、楽観性など
- 他者とつながる力:共感性、協調性、コミュニケーション能力など
自分自身と真摯に向き合い、自分を高める努力をし、同時に周囲の人々と力を合わせる姿勢が大切だと言えるでしょう。
非認知能力と認知能力のバランスを取りながら、子どもたちの総合的な力を育んでいくことが重要です。両方の能力を伸ばすことで、子どもたちは社会で生き抜くための強い基盤を築くことができるのです。
非認知能力は、日本だけでなく世界で注目されています!
非認知能力が必要とされるのはなぜ?
それでは、なぜ非認知能力の育成が重要視されているのでしょうか。ここではその理由として、以下3つについてご紹介します。
学歴や年収に影響する
前出のOECDの研究などでは、非認知能力の高い子どもほど、将来の年収が高く、高学歴を得やすい傾向にあるとされています。
たとえば「ペリー就学前プロジェクト」。この調査では、経済的に恵まれない家庭で育った3~4歳の子どもたちに、非認知能力を育てることに重点を置いた就学前教育を行いました。結果、非認知能力に重点を置いた教育を受けた子どもたちの方が、40歳時点での収入が高く、犯罪率が低いことがわかっています。
これからの時代を生き抜く力が身につく
世界で起こるさまざまな課題を解決したり、災害など予期せぬ事態にも対応したりする力は、非認知能力によるところが大きいと考えられています。また、AI時代においても、非認知能力はAIにはできない創造的な仕事をするのに必要不可欠です。自分で状況を見て、考え、解決策を見つけ出す能力こそが、これからの時代を生き抜くために重要なのです。
よりよく生きるために必要な要素として、非認知能力が大事なんですね
非認知能力を伸ばすには?
非認知能力は、大人になってからも伸ばすことができるものの、早期からの取り組みが重要であるとされています。子どもの人格形成に大きな影響を与える幼児期から学童期にかけて、遊びやアクティビティを通してさまざまな非認知能力を育むことが重要です。
ここでは、日々の授業や生活のなかで非認知能力を伸ばすためのポイントを5つお伝えします。
1.遊びのなかで自由な発想を促す
工作、自由遊び、ブロック組み立て、ごっこ遊び、お絵描きなど、子ども自身が「自分で考える力」を発揮するような遊びを取り入れましょう。創造性や好奇心、想像力が養われます。
2.得意を伸ばせる環境を作る
プログラミングやダンス、スポーツなど、子ども一人ひとりの得意分野で力を発揮できる環境を整えましょう。子どもの興味関心に合った活動を取り入れることで、論理的思考力や創造力、課題解決力といった非認知能力が育まれます。集中力を持続できるよう子どものペースに合わせ、できるまで粘り強く取り組める環境づくりが不可欠です。
3.人とのかかわりを増やす
グループで物作りをしたり、ルールのあるゲームに取り組んだりすることで、コミュニケーション力や協調性、リーダーシップなどの対人スキルを身につけられます。人と協力しながら活動する機会を意識的に設けましょう。
4.子どもの失敗を肯定する
失敗を恐れずチャレンジできる環境が大切です。子どもたちの失敗を受け入れ、肯定的に評価することで、自信やレジリエンスが育ちます。他の子どもと比べるのではなく、一人ひとりの成長を認め、失敗から学ぶ姿勢を育むことが大切です。
5.子ども自身が決める場面を作る
子どもの主体性やモチベーションを高めるには、自分で考え、決める機会を設けることが効果的です。普段の活動のなかで、子ども自身が選択できる場面を作ることで非認知能力も伸びていきます。子どもの可能性を信じ、内発的な動機づけを大切にしましょう。
座学からだけでは学びきれない要素が、たくさんあるんです!
非認知能力を伸ばせるアクティビティ5選
実際には、どのようなアクティビティを実践すればよいのでしょうか。ここでは、非認知能力が身につくアクティビティ5選をご紹介します。以下の活動に家庭、学校や塾、地域社会で協力して取り組み、相互の関わりを深めることでより効果が期待できるでしょう。
運動
鬼ごっこ、ドッジボール、ダンス、縄跳びなど、身体を動かす運動遊びは、レジリエンス、協調性、リーダーシップなどの非認知能力を育む絶好の機会です。ルールを守りながらチームで力を合わせること、対人スキルが自然と身についていきます。ゲームの勝敗を受け入れてお互いの健闘を認め合うのも、チャレンジ精神を養うのに効果的です。
自然活動
校外学習や散歩、遠足など、屋外で五感を使った体験活動に取り組むことで、子どもの自由な発想力が刺激されます。周りの環境を観察しながら、同じ目的を持つ仲間とコミュニケーションを取る経験から、非認知能力を伸ばすことができます。
創作活動
工作をする、絵を描く、物語を作るなどの創作活動を通して、子どもの創造力、想像力、独創性が伸びていきます。作品を発表する機会を設ければ、自己表現力の育成にも役立ちます。できあがった作品に、互いに感想を言い合うのもオススメです。
ロールプレイ・発表会
役割を決めてロールプレイングをしたり、発表の場を設けたりすることで、表現力や想像力、観察力を養えます。また、役割分担を決める際には、交渉力や柔軟性が問われます。臨機応変に対応する力を育むことができるでしょう。
コミュニケーションゲーム
初対面の仲間と互いに共通点を見つける「共通点探し」や、お題を見た人がモノや人の名前を出さずに特徴で説明して他の子に当ててもらう「わたしは誰でしょうクイズ」など、コミュニケーションを主体としたゲームを通じて、共感性や想像力、コミュニケーション能力を高めることができます。これらのスキルは、直接的に社会に出てからも役立つことが期待できます。
例を参考にしつつ、クラスの子どもたちに合った方法をぜひ考えてみてください!
日々のかかわりのなかで非認知能力を育もう
非認知能力を伸ばすには、子どもが安心して失敗できる雰囲気作り、新しいことにチャレンジできる環境作りが大切です。そうすることで、子どもの無限の可能性を伸ばし、健やかな成長を促すことができるのではないでしょうか。
一人ひとりの子どもの個性を大切にしながら、日々のかかわりのなかで非認知能力を育んでみてください。本記事で取り上げたさまざまな方法が少しでも参考になれば幸いです!
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