
授業の中で問題演習を取り入れているものの、「なかなか正答率が上がらない」「演習の内容が定着していない」といった課題を感じることはありませんか。
問題演習は、ただ量をこなすことが目的ではなく、生徒の理解を深め、次の学習につなげるための重要なプロセスです。授業の中で、生徒の意識や取り組み方を少し変えるだけでも、演習の質は大きく変わります。
この記事では、中学生を教える先生に向けて、生徒の理解や定着につながる、効果的な問題演習の取り組み方と進め方を紹介します。
授業における問題演習の役割と重要性
問題演習は、生徒の理解を深めるうえで欠かせない学習のひとつです。まずは、問題演習の役割を整理しておきましょう。
つまずきや考え方の癖を把握する
生徒が書く途中式や書き込みは、その生徒の思考プロセスそのものです。計算の手順や式の立て方、読み取りの仕方などを確認することで、その生徒のつまずきや考え方の癖が見えてきます。
生徒が間違えやすいポイントを把握できるので、個別の指導に活かせるでしょう。
単元全体の理解度を確かめる
演習を通して、生徒がその単元をどの程度理解できているかをつかむことができます。
生徒の理解の偏りや、重点的に補強すべき部分が明確になるため、より効率的な指導へとつながるでしょう。
テストで得点につながる力を育てる
問題演習は、学習した内容を実際の問題で使うための練習の場です。くり返し取り組むことで、インプットした知識を使いこなす力が養われます。
こうした力は、定期テストや入試本番での得点力向上にもつながるでしょう。
先生自身が問題演習の役割を意識し、問題演習に取り組ませることで生徒にどうなってほしいのかを考えておくことが大切です。
理解が深まる問題演習の進め方
問題演習の量をこなしていても、生徒の理解が深まっていないことがあります。その違いを生む要因は、「演習に入る前の見通し」「解いている最中の観察」「間違えたあとの振り返り」といった、指導側の進め方にあると言えるでしょう。
ここでは、生徒が理解を深め、定期テストや入試で力を発揮できるように導くための、問題演習のステップを解説します。
ステップ1:問題演習に取り組む目的を確認する
問題演習に取り組む前に、まず「この演習で何を確かめたいのか」を生徒に意識させることが重要です。目的があいまいなまま始めてしまうと、ただ問題をこなすだけの作業になりやすく、間違いの原因にも気づきにくくなります。
例えば、次のような視点を事前に示します。
- 正しく計算できるか
- 公式を適切に使えるか
- 同音異義語の漢字を書き分けられるか
- 文章の要点を的確につかめるか
こうした視点を示すことで、生徒は何を意識して解けばよいかがつかみやすくなります。また、解き方の型やよくあるつまずきを確認しておくと、解き始めの迷いを減らすことができます。さらに、取り組む時間を共有することで間延びを防ぎ、一定の緊張感を保ちながら、集中して演習に向かわせることができるでしょう。
ステップ2:解いている最中の生徒の手順・思考を見取る
問題演習に取り組んでいる最中は、解き終わった答えだけでなく、生徒がどんな手順や考え方で問題に向かっているかを見取ることが大切です。途中の様子を観察することで、「どこで困っているのか」「どこでつまずきやすいのか」といった課題が見えやすくなります。
◆ 途中経過を見ると分かるポイント
- 途中式や図の書き方に誤りがないか
- 条件の読み取りで思い込みが生じていないか
- 解法の選択に迷っていないか
特に数学では、途中式を省くことで計算ミスが増える、最初に選んだ解法にこだわって抜け出せない、といった様子がよく見られます。国語や英語では、問題文や設問を最後まで読んでいないことが、誤答の背景になっているケースもあります。
この際、必要以上にヒントを出しすぎると、生徒が自力で考える機会が減ってしまいます。声かけをする場合は、考え方を引き出すような問いかけが有効です。
- 「どこまで分かった?」
- 「この条件はどう使えそう?」
こうした問いを使うことで、思考の流れが整理され、生徒自身で解き進める手助けとなるでしょう。
ステップ3:丸つけを通して、間違いの原因に気づかせる
丸つけは、答え合わせのためだけに行うのではなく、生徒がどこで・なぜ間違えたのかに気づけるように導くことが大切です。正解・不正解だけを確認して終わってしまうと、間違った部分の正しい解き方が身につかず、次に活かすことができません。
まずは、生徒に間違いの背景を整理させましょう。誤答の原因としてよく見られるのは、次のようなものです。
- 計算の抜けや写し間違いなどのケアレスミス
- 公式の理解不足や選択ミス
- 条件の読み取り違い
- 思い込みによる解法の決めつけ
- 問題文や指示の読み飛ばし
