「保護者との個人面談に苦手意識がある」
「個人面談の時に押さえておくべきポイントって?」
こんなお悩みを抱えている先生も多いのではないでしょうか?
小学校の個人面談は、保護者と先生が直接話をして、児童の学校生活や家庭での様子について情報交換する大切な機会です。しかしその反面、流れややり方をきちんと教わるタイミングは少ないですよね。個人面談は保護者に合わせて柔軟に対応を変える必要のある場面も多いですが、まずは基本を押さえておくことが重要です。
そこでこの記事では、個人面談の目的や心構え、よくある問題への対処法などを詳しく解説します。個人面談が初めてという先生はもちろん、今のやり方でいいのか不安がある先生も、ぜひ最後までご覧ください!
そもそも個人面談の目的は?
個人面談とは、保護者と先生が情報交換や相談をする場のこと。15~20分程度の枠で実施されることが多い傾向にあります。
個人面談の主な目的は以下の3点です。
1.児童の学校生活や家庭生活について情報交換をする
個人面談では、学校での児童の様子を保護者に伝えると同時に、家庭での児童の様子を保護者から聞き取ります。学習面、生活面、友人関係など、児童の状況を共有する場として活用できるでしょう。
2.児童の成長をサポートするために連携を取る
児童の成長には、家庭と学校が同じ方向性で協力していくことが大切です。個人面談を通して保護者と先生が方針や目標を共有し、一貫した支援を行えるようにします。
3.保護者と先生、児童との信頼関係を築く
個人面談は、保護者と先生が直接顔を合わせて対話する貴重な機会です。普段の学校生活では伝えきれない児童の頑張りを保護者に伝えたり、保護者の思いに耳を傾けたりすることで、信頼関係を築きましょう。
個人面談の目的を押さえた上で準備をしよう!
個人面談に向けた心構え3つ
では、個人面談の目的を達成するためにはどのような点に気をつければよいのでしょうか?ここでは、先生が知っておくべき3つの心構えをお伝えしていきます。
時間通りにスタートする
保護者の方も、忙しい中時間を空けてきてくださっています。ついつい前の面談が盛り上がりすぎないよう注意しましょう。面談開始時刻が過度に後ろ倒しにならないよう、時間管理をしっかりすることが大切です。
まずは保護者の話を聞く
学校での様子をあれこれ話してしまいがちですが、面談スタート時にはまず「保護者に話してもらう」のがポイントです。ご家庭への要望などがある場合は特に、先生から話す内容が多くなってしまう場合もありますよね。ですがそういう時ほど、保護者に心を開いてもらってから学校での様子を伝えるとスムーズです。
児童の良い面を中心に話す
まず良いところを伝えてから、もっとがんばれる点を話すのがよいでしょう。我が子の直すべきポイントばかり言われるのは保護者にとってはつらいもの。良いところも合わせて伝えることで「先生はよく見てくれている、わかってくれている」と思ってもらいやすくなります。
保護者と先生は、児童の成長をサポートするチームです!
