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公開日:2024年02月09日  
更新日:2024年02月05日

2024年度小学校教科書改訂 スケジュールや変更点は?

2024年度に、小学校の教科書が改訂されます。教育関係者にとっては、注目すべき話題でしょう。この記事は、以下のポイントに焦点をあてながら、2024年度の小学校教科書改訂について解説します。

  • 教科書改訂のスケジュール
  • 新小学校学習指導要領(現行:平成29年告示、令和2年度全面実施)の方針
  • 2024年度の教科書改訂の特徴
  • 主要教科の変更点

ぜひ最後まで読んで、新しい教科書への対応にお役立てください。

教科書改訂とは?

教科書改訂とは、文字通り教科書の内容を改める取り組みのことです。時代に即した内容を提供し、教育の質を維持・向上するために行われます。

教育現場で使用される教科書は、文部科学省の「教科用図書検定」を受け、最新の学習指導要領に沿って改訂されます。また一般的に「大改訂」「小改訂」と呼ばれる2タイプの教科書改訂があります。

【大改訂】

  • 学習指導要領の改訂(約10年に1度)の際に行う
  • 内容が刷新される可能性が高い

【小改訂】

  • 4年に1度
  • 学習指導要領は変わらない
  • 内容の一部を見直す

小改訂は、新しい学習指導要領に変わったタイミングから原則4年ごとに行われます。大改訂は政策や特定の状況によって変更されるため、計算上の節目となる12年ごとではなく、約10年に1度のサイクルで実施されてきました。

小学校教科書改訂のスケジュール

2024年度の教科書改訂は、平成29年告示の小学校学習指導要領(令和2年度実施)が基準になります。具体的なスケジュールは以下のとおりです。

  • 小学校
    • 2020年(4月~):新学習指導要領の全面実施(大改訂)
    • 2022年:教科用図書検定の開始
    • 2023年(5月~):新教科書の見本発表
    • 2024年(4月〜):新教科書の使用開始(小改訂)

現在の学習指導要領(新学習指導要領)の方針は? 

2020年度からスタートした現在の学習指導要領は「変化の激しい社会に必要な『生きる力』を育む」ことを目指しています。その実現のための方針は、以下の3つです。

  • 「知識・技能」を育む
  • 「思考力・判断力・表現力」を育む
  • 「学びに向かう力・人間性」を育む

社会生活を営むうえで必要な「知識・技能」の習得だけにとどまらず、未知の状況に対応するための「思考力・判断力・表現力」も同等に重視しています。さらに「学びに向かう力・人間性」など、学びのプロセスや学習の活かし方も同時に見直されました。

「主体的・対話的で深い学び」の導入は、他者の考えに耳を傾けながら最適解を導き出し、自らの考えを表現する力の育成を目指しています。個別の学習だけでは到達できなかった深い学びや、未知の課題を協調して解決する経験をすることができます。

教育者側が「カリキュラム・マネジメント」を確立し、教育活動の質の向上や学習効果を最適化することも、3つの方針を支えるポイントです。教員と地域の連携や学習効果の検証など、子どもたちを取り巻く教育環境のブラッシュアップにより、学びの進化を目指します。

2024年度の教科書改訂の方針

2024年度の教科書改訂は、現行の学習指導要領をベースにした「小改訂」です。そのため、大幅な方針変更はありません。

ただし、GIGAスクール構想の進展や社会へのSDGsの浸透など、数年間で世の中も変わり、教科書にさらなる最適化が求められていることも事実です。さらに2024年度は、デジタル教科書の本格導入が始まる年でもあります。これらを踏まえ、教科書はどう変化するのでしょうか?

共通した3つの特徴

2024年度から使用される教科書には、大きく分けて次の3つの共通点が見られます。

  • 二次元コードが大幅に増加
  • SDGsの取り扱いが増加
  • 「まなび方」を詳しく解説

共通する特徴について、以下で詳しく解説します。ぜひ参考にしてください。

二次元コードが大幅に増加

2024年度改訂の教科用図書検定に合格した149点の全教科書に、二次元コード(QRコード)が掲載されています。また現行の教科書よりも、1冊あたりの二次元コードの掲載数も増えており、デジタルコンテンツの数が大幅に増加しました。

二次元コードは、デジタル端末で読み取ることが可能です。カメラを使ってスキャンすることで、以下のようなコンテンツが活用できます。

  • 作品の朗読
  • 英単語・歌・チャンツなどの音声
  • 解説動画の視聴
  • アニメーションでのイメージ共有

言葉では説明しづらいことを、従来よりも視覚的にわかりやすく伝えられる機会が増えるでしょう。教科書紙面とデジタルコンテンツを融合させて、生徒たちが前向きに学ぶ機会を作る意図が感じられます。

SDGsの取り扱いが増加

今回の改訂では、SDGsを題材にした単元やSDGsに関する取り組みの紹介などが、これまでより手厚く扱われています。

これはESD( 教育にSDGsを組み込み、地球規模の問題を自分ごととして捉える姿勢を養う教育) が推進され、2020年度全面実施の小学校学習指導要領に組み入れられたためです。

次世代がSDGsの認識を高める必要性は日々増しているため、今後も学校教育の1つの使命として取り扱われる重要なテーマとなるでしょう。問題解決能力を身につける題材として適している点も、その後押しになるはずです。

「まなび方」を詳しく解説

新しい教科書には、学習指導要領が重視する「学びのプロセス」をより充実させる工夫が見られます。生徒の「主体的な学び」を向上させる、以下のようなコンテンツが増やされました。

  • 学びの全体像が確認できるページ
  • 学びの具体的手順を説明するページ
  • 学びの成果を可視化するページ
  • 学ぶべき知識・スキルを可視化するページ

主要教科の変更点は?

