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公開日:2026年05月22日  
更新日:2026年04月20日

子どもの語彙力を高めるには?語彙を増やすために学校でできるゲームを紹介

子どもにとって語彙力は、コミュニケーション力・読解力・思考力といった、学力を育てる土台として欠かせない力です。そのため、「子どもの語彙を増やすための効果的な取り組みを知りたい」と考える先生は多いでしょう。

ここでは、語彙を増やすために、授業やクラス活動に取り入れられる、ゲーム感覚でできる活動をまとめました。また、授業外で語彙を増やすために習慣にできると良い活動もまとめているので、ぜひ参考にしてみてください。

子どもの語彙が増えない原因とは?

現代の子どもを取り巻く言語環境は、今の大人が子どもだった時と比べて、大きく変化しています。現代の子どもたちが置かれている環境と、そこから考えられる子どもの語彙力の変化について、3つの視点からまとめていきます。

  • 家庭内での語彙が少ない
  • デジタル環境の変化
  • 読書量の減少

では、それぞれ詳しく解説していきます。

家庭内での語彙が少ない

子どもは、親や家族などの身近な大人と会話したり、本の読み聞かせをしてもらったりすることで、語彙を増やしていくと考えられています。しかし、近年は共働き家庭が増えたり、ネット環境が広がったりしたことで、その機会が減っている傾向があります。

特に、親子の会話時間が減少傾向にあることは、家庭内での自然な会話の時間が減るということです。それゆえ、子どもが成長の過程で多くの言葉に触れ、語彙を増やす機会も減ってしまうのです。

このように、家庭内でのコミュニケーションを通じて語彙を増やす機会が減っていることが、子どもの語彙力低下の一つの要因であると言えるでしょう。

※出典:文化庁|令和6年度「国語に関する世論調査」の結果の概要

デジタル環境の変化

デジタルでのコミュニケーションでは、「短い文・略語・絵文字」中心のやり取りが増えるため、使われる語句や表現が減ってしまいます。

子どももスマホを使うようになったことで、日常的なやりとりも、スマホを介した短文や絵文字でのコミュニケーションが多くなりました。その結果、語彙が増えにくくなった現状があるのです。

読書量の減少

読書は、語彙を増やすのに大きな役割を果たす活動です。しかし、子どもが電子メディアを使用する時間が増えたことで、読書時間は緩やかに減少傾向にある、という調査結果もあります。

現代の子どもたちは、昔と比べて活字に触れる機会が減っており、読書から語彙を増やす機会が少なくなっていると言えるでしょう。

幼い頃からさまざまな言葉に出合う経験をたくさんすることが、子どもの語彙力アップにつながります。読書のすすめや大人との会話を増やすなど、子どもの言語環境を豊かにするために大人ができる支援をしていきましょう。

子どものうちに語彙を増やすメリット

語彙力は、子どもの成長を支える「基盤スキル」です。そのため、子どものうちに語彙を増やすことには、さまざまなメリットがあります。

ここでは、主なメリットを4つ紹介します。

  • 表現力が豊かになる
  • 読解力が伸びる
  • 思考力・問題解決力が高まる
  • コミュニケーション能力が高まり、社会性が育つ

以下、それぞれ詳しくまとめていきます。

表現力が豊かになる

語彙が豊かだと、自分の表現したいことを、より詳しく表現できます。

たとえば、語彙が少ないと「すごい」としか表現できなかったものが、語彙が豊かだと「迫力がある」「圧倒される」「感動する」など、より自分の心情を的確に表す言葉で表現できるようになるのです。そのため、相手に伝えたり、文章にまとめたりするときに、より相手に伝わりやすい表現を選べるようになります。

