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「子供が、もっと自主的に勉強してくれるといいんだけれど…?」
「子供の才能を早期に見つけて伸ばすには、どうしたらいい?」
「子供には、いろいろなことに好奇心を持って挑戦してほしい!」
子供のペースを尊重して見守りたいと思いながらも、このようなお悩みをお持ちの方は、多いのではないでしょうか。
子供の可能性を最大限に広げてあげたいという思いから、つい「正解」を探してしまう方もいらっしゃることでしょう。
そこで、この記事では、学習意欲や才能の発見、将来の夢や目標につながる子供の好奇心を育てるための具体的なヒントを探り、ご紹介していきます。
広い視野でさまざまなことに興味を持って取り組む好奇心旺盛な子供の親や、環境には、なにか共通する特徴があるのでしょうか。のびのびと才能を発揮できる環境づくり、子供への日々の接し方のコツまで、子供の好奇心を育み才能を伸ばす秘訣を、一緒に考察していきましょう。
好奇心が強い子供を育てる親の共通点とは?
好奇心が強い子供を育てる親には、いくつかの共通点が見られます。以下、共通する特徴を4つに分けてお伝えしていきます。
親自身も知的好奇心が旺盛である
知的好奇心が旺盛な親は、いくつになっても、新しい知識を習得したり、なにかを学んだりするのが好きで、そのための経験にポジティブです。読書、美術館や博物館の催事、オンライン講座の受講など、たとえ忙しい中でもさまざまな方法で学び続けます。このような親の姿勢から、子供に「学ぶことは楽しい」というメッセージが伝わるでしょう。
親がいきいきと新しいことに挑戦する姿を見て、子供も自然と好奇心が育まれ、知識欲を高めます。結果として、子供は自発的に学ぶ習慣を身につけ、幅広い物事に興味・関心を持つようになる可能性があります。
学びの姿勢とプロセスを重視する
勉強にも好奇心を持って取り組んでほしいと考える親は、子供の教育にかける時間と労力を惜しみません。しかしこれは、子供を管理し勉強時間を増やすということではありません。子供が視野を広げ、新しい知識や概念に触れては探求・理解し、新たなスキルを習得していく学びの過程を重視しているということです。
学ぶプロセスを大切に考え、成績だけでなく取り組む姿勢や成長を評価することで、子供の自信や自主性が育ち、勉強に対する姿勢も自然と意欲的になっていくでしょう。
子供との対話を大切にする
相手が子供であっても一人の独立した個人として向き合う大人は、子供との対話を大切にし、子供の疑問や質問にも真摯に向き合います。「なぜ?」「どうして?」という素朴な問いかけに一つ一つ丁寧に答えることで、子供の好奇心は育まれ、さらに探究心が刺激されます。
このような過程を繰り返すことで、子供は日頃から自分で考えて答えを探す習慣が身につき、思考力や表現力を磨けるでしょう。
失敗を学びのチャンスと考える
親の過度な心配や、子供が失敗しないように先回りしてケアする態度は、子供から貴重な経験を奪い、好奇心を押さえつけてしまうこともあります。逆に、失敗を恐れない親は、子供の失敗も「学びの機会」と捉えます。適度な距離で見守りつつ、失敗したときには励まし、そこから得られる教訓を一緒に考えるのです。
親のこのような姿勢は子供の安心感につながり、子供は失敗も成長の糧となることを理解します。レジリエンス(回復力)を身につけ、挑戦することを恐れなくなり、結果として、困難に直面してもあきらめない強い心も育まれるでしょう。
子供の好奇心を育むのに適した環境とは?