2024年度の教科書改訂で、主要5教科の教科書には、どのような変化が見られたのでしょうか。ここでは、教科ごとに見ていきます。

国語

改訂後の新しい教科書は、生徒の「学びやすさ」を強く意識しています。教科書を発刊する3社ともに、学習のプロセスを重視する特色が見られます。

「何を、どう学ぶのか」を、視覚的に確認できるページがあるのは、その特色の1つです。各教科書では、巻頭にて以下のことが従来よりもわかりやすく示されています。

  • 単元ごとの学習の流れ
  • 年間の学習の流れ

学びの見通しが立てやすいことは、生徒一人ひとりがさらに主体的に学ぶきっかけを生むでしょう。また協働的な学びを促進する内容も見られ、学習指導要領の方針を色濃く反映しています。

算数

新しい算数の教科書には、生徒が「学びたくなる」工夫があります。デジタルコンテンツの拡充はもちろん、教科書紙面のアップデートなど、凝らされている工夫の一部を以下でご確認ください。

教科書紙面・アイコンやキャラクターの利用
・身近な題材(お菓子など)の利用
・レベルアップへの細かな配慮
デジタルコンテンツ
※主に図形分野での活用
・ARの利用
・アニメーションの利用
・シミュレーションの利用

最大手「東京書籍」の教科書では、積極的に二次元コードを採用し、6学年全体で約1,450ものデジタルコンテンツの活用が可能になりました。前回と比較しても大幅なアップデートとなり、生徒の意欲を引き出し、理解を助ける効果が期待できます。

英語

英語では前回よりも「読む」「書く」の活動が増え、文字指導が強化されています。小学校では「聞く」「話す」活動が中心となりますが、中学との接続の観点から、文字の「音」と読み書きをつなげられるよう、強化してきています。

またSDGsや他教科の学習、世界の文化との関連など、前回よりもさらに児童が興味を引くようなトピックを取り入れています。デジタルコンテンツとの連動も強化しています。

二次元コードを利用した、さまざまなアニメーションや音声コンテンツの充実も見逃せません。なお英語では、学習者用を含むデジタル教科書の本格導入が始まります。従来より「個別最適な学び」と「協働的な学び」の充実が期待されます。

理科

理科は「学び」をさらに深めるコンテンツが拡充されました。特に、二次元コードを利用したデジタルコンテンツは、生徒の「学びやすさ」を飛躍的に向上させます。

【デジタルコンテンツの例】

  • 観察に用いる動画
  • 実験の手順を示す動画
  • 単元末の問題の解説動画
  • 漫画やアニメーションによる説明動画

教科書紙面もアップデートしており、学習の見通しを立てるのに役立つページや学びを身のまわりの自然現象と結びつけたり、日常生活で活用させたりするような、生きる力を育むコーナーがたくさん組み込まれています。また、親しみやすいアイコンやキャラクターなどの設定も目立ちました。デジタルと紙面を融合させて、学びへの興味・関心を広げる工夫が凝らされています。

社会

社会の教科書はデジタルコンテンツも豊富で、従来より理解や学習をサポートする機能が充実しました。さらに「問題解決型の学習」を意識し、「主体的・対話的で深い学び」に通ずる内容が色濃く反映されています。

たとえば「東京書籍」の場合は、すべての単元が以下の4ステップを取り入れたページ展開になっています。

  • つかむ:問題提起(学習計画)
  • 調べる:設定した問題を追究(対話的な学び)
  • まとめる:わかったこと・考えたことをまとめる(表現活動)
  • いかす:学んだことを次の学習や生活に活かしたり、伝えたりする(選択・判断)

「問題解決型の学習」が進めやすいように、ワークシートなどを用意する工夫も見られ、学習を見通したり学んだことを振り返ったりする機会の充実が図られました。また、アイコンやキャラクターを使った親しみやすさの演出も感じられます。

まとめ

2024年度の小学校教科書改訂では、最新の学習指導要領に基づく「小改訂」が行われます。この改訂の主な特徴は、以下の3点です。

  • 二次元コードを通じて利用できるデジタルコンテンツが増えた
  • SDGsへの焦点が強化され教科書に組み込まれた
  • 学び方の解説が追加され「主体的な学び」のサポートが充実した

主要5教科(国、算、英、理、社)の教科書にも上記の特徴が盛り込まれ、さらにアップデートがなされています。改訂にともなって生徒の学びやすさを重視し、学習内容への興味・関心を引くための工夫が多く見られました。

改訂のポイントを把握して、ぜひ今後の学習指導やサポートに活かしてください。

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