
目次
「生徒が集まる塾にするには、なにをすべき?」
「集客効果を高める、塾のアピールポイントは?」
「保護者の方に『この塾に子どもを任せたい』と思ってもらうには?」
少子化が進む昨今、学習塾の関係者にはこんなふうに悩む方も少なくないでしょう。この記事では、そんな塾の経営・運営に携わる皆さんとともに、集客効果につながる基本的な施策の復習と、新しい施策につながる見直しをしていきたいと思います。
新たな集客アイディアに意識が向きがちですが、「保護者は、どんな塾に子どもを通わせたいと思うか」「子どもたちは学習塾になにを望んでいるのか」という相手目線に立った塾の在り方が、集客の基本であり最も大切にすべき意識です。そのための見直しポイントを知り、まずは基本的な宣伝がきちんと実践できているかなどの振り返りを行い、新しいアイディアや強みの発掘につなげていきましょう。
現状の塾経営を改善したい方はもちろん、新しく塾を開業する方にとっても必見の内容ですので、ぜひ最後までお読みください。保護者と子どもたちの興味・関心を引き、心をとらえ、信頼される塾の運営を目指しましょう。
学習塾の集客を考える前にすべきこと
集客施策や知名度アップの方法を試してみる前に、まずは現状の分析やターゲットの設定を行いましょう。次に、ターゲットに合った集客施策を行い、その結果を分析してさらに次の施策に反映する、つまり「PDCAサイクル」をまわすことで、より高い効果が期待できます。

現状の分析:塾運営見直しの4つのポイント

まず、現状どのような問題があるか、ターゲットはどのような層なのか、などの分析を行いましょう。
1.現状抱えている問題点を洗い出す
塾に良くない点や不足している点など、集客にあたってマイナスになっている要素はないか、多角的な視点で洗い出してみましょう。さらに、せっかく集客できたとしても、すぐ離れて行ってしまうと意味がありませんから、退塾が増えているような場合には、その原因も併せて考える必要があります。
たとえば、塾に悪い口コミが寄せられていると、集客にはマイナスに働きます。評判のよくない塾には、保護者も通わせようとは思いません。
- 授業がわからない
- うるさい生徒がいる
- 講師の対応が冷たい
こんなうわさや口コミが保護者の間に広まったら、集客には致命傷です。そのような状況に陥る前に、塾の運営に問題点はないか、日頃から省みる姿勢が大切です。常に危機感を持って運営しましょう。
2.市場調査を行い、ターゲットに適した宣伝広告を選定する
今すでに広告等の施策を打っているのに集客がうまくいっていない場合は、そのやり方がターゲットや市場にマッチしていない可能性があります。良い塾でも認知されなければ、素通りされてしまいます。届けたいターゲット層に適した方法を、考え直す必要がありますね。
たとえば、集客方法が時代遅れな方法になっていないかという点について、一度見直しをしてみましょう。届けたいターゲットとなる保護者は常に20~40代ですが、そのターゲット層がよく目にするものという観点で考えても、時代と共に常に変化しているはずです。ニーズに合った手法をリサーチする努力は最低限必要です。
3.集客に必要なリソースを用意する
「集客に必要なリソースが不足していないか」という点も、見直すべきポイントの1つです。集客の優先度を高く設定していても、適切なリソースを割けていなければ成果はあげられません。
たとえば次のようなリソースは、現場でしばしば不足しがちです。
リソースの種類 | 内容 |
---|---|
時間 | 集客活動ができる時間 |
人材 | 集客活動を行える人 情報発信のノウハウを持った人 |
物資 | ポスターやチラシ 見込み客のリスト |
資金 | 広告の予算や通信費 |
これらのリソースが不足している場合、集客を管理する立場の人が現場の声を吸い上げて調整する必要があるでしょう。