子供の可能性を広げてくれる好奇心は、どのような環境で育まれるのでしょうか。ここからは、好奇心旺盛な子供が育つ環境について、考察していきましょう。
豊かな学習リソースがある
豊かな学習リソースは、子供の知的好奇心や創造性を刺激し、さまざまな才能発揮のきっかけになります。子供向けの絵本や児童書、知育玩具はもちろんですが、身近な大人が読書や音楽、芸術を愛好していれば、身の回りに書物や楽器、画集などが当たり前にある生活環境も、情操教育に大いに役立つでしょう。
- 子供の成長段階に適した絵本や読み物:語彙力、想像力を育てる
- ごっこ遊びの玩具やパズル、知育ツールなど:遊びを通じて対人能力や思考力、問題解決力などが養われる
- 子供に合った問題集や学習テキスト:体系的な学習をサポートし、各教科の学習基盤となる基礎的な興味・関心の増幅に役立つ
幅広い学習リソースが備わった環境で生活することで、子供は自然に、才能や資質に応じたものを見つけて興味・関心を示し、表現していくでしょう。
家庭内のコミュニケーションが活発である
日頃から家族と自然な会話ができていると、家庭は、子供が安心して自分の考えを表現できる場となります。他者への信頼感と自己肯定感が育まれ、さらなる自信と好奇心の向上につながる心の基盤となるでしょう。さまざまな話題について、大人である親と意見を交わすことで、批判的思考力や論理性、主体性も養われます。また、他者の意見を聞いて理解する力も培われ、社会生活に必要なコミュニケーション能力の基礎になります。
いろいろな経験をする機会がある
季節のイベントや芸術鑑賞、親子で楽しむスポーツや旅行など、家族とともに、学校での学習だけでは得られない楽しく実践的な経験をすることで、子供の豊かな視野と好奇心が育まれます。
- 博物館や美術館、演奏会など:芸術や科学への興味を刺激し、探求心や文化的な感性を育てる。
- キャンプや自然豊かな場所での体験:実体験を通して環境への理解を深め、観察力や実践力を養う。
- 異なる世代や国籍の人と接する機会のある場への参加:価値観やものの見方が一様では無いことを知り、多様性への理解や他者への共感力を育む。異文化交流を通じてグローバルな視野を持つ。
いつもの日常生活とは異なる経験、環境で得た視点は、柔軟性や文化的素養を育てるでしょう。
規則正しく整った生活習慣が実践されている
最後に挙げるのは、子供の養育全般に言えることですが、家庭内での健康的で整った生活習慣の大切さです。子供の純粋な好奇心が健全な方向で発揮されていくためにも、健やかな心身の成長と学習基盤に大きな影響を与える良好な生活習慣の維持に努めることは、親としての責務と言えます。
- 規則正しい生活リズム:体内時計を整え、集中力と記憶力を向上させる。
- 十分な睡眠:脳の発達と情報処理能力の向上、適切な判断力に不可欠。
- バランスの取れた食事:心身の成長に必要な栄養素の十分な摂取により、健康維持と、脳の働きの最適化を図る。
- 適度な運動習慣:必要な体力をつけるだけでなく、ストレス解消やメンタルヘルスの維持に役立つ。
このような心身の成長基盤が整った環境では、子供の好奇心も健やかに伸びていきます。
親が実践すべき具体的な行動4選
自ら未来への可能性を広げていくような、好奇心が強い子供を育てるためには、親や周囲の大人の適切なサポートが不可欠です。以下、ぜひ実践してほしい具体的なサポート行動4つを、詳しく説明します。
子供の興味・関心に寄り添う
日頃から子供の言動を見守り、子供の興味対象に注意深くありましょう。子供の興味に寄り添うことで、内発的な動機づけを支援でき、才能の方向性に気づきやすくなります。
たとえば、宇宙に興味を持つ子供なら、年齢に適した天文学の本を一緒に読んだり、プラネタリウムや天体観測会などのイベントに連れて行ってあげたりするのもおすすめです。家庭で天体望遠鏡を一緒に使用したり、宇宙に関するドキュメンタリー映像を一緒に視聴したりするのもよいでしょう。
このように、親が子供の興味・関心に合わせた環境を整えてあげることで、子供は楽しみながら学び、さらなる好奇心・探究心が育ちます。
学習レベルを適切に把握し、少し高めの課題設定をする
現在の子供の能力よりもやや難しい課題を設定することで、自らチャレンジしていく機会をつくります。
ポイントは、子供にとって課題が「やりがいがあると感じられる程度の難しさ」であることです。
