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公開日:2024年03月26日  
更新日:2024年04月01日

未来のリーダーを育む「自ら考え、答えを導く集団指導」とは

1979年に創業し、現在では愛知県名古屋市を中心に56教室を展開する学習塾の明倫ゼミナール。グループ内では集団授業・個別指導・映像授業と多彩な指導方法を含み、それらを組み合わせた丁寧な指導により、中学・高校・大学受験での高い合格実績を誇る一方で、教育のこれからを見据えてオンライン英会話にも力を入れています。
どのようにして多くの生徒を志望校合格に導いているのか、どんな教育方針でどういった授業を行っているのかを知るため、代表取締役社長の藤井美由紀さんに、お話を伺いました。

明倫グループが安定した合格実績を維持している教育論とは?

―貴塾では、中学受験・高校受験・大学受験それぞれで高い合格実績を安定して出されています。その秘訣はどこにあるのでしょうか?

暗記力が要となる教科もありますが、基本的には解答を導き出すための「原理原則を考えさせる教育」にこだわっているからだと思います。丸暗記では伸び悩む時期が来るため、弊塾では「丸暗記からの脱却」を合言葉に、生徒自身に道筋を立てて考えさせることを意識しています。

「早いと中学1年生で伸び悩む子もいるので、小学生の時から原理原則を考えさせるようにしています」

具体的には、授業中に「どうしてこうなると思う?」と、理由も質問するのです。学校の授業の予習なので、すぐに分からなくて当然です。数秒待って答えられなければ、次の人に解答権を移します。

―「間違ったらどうしよう」と恥ずかしがる子もいると思いますが、そういう子にはどんなフォローをしているのでしょうか?

授業中に恥ずかしい思いをさせないことも重要ですよね。これがトラウマとなって勉強嫌いになる可能性もあります。

質問にきちんと答えて正解することは、立派な成功体験のひとつです。勉強に自信がない子でも、そういった成功体験を積み重ねていけば、堂々と答えられるようになりますし、仮に間違っていたとしても、答えられるように一生懸命に考えるという過程はとても大切です。また、解答権が次々に移っていき、誰かが正解したら次の問題に進むので、すぐに頭を切り替えられます。

テンポよく次の生徒に解答権が移るので「周りから見られている」という緊張感は少ない

質問の内容も生徒の理解度に合わせて変えていますし、難しい質問はその教科が得意な生徒に聞くようにしています。ただ解答を覚えるだけでなく、「自分で考えないといけないんだ」と気づかせるように促しています。

―集団指導で、それぞれの生徒のレベルに合った質問をするのは難しいと思うのですが、どうやってカバーされているのでしょうか?

弊塾は集団指導を重視していますが、それだけでは個人の様子がきちんと見えなかったり、見落としたりしがちなので、「サポート学習」と呼ばれる個別フォローや「ノート指導」で、それぞれの学習レベルを随時確認しています。

「解説を丸写ししていないか」、「間違えた問題をそのままにしていないか」といったことから、個人の学習レベルが読み取れるのです。テスト前のノートからは、理解度や進み具合だけでなく、「苦手な教科が後回しになっていないか」といった偏りも分かります。

これは、明倫ゼミナールで長く行ってきた伝統的な指導方法のひとつです。

―歴史が長いので、色々な指導方法があるのですね。貴塾では、英会話教育にも以前から力を入れていると伺っています。現在は、どんな指導を行っているのでしょうか?

生きた英語を身につけるために、「明倫FACE」と「GeT」というツールを使用したオンライン英会話授業を行っていて、現在はGeTをメインに隔週でオンライン授業を開いています。例えば、通塾曜日が火・木曜日であれば、隔週の水曜日をGeTの日という風にして、通塾の授業とGeTの内容が連動するようにしています。

通塾の内容をGeTでアウトプットして、反復練習する形になっている

GeTは中学部コースのカリキュラムに入れていて、今年の春からは小学校5・6年生にも導入する予定です。

これまで小学生のオンライン英会話はオプションにしていましたが、結果的に得意な子と苦手な子の二極化が進んでしまいました。中には、小学生から英語が苦手になってしまう子も……。