予算を捻出するために支出を見直すのはもちろん、逆に宣伝=お金がかかるといった固定観念を外し、予算のかからない方法を見つけるのも一計です。インスタグラムやXなど、無料で活用できるSNSは大いに利用し、宣伝広告活動への敷居を下げて、できることから挑戦するのもよいでしょう。
4.他塾と差別化できる特色を打ち出す
他塾と差別化できる塾の特色、強みがなければ、親の関心を引く競争力は当然ながら弱いと言えます。世間に数多くの学習支援サービスがある中で、あえて「この塾に通わせたい」と思わせるような強み、特色がなければ、親たちの目には留まりにくいでしょう。
たとえば、学習環境も差別化のPRポイントです。英語学習への関心が年齢的に早まったり、オンライン授業やデジタル教材への需要が高まったりと、ニーズは常に変化しています。それに対応できる設備がなく指導法が昔のままだと、塾の魅力も衰退するでしょう。
一方で、圧倒的な合格実績は、塾にとって時代を問わず「選んでもらえる強み」となります。以下のような実績があれば、アピールポイントとして積極的に宣伝しましょう。
- 英検対策の実施
- 定期テスト対策の実施
- 中高一貫校対策の実施
- 特定の学校への進学実績
ニーズに合ったアピールポイントは、地理的な条件も凌駕することができます。同じ条件の塾であれば、ふつうは家から近いほうに通わせるでしょうが、子供の教育にとって魅力的な特色があれば、親は少し遠くてもその塾を選ぶはずです。競合相手となる他塾の特色や地域のニーズも考慮しながら、強みをつくっていきましょう。もし、現状では強みと言える特色がないなら、目指したい塾の姿はどのようなものか、それに必要な塾の強みはなにかを考えてみましょう。
学習塾での基本的な集客施策12選

ここでは、学習塾の運営にあたり、押さえておくべき基本的な集客施策、宣伝方法について振り返ります。以下に挙げた事項は、塾運営の必須事項と言えます。それぞれの予算的・時間的なコストを確認したうえで、さらに詳しく見ていきましょう。
施策・アイデア | 予算的コスト | 時間的コスト |
---|---|---|
コスパの高い施策3選 | ||
SNS運用 | 内製:無料(一部有料) 外注:数万〜数十万円/月 |
内製:継続的に時間を確保する必要がある 外注:投稿内容の提案まで含めて依頼すると、あまり時間がかからない |
MEO(マップエンジン最適化) | 無料 | すぐにできて、あまり時間もかからない (更新は必要) |
無料イベント | 低予算 | 企画や準備、日程の調整に手間がかかる |
基本の基本!押さえておくべき施策3選 | ||
ホームページ作成 | 数万〜数百万円 | 内製:更新も含め、手間も時間も膨大にかかる 外注:運用も含めて依頼すると、あまり時間がかからない |
ポスティング | 数万〜数百万円 (印刷する数量によって変動) |
チラシの作成が必要 |
看板の設置 | 数万〜数千万円 (場所や媒体によって変動) |
看板の作成や設置場所への依頼が必要 |
できればやりたい施策6選 | ||
各種キャンペーン | 数千円〜/1件 | SNSやチラシなどでの周知が必要 |
DM&電話発信 | 無料 | 継続的にDMの作成が必要 電話は時間がかかる |
SEO(検索エンジン最適化) | 内製:無料 外注:数万〜数百万円 |
内製:専門知識が必要なうえ、継続的に時間を確保する必要がある 外注:コンサルティングを含めると、あまり時間がかからない |
ポータルサイトへの登録 | 有料 (一部、無料) | すぐにできて、あまり時間もかからない |
新聞折込チラシ | 数万円〜 | チラシの作成が必要 |
Web広告の出稿 | 数万円〜 | 内製:広告内容の作成が必要 外注:コンサルティングを含めると、あまり時間がかからない |
1. コスパの高い施策3選
まずは、塾の認知度アップや実際の集客につながるコスパの高い施策から見ていきましょう。どれも、やる気と手間をいとわない姿勢があれば実践可能な手法です。
■SNS運用
効果的なSNS運用を行うことができれば、集客のための強い基盤づくりに成功したことになります。なぜなら無料で運用でき、認知拡大から集客までを担う可能性があるからです。
