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公開日:2026年06月12日  
更新日:2026年05月11日

アクティブ・ラーニングとは?今なお注目すべき理由と古いと言われるわけを解説

教育現場で広く知られる「アクティブ・ラーニング」。子どもたちの主体的な学びを促す手法として注目され続ける一方で、「もう古い」という声を耳にすることもあるかもしれません。

そこで、この記事では、アクティブ・ラーニングの基本的な考え方からメリットや最新の教育情勢での位置づけまで、小中学校の先生方が押さえておきたい内容を解説していきます。

アクティブ・ラーニングとは?

教育現場で広く知られるようになった「アクティブ・ラーニング」ですが、具体的にどのような学習方法なのか、改めて確認しておきましょう。

ここでは基本的な定義と、講義形式の授業との違いについて解説していきます。

アクティブ・ラーニングの定義と基本的な考え方

アクティブ・ラーニングとは、教員が主導する知識伝達型の講義とは異なり、生徒が主体的に学習するための学習法です。日本語では「能動的学習」や「主体的な学び」と表現されることもあります。

文部科学省の中央教育審議会答申(平成24年8月28日 用語集)では、「学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称」と定義されています。単に活動を取り入れるだけでなく、生徒が能動的に学ぶことで「認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る」ことが目的です。

具体的には、発見学習や問題解決学習、体験学習などが含まれます。また、教室内でのグループディスカッションやディベート、グループワークなども効果的なアクティブ・ラーニングの方法として位置づけられています。

つまり、生徒が聴くだけでなく、自ら考え、議論し、表現する学習活動全般を指しているのです。

参考:文部科学省「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて~生涯学び続け、主体的に考える力を育成する大学へ~(答申)

講義形式の授業スタイルとの違い

講義形式の授業は、教員が前に立って知識を伝え、生徒は話を聞いてノートを取るというスタイルが中心です。一方、アクティブ・ラーニングでは生徒が主体となって考え、議論し、表現することが重視されます。

この違いを具体的に見てみましょう。

 講義形式の授業スタイルアクティブ・ラーニング
生徒の姿勢説明を聞いて知識を習得する能動的・主体的に学習に参加する
教室の様子教員を向いた一斉授業形式グループ配置など対話しやすい環境
授業の進め方教員による説明が中心議論、発表、協働作業など活動が中心
教員の役割知識の伝達者学びの支援者、ファシリテーター
学習の中心知識の暗記・再生思考力・判断力・表現力の育成

このように、アクティブ・ラーニングでは、生徒同士が対話しながら協働で課題解決に取り組む学習環境を作ることが重要になります。

アクティブ・ラーニングは、生徒の主体性を引き出し、深い学びを実現することを目的とした学習方法です。講義形式の授業とは異なり、生徒が中心となって考え、議論し、表現することが特徴です。

アクティブ・ラーニングを取り入れるメリット

アクティブ・ラーニングを授業に取り入れることで、子どもたちのどのような力が育まれるのでしょうか。

ここでは、具体的なメリットと期待できる効果を見ていきましょう。

主体性と思考力の育成

アクティブ・ラーニングでは、生徒が自ら問いを立て、必要な情報を収集し、考えを深めていくプロセスを経験します。この経験を通じて、主体的に学ぶ姿勢が自然と身についていくでしょう。

講義形式の授業のように、教員から一方的に知識を受け取るだけでは終わりません。自分自身で考察し、物事を多角的に捉えて判断する力が養われていくのです。

こうして養われる主体性と思考力は、変化の激しい現代社会を生き抜くために求められている能力でもあります。正解のない課題に直面したとき、自ら問題を発見し、解決策を考え出す力が必要になるからです。アクティブ・ラーニングは、こうした問題解決能力の土台を作る学習方法といえるでしょう。

コミュニケーション能力と協働する力の向上

グループワークやディスカッションを通じて、生徒は他者と意見を交換しながら、協力し合って課題に取り組む経験を積むことになります。こうした活動の中で、相手の考えに耳を傾け、理解しようとする姿勢が自然と育まれていきます。

同時に、自分の意見を相手に分かりやすく伝える表現力や、対話力も鍛えられます。単に自分の考えを述べるだけでなく、根拠を示しながら論理的に説明する力が身についていくのです。