「どこで間違えたと思う?」「この数字はどこから来た?」といった問いかけを通して、生徒自身が原因を言語化できるように関わります。生徒が間違いの原因に気づけると、次に同じタイプの問題に取り組む際、注意すべきポイントが明確になるでしょう。
ステップ4:解き直しや類題で、理解を確かなものにする
丸つけで間違いの原因が分かったら、次は自力で解けるようにするステップへ進みます。解説を読んで終わりにするだけでは、分かったつもりになりやすく、定着にはつながりにくいものです。
まずは、間違えた問題にもう一度自力で取り組ませましょう。「どこでつまずいたのか」「どうすれば正解になるのか」を意識しながら解くことで、自分の力で正答にたどり着くことができ、成功体験にもつながります。
さらに、類題にも取り組ませることで、本当に理解できているかを確認しましょう。
- 同じ公式を使う計算問題
- 同じ条件の読み取りが必要な文章題
- 同じ文法を扱う問題
- 類似の読解視点が求められる文章
など、「同じ視点で解く問題」に取り組ませることで、理解はより確かなものになっていきます。時間が限られている授業では、演習の量を増やしすぎず、解き直しと類題をセットで1つの流れとして扱うと無理なく実践できるでしょう。
解く前の意識づけから、解いている最中の見取り、丸つけ、解き直しまでの流れを意識して演習に取り組ませることで、学習のサイクルが整い、理解がより深まりやすくなります。
家庭学習でも効率よく問題演習に取り組むための指導ポイント
授業で身につけた演習のサイクルは、家庭学習でも同じように回せることが理想的です。生徒が家庭でも演習のサイクルを継続するためには、「何を」「どの順番で」「どれくらい」進めればよいかを生徒自身が具体的にイメージできていることが大切です。
授業と同じ演習サイクルで取り組めるように工夫する
授業で行った「①目的を確認する→②解き進める→③丸つけをして間違いを整理する→④解き直し・類題に取り組む」という流れを、家庭学習でもできるだけ同じように回せるよう、手順を伝えておくとよいでしょう。
また、宿題を出す際は、解き直しや類題で取り組める課題もセットにしておくとスムーズです。
丸つけの際に確認する観点・ポイントを共有する
丸つけの仕方や、間違いの見方(ケアレスミスか、理解不足か、読み取りミスか等)は、授業と家庭でできるだけ同じ方法にしておくことが望ましいでしょう。
「どこを見ればいいのか」「どう直せば次に活かせるのか」が分かっていると、生徒が一人で取り組むときも迷いにくくなり、家庭での演習サイクルが安定しやすくなります。
家庭学習で取り組む量と難易度の目安を示す
家庭学習では、問題量が多すぎたり、難易度が合わなかったりすると、継続が難しくなります。そこで、家庭学習で取り組む量と難易度の目安を示してあげるとよいでしょう。
すべての生徒に個別で量を設定するのが難しい場合は、「基礎レベル中心」「標準レベル中心」「余力があれば発展」など、あらかじめいくつかのパターンを用意しておくと運用しやすくなります。
また、「30分でできるところまで」など時間枠を提示するのも一案です。生徒は自分のペースで取り組みやすく、無理なくサイクルを続けられるでしょう。
家庭での演習サイクルを継続しやすい教材を活用する
家庭学習で演習のサイクルを途切れさせないためには、「どのレベルを」「どの順番で」進めればよいかが、生徒にとって分かりやすい教材をそろえておくことも有効です。
新中学問題集シリーズ(新中問)は、教科書内容に対応した基礎から応用レベルまでの問題が段階的に配置されており、
①目的確認
②解く
③丸つけ
④解き直し・類題に取り組む
というサイクルを、家庭でも再現しやすい構成になっています。
特に英語・数学では、標準編と完全に連動した演習編があり、授業で扱った内容に合わせて家庭でも類題に取り組ませやすいのが特徴です。授業と家庭の演習を自然につなぎ、生徒が一人でも取り組みを継続しやすい教材として活用できるでしょう。
「新中学問題集シリーズ」
継続しやすい問題演習のサイクルを整え、生徒の実力を伸ばそう
問題演習は、ただ量をこなすだけでは、実践や応用に活かせる力につながりにくいものです。目的を明確にし、解いている最中の思考を見取り、丸つけ・解き直しまでを一連の流れとして整えることが、生徒の理解を深める土台になります。
授業で意識して取り組ませた演習のサイクルは、家庭学習にもつなげることで定着しやすくなります。演習の手順や、丸つけのポイントを共有してサイクルを整え、先生が演習量や難易度の目安を示してあげることで、生徒自身でも迷わず続けられるようになっていくでしょう。
日々の授業の中でこうした工夫を積み重ねることで、生徒は「解ける」「分かる」を実感しやすくなり、定期テストや入試に対応できる学力が着実に育っていくはずです。ぜひ明日の授業から、できる範囲で取り入れてみてください。
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