現在、日本人の使用度が高い主なSNSには、YouTube、TikTok、X(旧Twitter)、Instagram、Facebookなどがあります。これらのSNSは、特徴やユーザー層の違いはあるものの、どれも多くの人の日常生活で、身近なコミュニケーションや情報収集のツールとして活用されています。保護者の多くも、投稿から日々多くの情報を得ているでしょう。
写真やテキストのみで投稿できるSNS(X(旧Twitter)・Instagram・Facebook)は、他と比べると運用コストが小さく、実行・継続しやすい点が魅力です。また動画系のコンテンツを継続して制作・投稿するSNS(YouTube・TikTok)は魅力を伝えやすい反面、時間的コストがかかりやすい点はハードルとなる可能性もあります。投稿が継続されないと逆効果になるケースもあるので、十分なリソースを確保するか、無理なく続けられる発信方法を選ぶことも大事です。
またSNSで広告を出稿すると、有料ではありますが多くのユーザーにアプローチが可能です。狙ったターゲットのみに訴求するということもできるため、高いパフォーマンスで塾の集客につながります。
■MEO(Map Engine Optimization)
MEOとは「マップエンジン最適化」の略で、簡単にいえば「Googleマップであなたの塾を目立たせる施策」です。つまり、MEO対策をしていれば、あなたの塾の世間的な認知度が高まります。
これは無料で誰でもできる手法なので、まだ登録していないなら、まずはGoogleマップに塾情報を登録しましょう。登録する情報は、以下を参考に充実させてください。
▶登録のための作業内容
①位置情報の入力:塾の住所を入力
②連絡先の入力:塾の電話番号を入力/塾のホームページをリンクする
③営業時間:月〜日の各曜日について、塾の営業時間を入力/併せて休業日も入力
④画像&動画の投稿:塾の外観や教室内などの写真、動画を掲載・投稿可能
⑤塾施設の説明を入力:必ず説明文に「検索キーワード」を含めることが重要(例:塾のある地域の名や塾というワードなど)
登録作業の⑤は、Googleの検索結果に引っ掛かるために重要ですので、必ず複数のキーとなるワードを入れましょう。
最初の情報登録はこれで完了ですが、その後はユーザーからよい口コミをもらうことが重要になります。塾に対する口コミ数が多く、高評価が多いと、優先的に検索結果に表示されるようになるため、必ず定期的に確認しましょう。
■無料イベント
塾が最も集客しやすいイベントといえば、長期休暇(春・夏・冬休み)の特別講習・講座ですが、平常時にもイベントでの集客は可能です。準備の手間はあるものの、入塾につながりやすい、コスパの高い施策です。
具体的には、以下のような希望者向け無料イベントが考えられます。
- 体験授業:通常の授業を希望者が体験的に受講
- 定期テスト対策:塾生と同じ対策指導を提供
- 実力テスト:模擬テストを行い成績表を送付する
- レクリエーション:実験を行う、知育玩具で遊ぶなどの体験的学習機会の提供
すぐに入塾が決まらなくても、あなたの塾の魅力や特色が伝わり、他の塾より親しみを持ってもらえれば、見込み客になります。肝心な点は、たとえ無料であっても、初めての生徒・児童を対象とするイベント内容を、塾生対象の指導同様に充実させること。動員を成功させることはもちろん、塾への高評価と入塾につながるよう、満足度の高い内容を提供しましょう。
2. 基本の基本!押さえておきたい集客・宣伝施策3選
次に、どんな塾でも、予算をかけてでも行うべき集客のための基本を3つ挙げていきます。(ここではオンライン塾ではなく、地域に根ざす個人塾から中規模の塾企業を想定しています。)
■ホームページ作成
学習塾が本気で集客を考えているなら、自社のホームページ(公式HP/Webサイト)開設は必須事項となります。