また、チームで一つの目標に向かって協働する経験は、役割分担や意見調整の大切さを学ぶ機会にもなります。こうした活動を通じて身についたコミュニケーション能力や調整力、協働する力は、社会に出てからもさまざまな場面で重視される大切なスキルです。

知識の定着と深い理解の促進

アクティブ・ラーニングでは、知識を受動的に「聴く」だけでなく、実際に「活用する」場面が生まれます。学んだ知識を使って、問題の解決策を考えたり、他者に分かりやすく説明したりする活動を通じて、知識は自分のものとなっていきます。知識の定着率の向上につながる効果が期待できるでしょう。

また、グループで議論する際、学んだ知識を自分の言葉に置き換えて説明することで、理解が曖昧だった部分が明確になります。他の生徒の説明を聞くことで、新たな視点や、自分とは違う解釈の仕方に気づくこともあるでしょう。

これらのプロセスを経ることで、子どもたちの学習活動は、表面的な知識の習得にとどまらず、概念の深い理解へとつながることが期待できます。知識を応用する力も身につき、学びが「テストのための知識」から「実際に使える知識」へと転換されていくのです。

アクティブ・ラーニングは、主体性・思考力、コミュニケーション能力、知識の定着と応用力、という3つの側面から、子どもたちの成長を支えます。これらの力は、いずれも変化し続ける社会で生きていくために欠かせないものです。

「アクティブ・ラーニングは、もう古い」は本当?

「アクティブ・ラーニングは、もう古い」という声を耳にして、不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。

ここでは、アクティブ・ラーニングが注目されてきた背景や、学習指導要領での位置づけを整理していきましょう。

アクティブ・ラーニングが注目された背景

アクティブ・ラーニングが教育現場で注目されるようになった背景には、社会の大きな変化があります。

2010年代以降、グローバル化やAI技術の進展など、社会の変化が一層加速しました。こうした変化の中で、従来のように知識を暗記するだけでは、社会で活躍する人材を育てることが難しくなってきたのです。

変化の流れを整理すると、以下のようになります。

年代教育課題の認識教育施策の動き
2010年代〜・知識偏重型教育では対応できない現状 ・主体的に学ぶ力の育成が不十分 ・思考力・判断力・表現力の育成の必要性知識偏重型教育からの転換が課題として認識される
2012年・変化の激しい社会で活躍できる人材育成の必要性 ・大学生が主体的に学ぶ力の不足 ・生涯学び続ける力の育成重視  中央教育審議会の答申で能動的学修(アクティブ・ラーニング)の重要性を提言
2014年・知識の暗記・再生に偏った教育からの脱却 ・思考力・判断力・表現力の育成強化 ・主体性を持って協働する態度の重視  中央教育審議会の答申で主体性を持って多様な人々と協働する態度の育成を強調

文部科学省は、知識の量だけでなく、その知識を活用して課題を解決する力や、他者と協働しながら新しい価値を生み出す力といった「汎用的能力」の育成を重視する方針を打ち出しました。

こうした社会的要請を受けて、アクティブ・ラーニングは高等教育だけでなく、初等中等教育を含めた全国の教育現場で推進されるようになったのです。

参考:
文部科学省「新たな未来を築くための大学教育の質的転換に向けて
文部科学省「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について

学習指導要領での位置づけの変化

「アクティブ・ラーニングは古い」と言われる理由の一つに、学習指導要領での表現の変化があると考えられます。2017年に告示された現行の学習指導要領では、「アクティブ・ラーニング」という言葉そのものは使われていません。代わりに「主体的・対話的で深い学び」という表現に置き換えられています。

では、アクティブ・ラーニングの考え方自体が不要になったのでしょうか。答えは「ノー」です。

文部科学省の資料を見ると、「主体的・対話的で深い学び」は「アクティブ・ラーニング」の視点からの授業改善として、明確に位置づけられています。「アクティブ・ラーニング」という用語は使われなくなりましたが、本質的な考え方は引き継がれているといえます。

むしろ、表現を変えた背景には、形だけの活動に終わらせず、「深い学び」を実現することの重要性を明確化するという意図があると考えられます。

グループワークをすればよい、という表面的な理解を避け、生徒が思考を深め、知識を相互に関連付けて理解できる学びを目指そうという意図が込められています。

つまり、学習指導要領において「主体的・対話的で深い学び」は、今も教育の中核をなす重要な視点として位置づけられています。現在も全国の教育現場で、この視点に立った授業改善が求められているのです。