また、語彙が増えると、世界を見るときの解像度が上がるので、心の世界の豊かさにもつながっていくでしょう。

読解力が伸びる

語彙力は、「読み」の理解度に直結します。文の意味をつかんだり、文脈を推測したりするために必要な読解力は、文章を構成している語彙の知識が土台となっているからです。

語彙が豊かだと、書かれていることをよく読み取れるので、物語文で登場人物の心情を理解したり、説明文で論理の流れや要点を見極めたりすることができます。そのため、語彙が多いほど文章をスムーズに理解でき、読書の楽しさが増すでしょう。

読書の楽しさが増すと読書量も増えるので、さらに語彙が増えていくという好循環が生まれます。このように、読解力を高めるには、語彙を増やすことが重要になります。

思考力・問題解決力が高まる

語彙が豊かだと、それだけ認識できる世界が広がるので、思考の幅や自分の世界が広がることに直結します。

たとえば、「犬」という語は、「4本足・動物・吠える・ペット」などの特徴を備えた存在(概念)を表しています。もし、「犬」という言葉=概念を知らない人がいたら、その人は「犬」という存在がどんなものなのか、イメージできないことになります。つまり、知っている言葉(語)が増えれば増えるほど、人は認識できるものが増えて自分の世界が広がる、ということなのです。

さらに、語彙が増えると、抽象的な概念を扱えるようになるため、思考力が深まる傾向があります。特に「原因→結果」という「論理的思考力」や、アイデアを広げる「創造的思考力」が身につくことは、問題解決力の向上につながります。

このように、語彙力は、子どもたちが生きていくうえで必要な思考力を支える基盤と言えます。

コミュニケーション能力が高まり、社会性が育つ

語彙が豊かだと、自分の気持ちを言葉で整理できるので、相手に正確に伝えることができ、友達とのトラブルが減ったり、自分の思いを理解してもらいやすくなったりするでしょう。

正確に言葉で伝えられ、それが「わかってもらえた」という経験は、子どもにとって自信になります。このように、語彙が増えると、社会性や自己肯定感の向上にもつながり、結果的に、子どもの心の安定にも影響するのです。

語彙力の向上が大切なのは、学校の学習のためだけではありません。思考力やコミュニケーション力といった、子どもが「生きていくための力」の土台となる、とても重要な力なのです。

子どもの語彙力を高めよう!語彙を増やせるゲーム10選

子どものうちに語彙を増やしておくことは、学力や社会性を高めるためにとても重要です。ぜひ、学校や家庭では、子どもの語彙を増やす取り組みを積極的に取り入れていきましょう。

ここでは、授業やクラス活動でできる、語彙を増やせるゲーム10選を紹介します。

仲間分けゲーム(山手線ゲーム)<対象学年:小学校低学年~高学年>

身の回りの物を「仲間(カテゴリー)」ごとに分ける遊びです。流れとしては、先生がテーマを決め、そのテーマに合うもの(単語)を、子どもが順番に言っていくというものです。

【例】
(低~中学年向け)丸いもの → ボール・りんご・時計・お皿・太陽 など
(高学年向け)気持ちを表す言葉→不安・期待・安心・焦り・喜び など

「形」だけでなく、「食べられるもの/食べられないもの」といった「属性」や、「動くもの/動かないもの」といった「状態」など、さまざまなテーマで行うと語彙が広がります。また、子どもの答えに対し、先生が「どうしてそう思ったの?」のような質問を入れると、概念の理解が深まります。

仲間はずれ探し<対象学年:小学校低学年~中学生>

いくつか単語を並べ、その単語の中で「仲間はずれ」を見つけて、理由を説明するゲームです。理由を説明するための語彙力や、比較に必要な語彙力を伸ばせます。

【例】
(低学年向け)Q:りんご・みかん・ぶどう・にんじん → A:にんじん/りんご・みかん・ぶどうは果物、にんじんのみ野菜
(中~高学年向け)Q:熱い・冷たい・ぬるい・赤い → A:赤い/熱い・冷たい・ぬるいは触覚、赤いは視覚
(中学生向け)Q:経済・市場・企業・通貨 → A:経済/市場・企業・通貨は経済の構成要素