たとえばSNS運用やMEOによる集客でも、最終的に誘導する先は、塾の公式HPにある「入塾の申し込みフォーム」や「資料請求フォーム」であることが多いです。目的なくSNS運用や広告を打つのではなく、上記のようなゴールをHPに用意するようにしましょう。
また、ホームページには看板や営業の役割もあります。保護者は必ず、入塾を検討している塾の月謝や授業時間などを、事前に検索するはずです。その時に、ホームページが見やすくて魅力的なものなら、塾への印象がよくなるでしょう。
■ポスティング
ポスティングとは、作成した塾の案内チラシをポスト(郵便受け)に投函する集客施策で、主なメリットは以下のとおりです。
- 特定の地域に配布することで集中的に宣伝できる
- 新聞をとっていない世帯にも配布できる
- 一度は目に留まる可能性が高い
特定の地域内の世帯にまんべんなく投函することで、あなたの塾を知らなかった潜在顧客にも認知してもらえるチャンスが増えます。とくに地理的に塾の近隣地域の家庭であれば、通塾の検討対象に挙がる可能性も高いでしょう。一方で、以下のような点はポスティングのデメリットと言えます。
- 一度に配布できる量には、物理的に限りがある
- ターゲットとなる世帯以外にも配布することになる
- チラシが不要な世帯からのクレームが発生するリスクもある
なお、チラシを作成する際には、入塾または体験授業や説明会の申込書を添えたり、2次元バーコードからWeb経由で参加申込みできる仕組みを整えたりするなど、保護者が塾に申し込みをしやすいよう工夫しましょう。せっかく塾のことを知ってくれても、問い合わせ方法が電話のみだと尻込みしてしまう可能性があります。必ず複数の問い合わせ方法を用意するようにしましょう。
■地域内への看板の設置
あなたの塾が地域に根ざす塾であれば、看板を設置して、塾名が地域の人の目に留まるようにしましょう。集客の基本は、第一に認知してもらうことです。まず地域の人に知ってもらう機会を増やすことで、あなたの塾が多くの人の選択肢になり得ます。
とくに新規開校の場合、塾の近隣地域への看板設置は必須と言えますが、初めは簡易的なものでも構いません。とにかく認知されることが最優先です。また既存の塾も、看板の汚れや破損がないか、文字が薄れていないかなど、定期的に確認しましょう。当然ながら、手入れの行き届いたきれいな看板のほうが、塾への印象は良くなります。
3. 塾の状況次第でできれば行いたい集客施策6選
ここからは、それぞれの塾の状況に応じて取り入れたい集客・宣伝のための施策を紹介します。いずれも塾関係者にとってはおなじみの方法ではありますが、今まで実施していなかった場合も、タイミングやアピール方法を工夫して行うことで効果が期待できます。予算や時間的なコストが許すなら、取り入れてみてください。
■各種キャンペーン
入塾を促すためのキャンペーンを実施できれば、集客力アップにつながります。宣伝広告を後押しするようなお得な特典があれば、入塾を検討する可能性が高まるからです。
主なキャンペーンと特典として、以下のような例が考えられます。
- 紹介キャンペーン(塾生対象、兄弟姉妹や友人などの紹介に対して金券を贈る)
- 入塾応援キャンペーン(3〜4月に入塾する場合、入塾金を全額免除)
- 早期入塾キャンペーン(長期休暇中から入塾すると学費1ヶ月分が無料)
- 成績保証キャンペーン(入塾後のテストで成績が上がらない場合に学費を返還)
これらの集客キャンペーンは、いずれも予算的な余裕がないとできませんが、長期的な利益を考えればプラスになる施策です。生徒の募集を行う時期に、塾の内外にしっかりとアピールして「お得さ」を伝えましょう。
■DM&電話発信
DMとはダイレクトメールの略で、見込み客宛に特別講座やイベント告知などの案内を送付する施策です。過去に塾の資料請求や体験入学などでコンタクトがあり、送付先情報のわかる家庭が対象となります。時間が許すなら、DM発送後、送付先の家庭に電話をかけて動向を確認しましょう。