「アクティブ・ラーニング」という言葉を聞かなくなったからといって、その考え方が古くなったわけではありません。

用語は「主体的・対話的で深い学び」に変わりましたが、その本質は変わっていません。むしろ、形だけの活動に終わらせず、深い学びを実現することの重要性が明確化されたといえます。これは今も教育現場で求められている視点です。

アクティブ・ラーニングを効果的に授業に導入するポイント

アクティブ・ラーニングの意義は理解できても、「形だけの活動に終わってしまうのでは」と不安を感じる先生もいらっしゃるでしょう。

ここでは、アクティブ・ラーニングを効果的に子どもたちの学びにつなげるために、先生が押さえておきたい、授業への導入の具体的なポイントを紹介します。

明確な目標設定と学習の目的の共有

アクティブ・ラーニングを成功させる第一のポイントは、明確な目標設定です。活動を始める前に、「この授業で何を学ぶのか」「どのような力を身につけるのか」を明確にしておくことが欠かせません。

まず、教員自身が活動の目的をしっかりと理解している必要があります。グループワークやディスカッションは手段であり、目的ではありません。どんな能力や技能を育てたいのか、どんな気づきを得てほしいのかを、明確にしましょう。

そして、その目的を生徒と共有することも重要です。「なぜ、この活動をするのか」「何を目指すのか」を生徒が理解していれば、自然と取り組む姿勢が変わります。目的を明確にすることで単なる楽しい活動で終わらず、学びの質が高まるでしょう。

適切な課題設定とファシリテーション

第二のポイントは、生徒に合った課題を設定することです。課題の難易度は、生徒の発達段階や理解度に応じて適切に調整する必要があります。簡単すぎても難しすぎても、効果的な学びにはつながりにくくなってしまいます。

「少し頑張れば解決できる」程度の課題が、生徒の思考を活性化させると考えられています。背伸びが必要なレベルの課題に取り組むことで、生徒の成長が促され、深い学びにつながるのです。

また同時に、先生の適切な役割への意識も重要です。講義型の知識を伝える立場ではなく、ファシリテーター(学びの支援者)として生徒に関わることが求められます。

具体的には、生徒の議論や活動を見守りながら、適切なタイミングで先生が問いを投げかけます。「なぜ、そう考えたの?」「別の視点から見ると、どうだろう?」といった問いかけが、生徒の思考を深める手助けになります。

振り返りと評価の工夫

第三のポイントは、活動後の振り返りです。実は、この振り返りが、学びを定着させる上で極めて重要な役割を果たします。

生徒自身が「何を学んだのか」「どのような気づきがあったのか」を言語化することで、それらが確かな知識として定着していきます。逆に振り返りの時間を省略してしまうと、活動を通じて得たものが十分に定着せずに、終わってしまうこともあるでしょう。

また、活動への評価についても工夫が必要です。先生は、目で捉えやすい活動への参加度だけで判断するのではなく、活動を通じた生徒の思考の深まりや表現力の向上など、多面的な視点で評価することが大切になります。

例えば、評価基準を明確に示した「ルーブリック評価」を活用すれば、生徒も目指すべきゴールを理解しやすくなります。また、学習の過程を記録する「ポートフォリオ評価」を取り入れることで、生徒の成長を可視化できます。

ルーブリック評価とは、学習目標の達成度を測るため、評価項目と達成基準を表で示す評価方法です。一方、ポートフォリオ評価は成果物や制作過程の記録、自己評価コメントなどを集め、多角的に評価します。活動内容に合わせて評価方法をうまく活用しましょう。

学校で活用しやすいアクティブ・ラーニングの手法5選

アクティブ・ラーニングと一口に言っても、実はさまざまな手法があります。

ここでは、学校現場で取り入れやすい代表的な手法を5つ紹介します。

1.グループワークやグループディスカッション

最も基本的で取り入れやすい手法が、グループワークやグループディスカッションです。3〜6人程度の少人数グループに分かれて、与えられたテーマについて話し合い、意見をまとめていきます。

グループワークやグループディスカッションの特徴は、協働して課題に取り組む経験ができることです。メンバーで意見を出し合い、議論しながら一つの結論を導く過程で、コミュニケーション能力や協調性が自然と育まれるでしょう。