しりとり <対象学年:小学校低学年~中学生>

前の人が言った言葉の最後の文字が頭文字になる言葉を言うゲームです。

【例】「りんご」→「ごりら」→「ラッパ」→「パンダ」

定番の遊びですが、発展させると語彙のアウトプット力を鍛える高度なゲームとなります。たとえば「テーマしりとり(動物だけ、食べ物だけ)」「形容詞しりとり」「6文字しりとり」などが挙げられるでしょう。

連想ゲーム <対象学年:小学校低学年~中学生>

お題となる言葉から連想する言葉を、順々に言っていくゲームです。

【例】お題「海」→青い→冷たい→かき氷→夏休み→暑中見舞い

語彙を増やすには、意味やイメージの関連ごとにつなげて覚えていくのも効果的です。アウトプットや読解などにも活かしやすいでしょう。

オノマトペ(擬音語)ゲーム <対象学年:小学校低学年~中学年>

テーマとなるオノマトペに合うと思うものを、一人ずつ言っていくゲームです。

【例】テーマ「ふわふわ」→ 雲、わたあめ、ふとん など

オノマトペゲームは、子どもの感覚的な表現力を豊かにするのに役立ちます。感覚を表す語彙が増えると、より自分の感覚に近い言葉を選択して表現できるようになるため、表現力が向上するのでしょう。

宝探しゲーム <対象学年:小学校低学年~中学年>

形容詞、感覚を表す語、分類を表す語などを混ぜた言葉でお題を出して、それに合うものを探すゲームです。

【例】お題「赤くて丸いもの」→ トマト、日の丸 など
   お題「冷たくてつるつるしたもの」→ そうめん、鏡 など

言葉は身体感覚と結びつくと定着しやすくなるため、実際に自分が見たり触ったりしたときの感覚を思い起こしながら使うことで、語彙力に結びついていきます。

すごい禁止ゲーム <対象学年:小学校中学年~中学生>

子どもがよく使う便利語「すごい」「やばい」「かわいい」などを禁止ワードにして、言い換えの表現を出していきます。その中から、最もぴったりと思える表現を選ぶゲームです。それぞれの語のニュアンスの違いや使い分けを理解しながら、表現の幅を広げ、語彙を増やしていけます。

【例】「今日の試合、すごかった」→迫力があった・緊張感があった・劇的だった など

メタファーゲーム <対象学年:小学校中学年~中学生>

お題となったものや気持ちについて、比喩で表すゲームです。比喩表現や感情を表す語彙が増えます。

【例】お題「今日の空は?」→「泣きそうな空」「大きな布みたい」
   お題「今日の気分は?」→「風船みたいに軽い」「石みたいに重い」

三語しばり作文 <対象学年:小学校中学年~中学生>

指定した3語を必ず入れて、作文を書くゲームです。語彙の柔軟性や文脈での使い方が身に付きます。

【例】「透明」「理由」「急に」
→「急に雨が降ってきたので、あの子が透明なビニール傘を持ってきた理由がわかった。」

ストーリー作りゲーム <対象学年:小学校低学年~中学生>

前の人が話したストーリーに、次の人が一文ずつ続きの話をつなげていくゲームです。

【例】
最初の人:「むかしむかし、森に小さな家がありました」
2人目:「そこに、青い髪の妖精が住んでいました」
3人目:「その妖精は、ある日、旅に出たくなりました」

言葉は文脈の中で覚えると定着が早く、さらに、物語を作ることで因果関係や時系列への意識、感覚的な表現力も鍛えられるでしょう。

日常生活の中で語彙を増やすためにできること

子どもの語彙は、日常の中でさまざまな言葉に触れたり、使ったりすることで増えていきます。そのため、日常生活の中でも、語彙を増やすことにつながる習慣を取り入れていくと良いでしょう。ここでは、授業外での、語彙力の向上に効果的な活動を紹介していきます。