電話での営業はとても地道ですが、着実に見込み客の動向が判明し、集客の現状を把握しやすい点がメリットです。電話の発信後には、電話をかけた家庭、発信の日付と時間、先方の対応の有無、電話の内容や先方の感触などの情報を記録し、塾内で共有すれば効率が上がりますし、次のアプローチにつなげやすくなります。
■SEO(ブログ)
SEO(Search Engine Optimization)とは「検索エンジン最適化」のことです。あなたの塾のホームページに、より多くの見込み客のアクセスを増やすための施策です。
塾を探すとき、多くの人は「地域名 塾」といったキーワードで検索します。前述したGoogleマップへの塾情報登録など、検索エンジン対策がしっかりできていれば、塾情報の検索結果画面の目に入りやすい位置にあなたの塾のホームページ情報が現れるので、見込み客への認知度を高めやすくなります。
また、ホームページ内に「ブログ」を開設し、有益な新着情報を記事にしていれば、ブログ経由で集客できる可能性もあります。ただし、これも前述のように高評価の口コミなどで検索エンジンからの評価も高める必要がありますので、情報の得やすさ、わかりやすさを意識したコンテンツ制作が必要です。
■ポータルサイトへの登録
ポータルサイトとは、言い換えると「塾情報のまとめサイト」です。「塾のまとめサイト」に、あなたの塾の情報を掲載してもらえれば、より多くの人に認知してもらえる可能性があります。
たとえば、当該地域の塾を検索すると、塾のランキングや比較サイトがよく出てくるはずです。また、駅から近い塾など、別の観点からの「おすすめ」情報として掲載しているサイトもあるでしょう。
見込み客は、これらのポータルサイトを経由して、気になる塾に資料請求をしたり、入塾を申し込んだりすることが多々あります。有料と無料のサイトがあり、有料はそれだけ機能も充実していますが、無料で情報登録できるサイトもあるので、ぜひ検討してみましょう。
■新聞折込チラシ
新聞折込チラシとは、その名のとおり新聞に折り込んだチラシを、新聞配達時に各家庭に一緒に配布する集客施策です。特定の地域で新聞をとっている世帯に比較的安価で届き、地域での認知度を高められます。
ポスティングによるチラシ配布同様、見込み客の目に留まりやすい点が最大のメリットです。とくに、お買い得情報などのチラシを日々チェックしている「生徒のお母さん」層に、アピールできるチャンスです。
ただし、当然ながら、新聞をとっていない世帯には届きません。新聞の契約世帯は減少傾向にあり、とくに若い世代では「新聞離れ」が進んでいます。とはいえ、地域によって購読率は異なるため、必要に応じて検討しましょう。
■Web広告の出稿
予算が許すなら、Web広告の出稿も検討しましょう。なぜなら、いまやWeb広告の重要性は、4大メディア(新聞・テレビ・ラジオ・雑誌)と同等かそれ以上に高まっているからです。実際に、2019年以降は、4大メディアを凌駕する広告費がWeb広告に投入されています。
あなた自身も、生徒や保護者も、日々の情報収集にはスマホやタブレットなどをメインに使っているでしょう。つまりそれだけ、Web広告によるアピール機会の増加は確実ということです。
▶主な広告の種類と特徴
リスティング広告:検索キーワードに合わせて広告を表示
ディスプレイ広告:Webサイトなどに画像や動画の広告を表示
動画広告:YouTubeや各種SNSなどに広告動画を流す
リターゲティング広告:ホームページの訪問者に広告を表示
Web広告の強みは、特定の地域や年齢層に絞って広告を表示できることです。これにより、見込み客となる層に対して、的確な訴求が可能となります。集客期間だけに集中して広告を出すことも可能ですし、予算が限られるなら上限設定もできます。
■その他の方法
高額な費用が掛かる手法ですが、塾の集客にテレビCMを利用するという手もあります。日本人のテレビ離れに言及するメディアが増えたとはいえ、やはりまだテレビを見ている層は多いので、CMによる認知拡大には一定の効果が期待できます。有名な塾であるという安定性を印象づける効果もあるでしょう。