個人面談に向けて準備しておきたいこと
限られた時間の中で情報交換と相談を行うためには、事前の準備が必要不可欠です。個人面談に向けて準備しておくと良いことを4点にわけてまとめていきます。なにを準備したらいいか、具体的なイメージが湧かない方はぜひ確認してみてください。
児童一人ひとりの良いところをメモしておく
面談では、児童の良いところを中心に話すことが大切です。日々の学校生活の中で見つけた児童のエピソードやきらっと光る瞬間を書き留める癖をつけておくと、面談の際にスムーズに伝えられます。たとえば、以下のような点に注目してメモを取っておきましょう。
- 授業中の発言や行動でがんばれた場面
- 友だちとの関わりの中で優しさや思いやりが見られた瞬間
- 難しいことにも粘り強く挑戦できた時
- 自主的にクラスの仕事を引き受けられた時
なるべく具体的に伝えることで、保護者は我が子の頑張りや成長を実感できるでしょう。
なかなか一人ひとりのメモを作れないという場合には「今日面談がある子のことをよく見てみよう」「今日はこの班のメンバーの良いところ探しをしてみよう」など、少しずつ進めてみてください。それでもどうしても見つからなかったという場合は、その児童と仲の良い友だちに「●●さんが頑張っていた場面なにかある?」とインタビューしてみるのもいいかもしれませんね。
家庭に協力してほしい点を考えておく
児童の成長には学校だけでなく、家庭の協力も不可欠です。家庭にどのようなことを協力してほしいか、あらかじめ考えておきましょう。たとえば、以下のような点が挙げられます。
- 学習習慣の定着(宿題の管理、読書の習慣づけなど)
- 基本的な生活習慣の確立(起床・就寝時間、時間管理など)
- 友人関係の悩みへの対応(相談に乗る、アドバイスをするなど)
家庭にお願いしたい内容をはっきりさせておくと、面談での説明がスムーズになります。また、保護者側も具体的にどのように児童に関わればいいのかわかりやすくなるでしょう。
資料を準備しておく
質問・相談されたことに答えられるよう、必要最低限の資料は手元に準備しておきましょう。以下のような資料を用意しておくとよいでしょう。
- 単元テストや小テストの結果
- 授業中のノートやワークシートのコピー
- 生活の記録(健康観察、欠席・遅刻の状況など)
- 児童の作品(絵画、作文、工作など)
- 地域のコミュニティ(支援センター、学習サポートなど)
資料を見ながら話をすることで、保護者は学校での様子をイメージしやすくなります。今後の指導についての、具体的な意見交換の場にすることもできますよ。
もしその場で聞かれてわからないことがあった時には、正直に「わからない」と答えて大丈夫です。「調べてから後日お伝えします」と答え、あとから情報共有するとよいでしょう。
オンラインツールを確認しておく
最近は、対面だけでなくオンラインでの面談も増えてきました。オンライン面談を行う場合は、トラブルがないよう動作確認しておくことが大切です。
- ビデオ通話ツールの動作確認
- 資料の共有方法の確認(画面共有、データの送信など)
- 通信環境の確認(安定したインターネット接続)
- ヘッドセットやマイクの準備
オンライン面談では、対面とはまた違ったコミュニケーションの工夫が求められます。スムーズにやりとりできるよう、あらかじめ準備しておきましょう。
備えあれば憂いなし!
個人面談の流れ
個人面談では、限られた時間の中で効果的に情報交換を行う必要があります。ここでは、個人面談の一般的な流れを5つのステップにわけて説明します。
1.家庭での様子を聞く
面談のスタートは先生も保護者も緊張する時間。「●●さん、今日はこんな様子でしたよ!」など、児童の様子や良いところを挙げて場を温めてから家庭での様子を保護者に話してもらうとスムーズです。保護者の話にあった内容に関連させて、学校の話につなげていきましょう。
2.学校での様子(学習面)を話す
次に、学校での学習面の様子です。テストの点数、授業中の態度、宿題や提出物の状況などを保護者の方に伝えてください。特に授業態度は、保護者からすると「見えない、わからない」ために気になる領域でもあります。具体的なエピソードを入れつつ丁寧に伝えることが大切です。成績のことは、具体的な資料を提示しながら話ができると説得力があがりますよ。
3.学校での様子(生活面)を話す
学習面だけでなく、生活面での様子も大切です。学校生活の中でどんな姿が見られるか、身だしなみや持ち物の管理はできているか、基本的な生活習慣が身についているかなどを伝えます。家庭と協力できそうな点があれば、共有しておきましょう。学校と家庭が連携して取り組むことで、児童の生活環境が整いやすくなるでしょう。
4.学校での様子(友人面)を話す
学校での友人関係や人との関わり方について伝えます。友人との関係は、学校生活を大きく左右する重要なポイントです。クラスメイトとのトラブルや人間関係での悩みなどがあれば、一緒に解決策を考えましょう。家庭で気になることがないかも確認しておけると、なおいいですね。
5.質問や相談など
「その他、質問や相談はありませんか?」と確認を入れましょう。保護者の中には、面談で言いたいことがあったのに言えなかったと感じる方もいらっしゃいます。モヤモヤを残さないよう、最後に一言添えておけると丁寧です。
お互いに言いたいことを伝えきれるよう、時間配分も意識しよう!