英語が小学校3年生からの必須科目になったことに加えて、大学入試を見据えて英語の4技能(英語を話す、聴く、読む、書く力)を強化する必要があるといったこともあり、標準化しました。

―たくさんある教材の中からGeTを導入した理由も教えてください。

きっかけは、他塾さんでの取り組み事例を伺ったことです。また、それまで授業で使っていた教材(Keyワーク)を変えずに導入できる点も決め手になりましたね。

「何人かの生徒にインタビューをしたところ、『学校のネイティブの先生との会話がすごくスムーズにできるようになった』という声がありました」

子どもの未来を見据えた教育こそが本当にするべきこと

―生徒の一人ひとりの「個」を大切にする一方で、個別指導ではなく集団指導にこだわっている理由を教えてください。

もちろん個別には個別のいいところがあります。タイプによっては個別の方が伸びる子もいますが、甘えが出てしまうケースもあるのです。

弊塾では、成績を上げるには学習の量と質を上げることが必要だと考えているため、集団指導で競い合って解答時間の短縮と学習量を増やすことを重視しています。

集団指導の体験授業を受けられると、授業のスピードに驚かれることも少なくありません。もちろん、最初はスピードについていこうとすると、少なからず負荷がかかりますが、それを積み重ねることによって経験値や実力がつき、問題を解くスピードも速くなっていくのです。早ければ2週間ぐらい、遅くても2ヶ月くらいでついていけるようになります。

―集団指導で遅れをとる生徒さんにも、何か工夫されていることはありますか?

最初からハードルを上げず、無理をさせないようにしています。

例えば、問題を解くよりも解説を聞く方が大事なので、解説が始まったら手を止めて、ちゃんと聞くように伝えています。手をつけられなかった問題は、その後、自宅で復習すればいいので「最初は授業の中で解ける量が少ないのは当たり前だし、全部解けなくてもいいよ」と言うようにしています。

また、集団指導はやはり難しいという子には、個別指導を紹介します。そもそも弊塾では、最初のカウンセリングの際に、各教室の校長がお子さんに合った指導方法をご案内していますし、両方の体験授業を受けた上で、どちらかを選ぶことも可能です。途中で変更や併用もできます。

個別から集団への移籍や、集団でやってみて厳しい子は個別に戻ったり、教科によって個別と集団を併用したりと、生徒に応じてさまざまな提案ができる

―一人ひとりに合った細かい指導方法も提案されているのですね。また、貴塾では「進学後の将来を見据えた教育」も掲げています。

「将来を見据えた指導」は、もともと明倫でうたっていた「思考力学習」が、その神髄を追求してパワーアップした考えといったところです。いくら勉強ができても、自立した一人前の社会人になれるとは限りませんし、本当に子どものことを想うのなら、大人になってからも役立つものを与えたいですしね。

「未来のリーダーを育成」するという理念にもつながるのですが、グループ全体で「社会に出てから戦える大人を育てる」を裏テーマにしていて、先ほどのノート指導には、自分で考えて気づかせ、それをメモさせる狙いがあります。不正解だったら、その理由を考え、正しい解答を探す。この過程が将来、仕事で何か失敗しても、その理由と改善方法を自分で考えて導き出すことに役立つと考えています。

生徒が通いたくなる、勉強を頑張りたくなる、モチベーションアップ秘策

―通知表に記載されている評定の合計数やアップ数によって奨学金を進呈する「親孝行システム」は、入塾後の成績の伸び率を重視している点や目に見えて評価がわかる点が、生徒のやる気につながっているのだと思います。この制度を導入した理由を教えてください。

近年の子どもの傾向として、勉強に対するモチベーションの低さがあると思います。しかし、自分が勉強を頑張ることで両親が喜ぶということは、子どもにとっての喜びになるでしょうし、モチベーションにもなるだろうという考えから生まれました。

通知表で、評定の合計数が規定の数を上回っていたり、前学期より大きく評価が上がっていたりする場合、ランクに合った認定カードが発行されるというシステムです。認定カードにはゴールド、シルバー、ブロンズの3種類があり、カードの種類や枚数に応じて奨学金を進呈しています。

―生徒さんと親御さん、それぞれの反響はいかがですか?