また、教科を問わず導入しやすいのも魅力です。国語の読解や社会の資料分析、理科の実験考察など、あらゆる場面で活用できます。

効果を高めるコツは、役割分担を明確にすることです。司会役、記録役、発表役などを決めることで、全員が主体的に参加しやすくなります。

2.ディベート

ディベートは、あるテーマについて肯定側と否定側に分かれて議論を行う手法です。ルールに基づいて論理的に主張を戦わせることで、高度な思考力が鍛えられます。

ディベートで育まれるのは、論理的思考力や批判的思考力です。根拠を示しながら自分の主張を組み立て、相手の論理の弱点を見抜く力が養われます。また、説得力のある表現力も身につきます。

興味深いのは、必ずしも自分の意見ではない立場で議論することもある点です。異なる視点から物事を考える経験を通じて、多角的に問題を捉える力が育ちます。

これは、特に社会や国語などで効果的に活用できる手法です。ただし、テーマ設定や資料の準備に時間がかかるため、計画的な実施が求められます。

3.Think-Pair-Share(シンク・ペア・シェア)

Think-Pair-Shareは、3つのステップで進める手法です。まず個人で考え(Think)、次にペアで意見を交換し(Pair)、最後に全体で共有します(Share)。

Think-Pair-Shareのメリットは、全員が参加しやすいことです。いきなり全体の前で発表するのではなく、まず個人で考える時間が確保されるため、発言が苦手な生徒も自分の考えを整理できます。

その後、ペアという安心できる小さな単位で意見交換することで、考えを深めたり広げたりする経験ができます。そのような段階を踏んで全体共有のステップになるので、ペアで話し合った内容を皆に伝えればよく、全体の前で発表することへの心理的なハードルが下がるのです。

これは短時間で実施できるので、アクティブ・ラーニングの導入として最初に試す活動にも適しています。

4.ジグソー法

ジグソー法は、複雑なテーマを、複数の部分に分けて学習する手法です。パズルのピースを組み合わせるように、各自が別々に学んだ情報を持ち寄って全体像を完成させます。

ジグソー法は、2段階で構成されています。まず「エキスパート活動」として、生徒は各自、それぞれ異なるテーマについて専門的に学びます。次に「ジグソー活動」として、異なるテーマを学んだメンバー同士が集まり、互いに教え合います。

特徴的なのは、すべての生徒が「教える側」と「学ぶ側」の両方を経験することです。他者に説明する過程で理解が深まり、他者から学ぶことで知識が統合されていきます。

5.PBL(プロジェクト型学習)

PBLは、Project-Based LearningまたはProblem-Based Learningの略で、実社会に関連する課題やプロジェクトに長期的に取り組む学習方法です。

この手法では、生徒が自ら問いを設定するところから始まります。「地域の活性化のために何ができるか」「環境問題をどう解決するか」など、身近なテーマからスタートすることが多いです。

テーマを設定したら、必要な情報を収集し、調査・分析を行い、解決策を考えていきます。そして最終的には、自身の学習の成果をプレゼンテーションやレポートなどの形で発表します。

教科横断的な学びや総合的な学習の時間に適しており、主体性、問題解決能力、創造性など、多様な能力を総合的に育むことが期待できる手法です。

PBLとは? 基礎から授業への取り入れ方・実践のコツまで完全ガイド

アクティブ・ラーニングの手法には、それぞれ異なる特徴があり、伸ばせる能力も異なります。教科や単元、生徒の実態に応じて使い分けることで、効果的な授業づくりを目指せますので、取り入れやすい手法から試してみましょう。

アクティブ・ラーニングの本質を理解し、効果的に実践しよう

アクティブ・ラーニングは、古い手法ではありません。現行の学習指導要領でも、「主体的・対話的で深い学び」の視点から授業改善を進めることが求められています。

用語は変わりましたが、子どもたちの主体性を引き出し、思考力・判断力・表現力を育成するための学びという本質は変わっていません。むしろ、形だけの活動に終わらせず、深い学びを実現することの重要性がより明確になったといえます。

今回紹介したさまざまな手法を、教科や単元、生徒の実態に応じて選択し、活用してみてください。まずは小さな実践から始め、生徒たちと共に試行錯誤しながら、より効果的なスタイルを見つけていきましょう。

まなびチップスでは、授業づくりに役立つ情報を今後も発信していきます。現場の先生方の日々の実践をこれからもサポートしてまいります。

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