ただし非常に高額な予算が必要で、費用対効果がわかりにくいデメリットもあります。とにかく予算に余裕がないと実現できませんが、磐石な状態を作りたい場合におすすめしたい施策です。
これとまったく逆の地道な手法としては、校門配布(チラシ配り)があります。登下校する生徒に直接チラシを手渡しするのは、昔からある施策です。可愛い消しゴムなどの文房具を「おまけ」として付けると、受け取ってもらえる確率が高まりますし、面白いクイズ問題などをチラシに挟むのも、印象付けに役立ちます。ただし、校門の前で配布する場合は、学校の許可を得て安全面に気をつけてください。
また機会は少ないですが、最も有効な見込み客と言えるのが、塾生の兄弟姉妹や友人・知人です。とくに兄弟・姉妹に対する案内は、保護者との電話や面談で話題にしやすく、案外サクッと入塾につながることもあり得ます。日頃からアンケートをとったり生徒との会話で探りを入れたりして、情報を把握するとともに、いつでも渡せるようにチラシなども準備しておきましょう。
集客施策の実践における成功のコツ

学習塾の基本的な集客施策について、改めてそれぞれの実践方法や効果、注意点などを振り返りました。では次に、より大きな効果につなげるためのコツについて見ていきます。
1.さまざまなメディアを組み合わせる
多様な集客施策やアイディアを組み合わせることで、あなたの塾にとって最適な方法を見つけていきましょう。なぜなら複数のメディアを使うことで、それぞれの弱点を補い合い、認知の拡大や集客力が高まるからです。
たとえばWeb広告は、想定するターゲット層へのアピールは得意ですが、もともと興味のない人には広告が表示されず訴求できません。しかしポスティングは、興味の有無にかかわらず指定した地域に届けられるので、興味がなかった人にも認知される可能性があります。つまりポスティングとWeb広告の出稿を組み合わせれば、お互いの弱みを打ち消す効果が期待できます。メディアを組み合わせることで、より幅広いターゲットへリーチしましょう。
2.施策を打つタイミングを検討する
さまざまな施策は、実行するタイミングも重要です。タイミングが悪いと、宣伝広告が無駄に終わったり、期待する効果を得られなかったりするからです。
たとえば、夏期講習に生徒を募集する場合、いつからいつまで宣伝広告を続けるべきでしょうか。最適解は、さまざまな動きから総合的に判断すべきです。このケースであれば、塾の近隣地域にある各学校の期末テストや終業式の日程、部活動の夏季の大会日程、各学校の夏休みの登校日や2学期の始業式の日程といった予定を、あらかじめ調査する必要があるでしょう。日程を正確に把握すれば、市場の動きや生徒・保護者の消費者行動を、ある程度予測して動くことができます。
チラシの投函日や、エリア広告・Web広告の表示期間などはしっかりと検討して、集客における費用対効果を最大限に高めましょう。
3.年間を通じて時期により施策に強弱をつける
上記の内容と関連しますが、年間を通じて時期により施策に強弱をつけることも、集客の大事なコツと言えます。とくに入塾を考えやすい時期に合わせて宣伝やキャンペーンを強化すれば、ニーズにマッチしやすいからです。
来春から中学生になる子どもがいれば、塾に通わせるべきかを検討する保護者も多くいるでしょう。教育熱心な保護者は、小学6年生の早い時点から塾を探し始めます。キャンペーン時は「なぜこの時期が大事なのか」をアピールすると、危機感と期待感の双方に訴えることになります。動向を読んだ施策の実施が有効です。
塾への好印象を損ねない集客活動のために:6つの注意点
最後に、具体的な塾の「集客活動」における注意点をお伝えしていきます。これは集客施策だけでなく、日頃の塾運営にも役立つポイントなので、ぜひ心に留め置いていただければ幸いです。
1.優先順位を間違えない
集客活動は、塾が存続するために欠かせない仕事の一部ではありますが、塾にとって最優先すべきことは今いる生徒たちの指導です。塾生の新規獲得に熱心になるあまり、目の前の生徒に対する指導が疎かになる状況だけは、絶対に避けてください。
