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英語学習のひとつのやり方として、「ディクテーション」という方法があります。この方法は、英語力を身に付けるうえで、さまざまな効果が期待できる勉強方法の一つです。学校や塾の授業にも取り入れられています。
この記事では、「ディクテーションを授業で取り入れてみたいが、やり方がわからない」「ディクテーションを効果的に行う方法を知りたい」という方のために、ディクテーションの基本的なやり方や、効果を高めるためのポイントを解説していきます。
自分の授業や生徒の自主学習にディクテーションを取り入れたいという方は、ぜひ参考にしてください。
ディクテーションとは?
英語の授業で取り入れられることの多い「ディクテーション」とは、「聞こえてきた英語をそのまま書き取る練習」のことです。とてもシンプルですが、英語の基礎力向上に役立つトレーニングのひとつとなっています。
中学英語におけるディクテーションの効果
ディクテーションを英語の授業に取り入れることで、次のような効果が期待できます。
- リスニング力の向上
- 語彙・文法の定着
- スペリング力の強化
- 集中力・注意力の向上
- 英語の処理速度が上がる
それぞれ、ひとつずつ紹介していきます。
リスニング力の向上
英語は日本語と違って、音が連続して流れる言語です。たとえば、「want to→wanna」「next day→nex day」のように、実際の発話では単語同士がつながったり、音が消えたりする、という規則があります。ディクテーションでは、このような連続した音を聴いて、一つひとつの単語として切り分け、それぞれの単語を正しく認識する力が鍛えられます。
語彙・文法の定着
語彙や文法の学習は、単語帳や文法書を中心に行うという生徒も多いかと思います。しかし、そのような学習方法に偏ってしまうと、語彙を文字だけで覚える形になってしまうことがあります。そこで、英語の「音」を聞くディクテーションを取り入れると、「綴り(文字)」と「意味」に加え、「音」も一緒に覚えられるようになります。
ディクテーションでは、「音を聞く」→「意味を推測する」→「正しいスペルで書き出す」という3つの処理を、ほぼ同時に行うため、語彙や文法が定着しやすくなるのです。
また、ディクテーションでは「in-for-ma-tion」のように、単語を音節単位で聞き分ける力も育ちます。音節という語の構造を理解することで、単語の綴りも覚えやすくなるでしょう。
スペリング力の強化
ディクテーションは、英語の「音」と「文字」とを対応させる訓練です。繰り返しトレーニングすることで、自然と「音」と「綴り」を対応させることが可能になっていきます。
特に英語は、「音」と「文字」の対応が複雑で、正確に綴りを記憶するのが難しい場合があります。
例として、
・/f/ → f, ph
・/k/ → c, k, ck
などが挙げられるでしょう。
ディクテーションを行うと、生徒は「音」と「綴り」の規則性を推測できるようになっていきます。これにより、スペリング力の向上が期待できるのです。
集中力・注意力の向上
ディクテーションは「音声」を聞きながら行うトレーニングのため、聞き逃さないよう集中して聞くことが大切です。また、ディクテーションでは、音が流れた瞬間に言葉の意味をつかみ、同時に文法の構造を把握して、綴りを思い出して書く、という多くの処理が必要になります。
そのため、集中力・注意力の持続が求められるトレーニングです。
ディクテーション中に少しでも注意力が欠けると、聞き逃して文脈を見失ってしまったり、途中から書けなくなったりしてしまいます。習慣的に数十秒でもディクテーションを繰り返すことで、生徒は自然と集中力を持続させ、注意力を高められるようになるのです。
英語の処理速度が上がる
ディクテーションは、「音を聞く」→「単語を思い出す」→「文法を組み立てる」→「意味を組み立てる」というプロセスを、一瞬で行うトレーニングです。
英語の処理速度とは、英語を読み・聴きして、どれだけ速く文意を理解できるか、ということです。繰り返しディクテーションを行っていくことで、次第に、このプロセスが早くなっていきます。英語力の向上に必要な処理速度が上がり、「音を聞いた瞬間に意味がわかる」という状態に近づくことができるでしょう。
ディクテーションのやり方|5つのステップ
ディクテーションは、学校や塾での授業導入にも、英語力底上げのための生徒の自主学習にも、取り入れられている学習法です。
ここでは、ディクテーションの基本的なやり方を紹介します。
- 音声を一度通して聴く
- 音声を区切って再生し、聞こえたとおりに書く
- 何度か聞き直して空欄を埋める
- スクリプト(原文)を見て確認する
- 気付いたポイントを復習する
レベルや目的によって、具体的な運用は変わってくるでしょう。
それぞれについて、詳しく説明していきます。
1. 音声を一度通して聴く
まずは、音声を最後まで通して聴きます。無理に詳細を聞き取ろうとせず、大まかに「どんな話か」を軽くつかむことが大切です。
2. 音声を区切って再生し、聞こえたとおりに書く