たとえば、読書が好きな子なら、少し対象年齢が上の本を与えてみましょう。また、科学に興味がある子なら、科学実験セットを買ってあげて、学校で習うよりも難しめのテーマに挑戦する機会を提供するのもよいでしょう。
子供の反応を注意深く観察し、必要に応じて手助けをしながら難易度を調整してみてください。一段上のレベルの内容を自分の力でクリアすることで、子供は新しい知識やスキルを獲得するだけでなく、「できた!」という達成感も味わえます。これが自信につながり、さらなる知的好奇心の基となるでしょう。
子供の自主性を尊重する
日頃から子供の自主性を尊重することは、主体性や独立心、責任感を育み、好奇心から夢中になれるものを見つけたときに、子供がどのような行動をとれるかに大きく関わります。その選択が、将来の道を左右することもあるでしょう。口出ししたいことがあっても、あえて抑え、宿題の取り組み方を子供自身に決めさせたり、長期休暇中や週末の楽しいプランを考えてもらったりするのもよいでしょう。
また、日常生活の中で、服の選択や、部屋の整理整頓・模様替えなど、年齢に応じた自己決定権を与えることも効果的です。なんでも親がしてあげるのではなく、完璧にできなくても自分自身で行うことで、子供には自主的な判断や行動への自信・責任が備わっていきます。もちろん、すべて放任するのではなく、適切な見守りで必要に応じたサポートをすることも大切です。
努力を認め、プロセスを褒める
物事の結果だけでなく、努力のプロセスを評価し、褒めてあげましょう。たとえば、テストの点数だけでなく、学習時間や工夫した勉強法などの取り組み方を具体的に褒めます。難しい課題に粘り強く取り組む姿勢や、一度失敗しても再挑戦する勇気や根気を評価するのも、好奇心を成果につなげるチャレンジ精神を育むためには大切です。
また、「できない」のではなく「今はまだ、できるようになっていないだけ」という考え方を伝えることで、子供のやる気をキープしましょう。この積み重ねによって、子供は勇気と努力が成果につながることを実感し、困難に直面してもあきらめずに挑戦できるメンタルが養われるでしょう。
このような言葉がけにより、子供は親が自分を見守ってくれている、わかってくれていると感じます。子供の嬉しさや安心感につながり、親子の絆を強めてくれるでしょう。
子供への接し方で気をつけるべきポイント4つ
子供の好奇心を育むために、念頭に置いておくべきポイントをご紹介します。子供は、大人が思う以上に、周囲が自分に向ける期待や評価に敏感です。のびのびと成長を見守る気持ちで、関わる際には以下の4点に注意しましょう。
1.過度なプレッシャーをかけない
過度なプレッシャーは、子供の学習意欲や自己肯定感を低下させる可能性があります。常に完璧な結果や高成績を期待することや、親の望みの押しつけによって子供を評価・コントロールするような言い方は避けましょう。
代わりに、子供が自然と好きなことや興味のある分野を見つけて、楽しみながら自分の意志で学べる環境を整えてあげることが重要です。具体的には、親の視点で遊びと勉強を明確に切り分けず、遊びの中にある学びの要素を大切にしたり、子供の知的好奇心に基づいた学習活動を提案したりします。
また、失敗を恐れず、親の顔色をうかがうことなく、やりたいことに挑戦できる雰囲気をつくることで、子供は自発的に学ぶ姿勢を身につけていきます。適度な助言と励ましのバランスを取ることで、子供は自信を持って成長できるでしょう。
2.他の子と比較せず、純粋に本人を評価する
子供を他の子と比較することで、自尊心が低くなったり、不必要な競争心を生んだりする場合があります。子供にはそれぞれ異なる才能、興味対象、成長の段階があり、それらは優劣で語れるものではありません。
また、周りの子と違う、世間一般ではこうなのに、という視点も、それが優劣の根拠となるものではありません。個性的、少数派に思えるからと言って、それだけで憂慮する必要はないのです。
以前の本人との比較で、成長した点を具体的に褒める、本人の目標に対する達成度を評価するなど、純粋に子供自身の成長度合いを肯定的に比較・評価しましょう。当然ながら、兄弟姉妹間の比較も避け、それぞれの個性を尊重する姿勢を示すことが大切です。
3.人としての成長を重視する
子供が豊かな人生を歩んでいくためには、学力の向上だけでなく、良識ある人格の形成に深く配慮することも大切です。思いやりの心、自立心、協調性、責任感、誠実さなど、高い人間性につながる価値観を育めるよう、常に意識してください。