優先順位を間違えれば、せっかくご縁のあった生徒が辞めていくという最悪のケースに陥ることもあり得ます。学習塾にとって、集客活動に本腰を入れるべき時期と繁忙期は重なりがちですが、集客を優先して指導の質を落とすことのないような塾全体の取り組みをしていきましょう。
2.過剰な営業をしない
入塾可能性のある家庭へ何度も電話をするなど、営業活動がしつこくなると、逆に嫌悪感を与える原因になってしまいます。また、塾生や保護者に友人知人の紹介をお願いするのにも限度があります。
集客を念頭に置いて生徒や保護者と接するときは、相手をうんざりさせないように十分配慮してください。集客を成功させたい強い一心から営業トークが先んじて、セールスマンにならないように心掛けましょう。相手はあなたを塾の先生、教育者として見ていることを忘れずに。また、見込み客への同時期の案内は、できれば2回、多くても3回までに抑えましょう。
なお、電話がけの際に不快な印象を与えないためのポイントを一つお伝えします。電話では塾の案内に終始するのではなく、先に相手の成績状況や悩み事を伺うと好印象です。
3.効果測定を忘れない
シビアな現実ではありますが、塾の運営もビジネスです。集客を最適化するためには、費用対効果の測定を忘れないようにしましょう。はじめから理想通りの集客を実現することは、どんな塾にとっても至難の業です。
集客施策やアイディアは多様で、地域や見込み客のニーズを考えながら、複数を組み合わせることがほとんどです。各施策にどの程度コストを配分すべきか明らかにするために、行った施策、投入した資金、入塾に至った件数、問い合わせに至った件数、この4つのポイントは必ず記録しましょう。
集客を行うたびに効果測定をしていれば、最も少ないコストで高い反応・効果を得られる状況を創出できるようになります。大切な予算を無駄にしないために、客観的な数字を判断に用いてください。
4.中長期的な視点を持って取り組む
集客は塾運営の死活問題に直結する事項なので、不振であれば当然、焦りや不安が生じるでしょう。しかし、中長期的な視点で取り組むことも大事です。効果が出るまでに時間がかかる施策もありますし、即効性のある施策ばかりではないからです。
なにより、塾のアピールポイントであり財産である実績や生徒・保護者とのつながりは、築き上げるまでに時間を要します。とくに新しい塾の場合は、よほど市場や運に恵まれない限り、すぐには思うように生徒が集まらないのが普通と心得ましょう。
5.オンラインの塾情報はこまめに更新する
オンライン上で行う集客がオフラインでの集客同様に大事な昨今は、発信する情報を常に最新に保つことが重要です。情報が古いままだと、機会損失になる恐れがあります。
気になる塾のホームページやブログ、SNSの更新が、もしも数ヶ月前で止まったままになっていたら、見る人に安心感や好印象は与えないはずです。せっかくあなたの塾に関心をもってアクセスしてくれたのに、ページを閉じてそれきりになるかもしれません。WebサイトやSNSでの発信は、するからには十分な体制を整えてから開始し、タイムリーな情報提供を行いましょう。
6.スピーディに対応する
集客におけるアクションは、スピードが命です。対応スピードの早さは、見込み客に塾の熱意や誠実さ、塾生への真摯な姿勢を伝えます。その一方で対応の遅さが目立つと、見込み客には決してよい印象を与えません。
請求した資料がなかなか届かなかったり、体験授業の参加申込みに対するメールやLINEの返信が遅かったりすると、保護者はどう感じるでしょうか。もしかすると「我が子ときちんと向き合ってくれる余裕がないのでは?」と、塾に対して不安を感じる保護者もいるかもしれません。
入塾を考えるとき、生徒や保護者が複数の塾に資料請求や体験授業の参加申込みを行うケースは多々あります。普通は早く届いた資料から目を通し、早く日程の決まった体験授業に参加するでしょう。つまり対応が遅くなれば、その分だけ優先順位は下がり、入塾の機会損失につながる可能性が高くなります。