読書時間を増やす

読書は、語彙力を高めるうえで有効な活動です。物語だけでなく多様なジャンルの本を読むことで、幅広い語彙が増やせると同時に、興味関心を広げられます。そのため、図書館に行く機会を作ったり、先生がおすすめの本を紹介したりするなど、読書への興味を引き出す働きかけができると良いでしょう。

また、ただ本を読むだけでなく、読みながら、知らない言葉が出てきたら辞書で調べる(そしてメモしておく)、読んだ後に「初めて知った言葉をノートに書き留めておく、といったことを心がけると良いでしょう。

さらに、本好きな子、書くことが好きな子には、短くても良いので、読んだ感想を記録することもおすすめします。「自分の気持ちに合う言葉を選び、書く」習慣も、語彙力の向上に効果的です。

作文の習慣を身につける

短くても良いので、日常的に作文をする習慣をつけると、語彙力が高まります。その日、自分が見聞きしたことや経験したことを記述し、それに対して自分が考えたこと、思ったこと(感情・印象・感想)を自由に言葉で表す日記形式は、取り組みやすいでしょう。

自分の主観的な感情や感覚の言語化は、多くの語彙の中からもっとも的確に表せる語・表現を選ぶ作業になります。そのため、「もっと適した表現はないか調べる・探す」という学習が、語彙が増えることにつながるのです。

また、テーマを決めて書くテーマ作文も楽しんで取り組める方法です。以下のようなテーマを設定することで、さまざまな語彙を身に付けられるでしょう。

  • 今日の出来事を「3つの形容詞」を入れて説明する
  • 今日の晩ごはん、家で飼っている猫など、何か選んだものを「5つの視点」から言葉で描写する(形・色・触った感じ・味・用途・印象など)
  • 友達におすすめしたいものを紹介する

「5W1H」を意識して、心に残った出来事を伝えてみる

心に残った出来事を5W1Hで詳しく説明する習慣をつけると、記憶や印象と言語が結びつき、語彙力を高めることに役立ちます。また、目の前の相手に伝わるよう意識して説明することで、より言葉を精査して説明するようになるため、言い換えなどの語彙力の向上も期待できます。

学校では、ホームルームの時間に1人ずつスピーチしたり、班で伝え合ったりする時間をつくったりすると、語彙力を鍛える機会になるでしょう。

さまざまな体験をする

言葉は、自分の身体感覚や行動・状況と結びついたときに、強く定着します。そのため、体験の幅が広がると、それにともない、関連する語彙も増やせます。

たとえば、

  • 料理をする→調理方法・調味料・味などに関する語彙
  • キャンプに行く→キャンプの道具に関する言葉、天候や自然に関する語彙など
  • 科学館へ行く→展示物に関する言葉、科学に関する専門的な語彙

このように、さまざまな体験をし、その体験をもとに人と会話したり、説明したりすることで、語彙が増えていきます。「体験→振り返り・言語化」の過程を大切にすると良いでしょう。

語彙力は、実際の生活の中で、書物、街中の掲示、映像作品、人との会話など、さまざまな経験や文化との接触を通して鍛えられます。子どもが、言葉をたくさん知っていると「楽しい」「役に立つ」「世界が広がる」と実感できる幅広い出合いを、日々の学校活動でも工夫してみてください。

さまざまな方法で楽しみながら語彙を増やそう

子どもにとって語彙力は、読解力や思考力、コミュニケーション力などの「生きていくための力」の基礎であり、学力や社会性の土台となる重要な力です。そのため、子どものうちから語彙を増やすための取り組みを行っていくことが大切になります。

言葉は、実体験を通じて自然と覚え、身についていくものです。学校の授業のちょっとした時間やクラス活動の中で、ゲーム感覚で楽しみながら語彙を増やせるような工夫をすると良いでしょう。

また日常の中でも、読書や日記・作文など、語彙習慣を少しずつ取り入れていくと、子どもの語彙力向上につながります。

この記事を参考に、子どもが無理なく楽しんで語彙を増やせるような時間をつくっていきましょう。

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