たとえば、家庭内での役割を与えたり、小さなことから自分で考え決めることを習慣づけたりすることで、責任感や自主性を養えるでしょう。また、親が「ありがとう」を口癖にすることで、子供も自然と感謝の心や利他心を持つようになるでしょう。
ボランティア活動への参加なども、社会性を育む良い機会です。学業以外の面でも成長できる機会があると、その経験の中で、自らの好奇心を利己的な目的ではなく社会貢献という方向性で活かす基盤を形成できます。
4.子供のペースを尊重する
それぞれの子供には、独自の学習スタイル、成長のペースがあります。もし、ある分野の習得に時間がかかっている場合、焦らずに子供のペースに合わせてサポートしてあげましょう。長期的な視点に立つと、習得が速いことだけが善ではありません。むしろ、遅いことを叱って苦手意識につながると、好奇心が閉ざされてしまう恐れもあります。
また、子供の興味や得意分野に合わせて、学習方法をカスタマイズすることも効果的です。視覚的学習者には図や図表を多用したり、聴覚的学習者には音声教材を活用したりするなど、個々の特性・ニーズに応じた柔軟な学習アプローチを試すのもおすすめです。
学習指導の際に心がけるべきポイント
では、具体的にはどのような指導をしたらよいのでしょうか。子供の才能を伸ばすための効果的な指導方法について、3つのポイントをご紹介します。
1.個々に応じた声かけを心がける
個々の子供に応じた声かけをすることで、効果的な学習ができるだけでなく、自己肯定感を育むこともできます。
まず、子供の強み、弱み、興味を丁寧に観察し、理解することから始めましょう。絵を描くのが得意な子には「色の使い方が素晴らしいね」と具体的に褒め、数学が苦手な子には「こうやって考えるとわかりやすいよ」とアドバイスをするなど、個別の対応をしてみてください。
また、子供の性格や学習スタイルに合わせて、声かけの方法を調整することも大切です。内向的な子供には穏やかに、外向的な子供にはエネルギッシュに接するなど、個性に合わせたコミュニケーションを心がけましょう。
個別のアプローチをすることで、子供は自分が理解され、尊重されていると感じられるでしょう。
2.少し難しめの課題を設定する
子供の現在の能力よりもやや難しい課題を設定しましょう。子供が独力で解決できる課題と大人の助けがあれば解決できる課題の間に位置する、「適度に挑戦的な課題」を意識してみてください。
ただし、課題が難しすぎて挫折感を味わうことのないよう調整するのが大切です。必要に応じてヒントを出す、スモールステップで学べるようサポートするなど、工夫してみましょう。
3.批判的思考を育てる
批判的思考(クリティカルシンキング)は、問題解決能力や創造性の基礎となる能力です。批判的思考力を伸ばすには、子供のより深い思考を促すような問いかけが効果的です。
日頃から、会話の中で「なぜ、そう考えるの?」「他の方法はないかな?」「もし、この条件が変わったら、どうなると思う?」といった質問をしてみるとよいでしょう。
また、具体的例を挙げると、以下のようなやりとりもおすすめです。
- 本を読んだり映画を見たりした後に、結末についてどう思うか、また人物に共感した点や、逆に共感できなかったり疑問に思ったりした言動などを聞いて、それについて意見を交わす。
- ニュースで話題になっている出来事や時事問題について、子供の視点から自由に考察し、意見や考えを伝えてもらう。さらに、改善点や解決策、よりよくなる方法などがあれば聞いてみる。
このようなコミュニケーションを通じて、子供は知的好奇心につながる物事を多角的に見る力、論理的に考える力、そして創造的に問題を解決する力を伸ばしていきます。
まずは、子供の可能性を信じよう
子供の好奇心を伸ばすには、身近な信頼できる大人の適切なサポートが欠かせません。
そして、最も重要なのは「大人が子供の可能性を信じてあげること」です。一人ひとりの子供に無限の可能性があることを忘れずに、長期的な視点で子供の成長をあたたかく見守り、支援しましょう。
子供の好奇心を伸ばすための関わりは、親にとっても、自身の学びと成長のチャンスです。子供と共に、人として学び成長する姿勢・意識を持ち続けることで、豊かな信頼関係を築いていきましょう。
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