1~3秒ずつ音声を区切って再生し、聞こえたままノートに書きます。わからないところは空欄のままにしましょう。完璧に書こうとすると進まないので、「聞こえたところだけ書く」を意識することが大切です。
3. 何度か聞き直して空欄を埋める
2~4回くらい聞き直して、聞き取れなかった部分を少しずつ埋めていきます。これを繰り返すことで、聞き取りづらい細かい音にも気付けるようになります。
4. スクリプト(原文)を見て確認する
最後にスクリプトを見て、自分が聞き取れなかった音、聞き間違えた音を確認します。音の変化に気付くことが、リスニング力向上につながります。
5. 気付いたポイントを復習する
聞き取れなかった単語を音声で確認したり、文法的に理解できなかった部分を整理したりします。この復習によって、ディクテーションの効果がさらに高まります。
集団での授業に取り入れるか、個々の自習に取り入れるかで、ディクテーションのやり方は変わってきます。どちらの場合も、短い時間でも習慣的に英文を聞き取る学習を続けることが大切です。
ディクテーションでの弱点の見つけ方と克服方法
生徒がディクテーションで間違えた部分は、次の4つのパターンのどれかに当てはまる場合が多いです。それぞれの間違いがどのパターンか分析し、自分の弱点と克服方法をチェックさせましょう。
音が聞き取れない
答えられなかったところが「つながって聞こえた」「弱く消えた」「早すぎた」という場合は、英語のもつ音声変化を正確に聞き取れないことが、ミスの原因です。
この場合は、音声変化を耳で覚えられるよう、聞き取れなかった部分だけを3〜5回リピートしたり、速度を変えて聞いたりすることが大切です。また、音声と同時に、自分で声に出して真似してみるのも効果的です。
このように、繰り返し音声変化を聞いていくことで、耳が英語の発音に慣れていき、正確に聞き取れるようになります。
単語がわからない
答えられなかった箇所が、「音と綴りが結びついていなかった」「そもそも、知らない単語(表現)だった」という場合は、語彙の音声化が不十分ということです。この場合は、聞き取れなかった単語を辞書で、音声付きで確認し、実際に正しい綴りを書いてみます。
単語は、単体で覚えるのではなく、文章の中でどのように使われているかを一緒に覚えることで、忘れにくくなります。さらに、「綴り」だけでなく音声と合わせて覚え、「音」で思い出せる状態にしておくことがベストです。
文法構造がつかめない
間違えた部分が「thatの後の文」「前置詞の後の名詞」「動詞の形(過去形・受動態など)」「長い修飾のかかり方」などの場合は、文法処理が追い付いていないことが原因と考えられます。
この場合は、スクリプト(原文)を使って、主語・動詞・目的語を線でつないだり、「that・when・if」などの節を四角で囲んだりすることで、文の骨格が見えるようになります。また、前置詞句はまとめて一つのかたまりとしてみるのもポイントです。
(例)I study English in the morning.
「in」「the」「morning」のように一語ずつ区切って見るのではなく、「in the morning(朝に)」とまとめて捉える。
このように、瞬時に「文の形」が見えるようになることが、リスニング力の向上を後押しします。
集中力が途切れる
間違えた部分が「問題文の後半だけ書けていない」「同じ種類のミスが続く」「聞き逃した瞬間に、文全体の構造がわからなくなる」というような場合は、集中力の持続や焦点化に弱点があると推測できます。
この場合は、まずは5〜10秒ほどの音声に切り替えて訓練したり、一文だけの短いディクテーションを繰り返したりして、成功体験を積んでいくと良いでしょう。また、聞き逃したら、すぐに戻って聞き返すのではなく、まずはそのまま最後まで通して聞く、ということも意識してみましょう。
集中力は、成功体験を積み重ねる中で育まれていくので、繰り返し取り組むことで、弱点を克服しましょう。
生徒の弱点に合わせてディクテーションの方法を工夫していくことが、さらなる英語力の向上につながります。
ディクテーションの効果を高める7つのポイント
ディクテーションの効果を高めるために大切にしたいことを、以下にまとめていきます。
短い音声から始める
特に最初は、5〜15秒ほどの短い音声から行っていくと良いでしょう。最初から長い音声だと、集中が切れやすく、生徒の弱点がぼやけてしまうからです。また、音声が短いほど「音の変化」や「文法構造」に気付きやすくなり、成功体験が積みやすい、というメリットもあります。
「聞こえたまま書く」を徹底する
正しい文を予想して書くのではなく、聞こえた音をそのまま書くことが大切です。これを徹底することで、「音声変化」「弱形(弱い音)」「音のつながり」などの英語の音に気付けるようになります。
わからないところは空欄のままにする
無理に全部の空欄を埋めようとすると、推測で書くクセがついてしまいます。わからない箇所を空欄のままにしておくことで、自分はどこが弱点なのかが一目でわかるようになり、克服が早くなります。
間違いをしっかり分析する
生徒が答え合わせの際に、間違えた部分は「なぜ間違えたのか」をしっかりと自己分析することが、ディクテーションの効果を高めます。