もちろん、成績のいい子は意識していますが、カードを集める方が重要で、なかなか使わない子もいますし、筆箱に入れて持ち歩いている子もいます。

親御さんの認知度も高く、奨学金申請の締切間際に期限についての問い合わせが来ることも多々あります。奨学金の額やいつ申請するかは各家庭にお任せしているので、タイミングで悩ませている点は申し訳ない気持ちもありますね。

―親孝行システムを導入したことで生まれた、意外な効果はありますか?

生徒が、自分自身を振り返るようになったことでしょうか。例えば、テストでいい点数を取っているのに、通知表で5がもらえない場合は、授業態度や提出物の提出状況など、良い評価がもらえない理由が隠れていたります。

カードをもらうためには成績を上げなければいけない。でも、テストを頑張っても5にならないと悩む子どもには、「先生に理由を聞いてみたら?」と促します。すると、上記のような理由が出てきて、子どもたちが自らの欠点を改善しようと努力しはじめるのです。

弊塾では、昔から通知表指導を行ってきましたが、親孝行システムをプラスしたことで、子どもが自己分析するところにまで飛躍できたのだと思います。現在、親孝行システムを行っているのは中学生だけなので、今後は幅を広げられたらと考えています。

―両親が応援してくれていると思うと、勉強にも自然と力が入りそうです。他にも、生徒のやる気をサポートするような取り組みはありますか?

他には、テスト前に勉強したノートの合計ページ数で競う「ノートレース」を行っていますし、毎年、希望する受験生には全国の都道府県公立高校の問題集(電話帳のような厚さの問題集)を渡して、「電話帳レース」を開催しています。

また、勉強以外に、それぞれの子どもが持つ個性や特技を伸ばすことも重要だと考えているため、速読コースを設けたり、プログラミング教室を開講したりもしています。

共に協力し合いながら、成長するグループ塾を目指して

―愛知県では、公立中高一貫教育が始まろうとしています。公立中高一貫教育へ向けた取り組みについて教えてください。

去年、「公立中高一貫コース」を新しく設けました。これまでも県内の私立中学受験の指導を行ってきましたので、そのノウハウを生かしつつ、適性検査に対応できる3つの力、読解力・考える力・表現力を育てるコースとなっています。

本当は、去年立ち上げるか迷っていたのですが、今後も公立中高一貫校は増えるそうなので、やらない手はないなと。コースが増えることで講師たちの負担も増えるのですが、そもそもノート指導は、読解力・考える力・表現力を鍛える訓練でもありました。教える教科は文系理系の教科横断型にはなりますが、やり方はあまり変えなくても対応できると判断したので、思い切ってコースを増設しました。

直近の目標のひとつは、「公立中高一貫コース」の受講生から、来年の合格者を出すことです。

―明倫ゼミナールがイチ企業として掲げている、今後の目標も教えてください。

明倫ゼミナールは、グループ内の集団塾の中で一番ボリュームがあるので、グループを牽引して大きく成長させることですね。そのためには、グループ内での協力は必要不可欠です。

この1~2年で、グループ内の他塾を訪問することが多くなったのですが、地域は違えど、集団塾の悩みはどこも同じだということがわかりました。そして、それぞれの塾が経験に基づくノウハウを持っていることも知りました。

グループのリーダーとして、まずは明倫ゼミナールが持っているノウハウを全国に散らばるグループ塾に共有して、それぞれの塾が育んできたノウハウも共有してもらう。直接会えなくても、オンラインで交流の場は持てますので、そこで、互いに成功体験や失敗談を話し合ったり、ディスカッションしたりして、お互いに助け合いながら、共に成長していきたいですね。

編集・構成:株式会社都恋堂(井上篤史・笠田優奈)
取材・執筆:安倍川モチ子
撮影:田中秀典

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