通いたい・通わせたい塾になるために:3つのポイント

ここまで、望ましい塾の集客活動について、基本の見直しと効果を上げるための提案を行ってきましたが、その上で、おろそかにしてはいけない塾運営の大前提を振り返りましょう。
さまざまな施策やアイディアを打つことは大事ですが、そもそも、生徒が通いたい塾、保護者が子どもを通わせたいと思える塾であることが大前提です。生徒が集まる学習塾になるための基本事項は、定期的に確認していきたいものです。
1.実績を作る
ICTが発達した今でもなお、保護者同士の口コミの効果は絶大です。よい口コミを生むためには、やはり塾としての実績を作るしかありません。なんといっても、合格実績、テストの点数、テストの順位は、もっともアピールしやすいポイントです。
よい評判・口コミを生むためには、数字をアピールすることが大事です。地域に根ざす塾であれば、学年TOP10に入る生徒を輩出する、地域で一番の進学実績を目指すなどの努力は必須と言えます。
2.ロイヤリティ(愛塾心)を高める
現在通ってくれている塾生たちのロイヤリティ(愛塾心)を高めることも、塾の集客の大事な要素の1つです。生徒、保護者の塾に対する満足度が強いほど、将来的に仲のいい友人や弟妹を紹介してくれる可能性が高くなるからです。良い評判は必ず周囲に伝わります。
塾生の成績アップや志望校合格の実現は、塾として当然ながら重要です。しかし、①先生との連絡や意思疎通がスムーズに取れる、②登下校の通知が来るシステムがある、③勉強以外の生徒の悩み相談にも応じてくれる、④勉強に役立つグッズがもらえる、などの対応はできているでしょうか。保護者であれば①②、生徒であれば③④のような対応も、満足度の向上につながります。
塾のソフト面(人・サービスなど)と、ハード面(設備・システムなど)の、どちらも大切です。日頃からの小さな積み重ねで、塾生や保護者の愛塾心を高めましょう。
3.塾講師の職場環境を整える
塾講師が働く職場環境を整えることも、集客の結果につながる大事な要素です。楽しく、心地よく働いている講師たちの雰囲気は生徒へ伝わりますし、働きやすい環境を整えることで離職率を下げることにも繋がります。さらに、講師が長く塾に勤めることにより、授業や運営の質を維持しやすくなります。
そもそも、講師がコロコロ変わったら、保護者は不信感を抱き不安になってしまいます。講師が変わるごとに、生徒や保護者との関係性を一から再構築することにもなってしまいますから、この点は塾への信頼感に直に影響するでしょう。
塾を経営する立場の方は、講師が少しでも働きやすくなるような職場環境をつくりましょう。指導以外の業務の効率化、仕事の全体量の見直しなどに、現場の声を聞ける機会を設けながら取り組んでみてください。塾生のために日々頑張る講師を大切にしてこそ、塾生が大切にされる塾になるでしょう。
あなたの塾に合う方法で集客を最適化しよう!
理想は「通いたい・通わせたい塾」になることです。少子化という逆風の中でも、保護者や生徒に選ばれ、信頼され続けるためには、最終的には塾の基盤となる魅力を高め、維持するしかありません。まずは学習塾として、ご縁のつながった生徒と保護者に寄り添う指導で、実績や良い口コミを積み上げていきましょう。
そして同時に、あなたの塾や展開する地域に合わせて集客を最適化することも常に念頭においてください。本記事で振り返ってきた集客の基本事項をもとに、まずはターゲットの調査と有効な集客方法の検討を行い、コストの低い施策から試していったり、現状行っている施策の見直しを行っていくと良いのではないでしょうか。より良い集客施策を打ち、あなたの塾の良さや強みが保護者、生徒に正しく伝わることを願っています。
これからの教育を担う若い先生たちに向けた、
学び・教育に関する助言・ヒント(tips)となるような情報を発信します。
何気なく口にする駄菓子(chips)のように、
気軽に毎日読んでもらいたいメディアを目指しています。