上記の「ディクテーションでの弱点の見つけ方と克服方法」を参考に、その間違いは「その音が弱かった」「単語を知らなかった」「文法構造が追えなかった」「注意が途切れた」のうちのどれに当てはまるのかを、生徒に考えさせてみましょう。
聞き取れなかった部分だけを集中的に聞き直す
答え合わせのあと再確認する際には、全文を聞く必要はありません。ミスした部分だけを3回ほど聞き、さらに、そのフレーズだけ真似して声に出すことで、ディクテーションの効果が上がります。
最後にシャドーイングを行う
ディクテーションのあとには、シャドーイング(英語の音声に合わせて声に出すこと)を1回でも行うとよいでしょう。英語の「音の変化」「リズム」「イントネーション」が、体感することで身体に入り、リスニング力の向上に役立ちます。
毎日5分でも学習に取り入れて、習慣化する
ディクテーションは、長時間やる必要はありません。習慣化が効果を上げるポイントです。また、「量より質」重視で、しっかりと毎回「実施→分析」を繰り返していくことが大切です。
毎日必ず一つ、5〜10分で完結できるような短い音声でいいので、欠かさず取り組んでいくと良いでしょう。
ディクテ―ションの指導の際には、先生は「間違い=伸びしろ」というスタンスを取ることが大切です。先生の「間違いは成長へのステップ」という姿勢が、生徒のディクテーション習慣の継続につながります。
ディクテーション教材を選ぶ際に、大切にしたいポイント
ディクテーションの教材選びは、学習効果を左右するとても大事なものです。ここでは、教材を選ぶときに大切なポイントをまとめていきます。
フレーズの長さがレベルに合うもの
特に最初は、音声の長さは短ければ短いほど良いでしょう。音声が短い方が、集中が続きやすく、音の変化や文法構造に気が付きやすくなるからです。慣れていくにつれてフレーズを長くし、レベルに合わせてステップアップできると良いでしょう。
再生速度を変えられるもの
基本の速さで聞き取れない場合は、再生速度を遅くすることで、よく聞こえる実感を味わえます。また、再生速度を遅くすると、音声変化に気付きやすくなるため、「再生速度を遅くしてシャドーイングをする」といった対策が可能になります。
スクリプト(原文)があるもの
ディクテーションは答え合わせが重要です。スクリプト(原文)がない教材だと、ディクテーションの効果は半減してしまいます。
- 教科書の音声
- 英検、TOEICの公式問題集
- 英語学習動画(字幕やスクリプトがあるもの)
- アプリ(スクリプト付きのもの)
などの教材がおすすめです。
生徒のレベルより、やや易しいもの
英文のレベルが高いと、答えられない部分が多くなり、各生徒の弱点がわかりづらくなってしまいます。理想としては、「スクリプトを見て8~9割程度理解できる」くらいのレベルの英文だと、聞き取る際に少し難しさを感じるため、生徒の成長が分かりやすいでしょう。
ネイティブの発音・スピードがわかるもの
ディクテーションは、生徒が「本物の英語の音」に触れる練習です。そのため、中学生が無理なく取り組めるレベルで、ネイティブの自然な英語にも触れられる音声を使用すると良いでしょう。
以下の点を目安に教材を選択すると良いです。
- 推奨スピード:120~140wpm(ネイティブの自然会話よりややゆっくり)
- 発音の特徴:語と語の連結による音変化や、強勢による英語特有 のリズム、イントネーションがある
生徒にとって興味のあるテーマの英文を扱っているもの
教材の英文の内容が生徒にとって興味のあるテーマだと、集中力が続きやすく、習慣化にも効果があるでしょう。たとえば、
- 海外ドラマや映画のセリフ
- 興味のあるトピックを扱う動画
- 旅行、料理、ゲームなど好きなジャンル
などのテーマを選ぶと良いでしょう。
文法的にきれいな英文であるもの
ディクテーションは、英文法の定着にも効果があるので、教科書のような文法的に整った英文が多い教材が安心です。
例として、教育開発出版の新中問やkeyワークなら、良質な英文が充実しているのでおすすめです。
まずは気になる教材を試し、学習者に合うものが見つかったら、同一シリーズ・同一話者の教材で統一すると、学習がよりスムーズに進むでしょう。
ディクテーションを英語学習に取り入れ、基礎的な英語力を強化しよう
ディクテーションは、英語を学習していく中で、とても効果的なトレーニング方法です。ディクテーションでは、「聞く」→「単語を思い出す」→「綴りを思い出す」→「書く」というプロセスを、ほぼ同時に行うため、英語の処理能力や学習への集中力を高められます。
ディクテーションを行う際は、最初は短い音声から始めて、聞こえた音をそのまま書く、ということが大切です。また、取り組んだ後にはスクリプトを見て確認し、自分がなぜ間違えたのかを分析することが、ディクテーションの効果を高めるうえで重要です。
ディクテーションは、繰り返し行うことが英語力の向上につながるため、生徒が習慣的に取り組めるよう、学校や塾の授業、自習の時間などに、積極的に取り入れていきましょう。
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