個人面談「こんな時どうしたらいい?」
個人面談では、予期せぬ事態が起こることがあります。保護者との信頼関係を損なわないよう、臨機応変な対応が求められます。ここでは個人面談で起こりうる6つのケースを取り上げ、それぞれの状況での対処法を解説していきます。
面談の予定時間に保護者が来ない
連絡がつくのであれば、保護者に電話やメールで状況を確認します。やむを得ない事情により面談に来られない場合は、日程の再調整を行ってください。その際には保護者の都合を優先しつつ、できるだけ早い日程で面談を再設定しましょう。
連絡がつかない場合は後日あらためて連絡を取り、面談の再設定をします。面談予定時間の変更やキャンセルが続く場合は、管理職に相談して対応を検討します。家庭訪問や関係機関との連携など、別の方法で保護者とコミュニケーションを取ることも視野に入れておいてください。
終了時間になったのに話が止まらない
面談の終了時間が近づいているにもかかわらず、保護者の話が止まらない……という経験がある先生も多いのではないでしょうか?こういった場合には、保護者の話をしっかりと聞きつつ、次の面談予定があることを伝えて話を切り上げるタイミングを作ります。
「また別の機会に続きをお聞かせください」と提案し、次回の面談の約束をするのも1つの手段です。保護者の話を途中で遮ることには抵抗を感じるかもしれませんが、全体のスケジュールを守ることも大切なことです。
年の離れた兄弟を連れていきたいと言われた
保護者から年の離れた兄弟を面談に同席させたいと申し出があった場合、まずは保護者の事情を丁寧に聞き取ってください。やむを得ない事情がある場合は、できる限り配慮できるとよいでしょう。
ただし、面談に集中できる環境を作ることも大切です。兄弟の同席で保護者の注意が散漫になったり、児童についての話し合いが難しくなったりするかもしれません。学年の先生に相談して兄弟に別室で待機していてもらうなど、状況に応じて工夫してみてください。
面談と関係のない話をされる
保護者の話に耳を傾けることは大切ですが、あまりに関係のない話が続くようであれば話を主題に戻す必要があります。保護者の話に理解を示しつつ「お子さんのことで、他に気になる点はありますか?」など、児童に関する話題に誘導しましょう。
保護者の思いを受け止めつつも面談の目的を見失わないよう、適切な対応を心がけてください。
学校に対する苦情が止まらない
保護者の不満や苦情に真摯に耳を傾けることが大切です。保護者の感情を受け止め、理解を示しましょう。その上で、学校としての立場や方針を丁寧に説明します。
しかし、すべての問題を一度に解決することは難しいことも事実です。「いただいたご意見は、管理職や他の先生とも情報共有し、学校全体で検討させていただきます」と、対応を検討する旨伝えましょう。いただいたご意見は、面談後に学年主任や管理職に必ず報告してください。
保護者から他の児童や保護者に関する情報を聞かれた
まずは「他の児童や保護者のプライバシーを守るため、個別の情報はお話しできません」と丁寧にお断りします。その上で、保護者が人間関係に悩みを抱えているのであればプライバシーに配慮しつつ回答しましょう。
ただし、個別の事例や児童・保護者には言及しすぎないよう注意してください。
どの場合でも大切なのは「相手を尊重すること」!まずは保護者の話をしっかり聴こう。
個人面談を通して、保護者との信頼関係を築こう
個人面談は、家庭と学校とが連携して信頼関係を作るための大切な時間です。相手の話を聞きつつ、児童にとってよりよいサポート方法はなにかを一緒に考える有意義な場にできるとよいですね。面談を通し、児童の成長を見守って支えていく連携体制を作っていきましょう。
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