
円周率の正確な値をご存じでしょうか?3.14・・・からはじまるこの数は、規則性も終わりもない小数で、最後まで計算することは現時点では誰にもできていません。しかし過去には、アルキメデスやルドルフ・ファン・コーレンをはじめとする偉大な数学者たちが、正確な円周率の値を追い求めていました。
この記事は、小学5年生以上を教える先生方に向けて、円周率にまつわる話題や問題をいくつか紹介しています。授業の導入などにお使いください。
円周率とは?
円周の長さが直径の何倍になっているかを表す数を、円周率と言います。円周率は
円周率=円周÷直径
という式で表すことができますが、これを実際の値で計算すると、
3.141592653589793238462643383279・・・・・・
と、どこまでいっても終わりのない小数です。
円周率の覚え方
円周率を何百桁も覚えるのはとても困難ですが、30桁くらいまでであれば“ごろあわせ”で覚える方法もあります。


英語にも、似たように文章を使って円周率を覚える方法があります。この場合、それぞれの単語に使われているアルファベットの文字数を並べると円周率になります。

(意味:簡単にパイ(※)を思い出す秘けつはあるのかしら?)
※パイとは“π”のことで、中学以降、円周率はπを用いて表します。
円周率のおよその値
円周率と言えば、一般的に3.14が用いられます。
NASAなどで行われている惑星間航行法では、非常に高い精度で計算する必要があるため、円周率として3.141592653589793を使うそうです。
一方で、自然界に存在するもので、完全な円の形をしているものはありません。そのため、例えば身近にある木の切り口や丸い形をした池の周りの長さを考えるときは、“円周率を3としておよその長さで表す”ほうがよいこともあります。
<問題に挑戦>

アリくんとミミズくんが、土管の内側と外側を1周する競争をすることになりました。土管の厚さは10cmで、穴の部分の直径は1mです。
ア リ「ぼくが内側のコース、ミミズくんが外側のコースで競争だ!」
ミミズ「待ってよー、外側のコースのほうが道のりが長くて不利だよ。ぼくはスタート地点よりも少し先からスタートしてもいいかな?」
ア リ「ごめんごめん、そうだね。外側のコースを内側のコースと同じ道のりにするには、ミミズくんはスタート地点より何cm先からスタートすればいいんだろう?」
ミミズ「計算を簡単にするために円周率を3として計算してみよう。アリくんが内側を1周するときの道のりをcmの単位で計算すると、100×3=300(cm)だね。ぼくが外側を1周する道のりは、えっと……」
さて、ミミズくんはスタート地点よりおよそ何cm先からスタートすればよいでしょうか。円周率を3として考えてみましょう。
答え
土管の外側の直径は、穴の部分の直径1つと土管の厚さを2つを足した長さだから、
100×1+10×2=120(cm)
外側のコースの1周の道のりは、円周=直径×円周率だから、
120×3=360(cm)
内側のコースの1周の道のりは300cmだから、
360-300=60(cm)
ミミズくんはスタート地点よりおよそ60cm先からスタートすればよいことがわかりました。
もっと考えてみよう!
過去には多くの偉大な数学者たちが、より正確な円周率を求めようと試みてきました。今から3500年以上も前に、バビロニアでは3.125、古代エジプトでは近似値として\(\frac{256}{81}\) (およそ3.16)が使われていたというから驚きです。
時は移って現代では、円周率はコンピュータやネットワークなどの最新のテクノロジーを使って計算されています。2022年には、Google社のコンピューター科学者である岩尾エマはるかさんが、円周率を100兆桁まで計算しました。
100兆桁の計算には、157日23時間31分7.651秒もかかったそうです!
100兆桁目の数字は0だそうですよ。
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