
この記事では、「税金」の時事解説を小学校高学年~中学生にわかりやすく説明します。授業の合間に話すネタ、関連事項を解説する際の資料などとしてご活用ください。
2027年4月から、飲食料品の消費税が1%に!
2026年9月、政府は物価高騰対策のために飲食料品の消費税を2027年4月から2年間に限って1%に引き下げることなどを含んだ税制改正大綱を閣議決定しました。消費税は、お店で品物を買ったりサービスを受けたりするときに私たち全員が支払っている税金です。消費税のほかにもさまざまな税金があります。どのような税金があるのか、なぜ税金を納める必要があるのか、税金はどのように使われているのか調べていきましょう。
税金にはどのような種類があるの?
税金にはさまざまな種類がありますが、「どこに納めるか」「誰が納めるか」「何に対して課税されるか」でそれぞれ分類できます。
- どこに納めるか
国に納める税金を「国税」、地方公共団体に納める税金を「地方税」といいます。地方税はさらに「道府県税」と「市町村税」にわけられます。
- 誰が納めるか
負担する人と納める人が同じ税金を「直接税」、負担する人と納める人が異なる税金を「間接税」といいます。たとえば、所得(収入)に対してかかる所得税は直接税です。一方、消費税は買い物のたびに私たち(負担する人)がお店に支払い、それをまとめてお店(納める人)が納めているので、間接税です。
- 何に対して課税されるか
課税される対象によって、「所得課税」「消費課税」「資産課税等」にわけられます。所得課税は個人や会社の所得に対して、消費課税は品物やサービスの提供などに対して、資産課税等は資産の相続や財産などに対して、それぞれ課される税金です。
小・中学生の皆さんが納めていると実感できる税金はまだ消費税だけかもしれませんが、大人世代は例えば、住んでいる都道府県や市区町村に対して「住民税」を、働いて得た収入に対して「所得税」を納めています。また、持っている家や自動車に対して「固定資産税」や「自動車税」を納めている人もいるでしょう。
買った品物に消費税とは別の特別な税金がかかる場合もあります。例えばお酒やたばこ、ガソリンには、それぞれ「酒税」「たばこ税」「揮発油税」などがかかります。
なお、個人ではなく会社が支払う税金もあります。例えば、法人税は会社が決めた決算期(1年間の利益や資産を計算して確定させる時期)ごとに、その期間の所得をもとに税額を計算して税金を納めます。
- 主な税金の種類
| 直接税 | 間接税 | ||
| 国税 | 所得税、法人税、相続税、贈与税 など | 消費税、酒税、たばこ税、揮発油税、関税 など | |
| 地方税 | 道府県税 | 道府県民税、事業税、自動車税、不動産取得税 など | 地方消費税、道府県たばこ税、軽油取引税、ゴルフ場利用税 など |
| 市町村税 | 市町村民税、軽自動車税、固定資産税など | 市町村たばこ税、入湯税 など | |
※赤は所得課税、青は消費課税、緑は資産課税等
(国税庁「税の種類と分類」、財務省「税の種類に関する資料」をもとに作成)
税金の使い道は?
では、なぜ税金は集められ、集められた税金はどのように使われているのでしょうか。
税金は私たちの生活を支えるために集められます。毎年、国や都道府県、市区町村ではその年度のお金の使い道「予算」を立てます。予算で「歳入」つまり収入の大きな割合を占めているのが税金による収入「税収」です。
集められた税金は、公立の学校や病院、公園、図書館、市民ホールなど公共の施設や、道路、橋をつくったり管理したりすることに使われています。また、市役所や公立の学校で働く人や、ごみを収集・処理したり、救急車で急病人を運んだりしてくれる人たちもいますが、そうした公共の職場で働く人たちの給与にも税金があてられます。そして、私たちが病院や介護サービスを一定の負担割合で利用できるのも、税金で費用が補われているからです。
私たちが安全で豊かな生活を送れるように無料もしくは低料金で受けられるサービスを「公共サービス」といいますが、税金はそれを提供する費用にあてるために集められているのです。
また、税金は現在の生活のためだけではなく、未来への投資としても使われています。広い意味では学校での学びの環境を整えるのも未来への投資といえます。それ以外にも、これから先の私たちの生活をより豊かで安全なものにしていくために、新しい技術や環境問題などの研究・開発のためにも使われています。
消費税の歴史
ここまで税金の種類や使い道について見てきましたが、私たちにとって一番身近に感じられるのは消費税です。では、消費税とはいつからあり、どのような目的でつくられたものなのでしょうか。
消費税はどうして導入されたの?
消費税は1989年4月に3%の税率で導入されました。
消費税が導入された背景には社会の変化があります。それまでにも個別の品目に税金がかけられる物品税というものがありましたが、これは多くがぜいたく品にかけられており、線引きがあいまいになっていました。また、経済の変化に伴い、所得税に偏った税収のバランスを改めるべきだという問題がありました。そして、高齢化の進行により今後も増え続けていく社会保障費の財源を確保していく必要もありました。
所得税やガソリン税など特定の人が納める税金とは異なり、消費税はすべての品物やサービスに対してかけられるので、すべての国民が負担します。どんな世代からも、働いていない人からも集められるので、会社の収入の額で変わってくる法人税のように経済活動で左右されることも少なくなります。
このようなことから、直接税中心の税収を改め、間接税の形で一定の税収を幅広い世代から確保して安定的な財源を確保していくために、消費税は導入されました。
これまでも消費税は段階的に引き上げられてきました。1997年4月には5%(地方消費税1%を含む)に、2014年4月には8%(同1.7%)に引き上げられました。そして2019年10月には10%(同2.2%)に引き上げられ、同時に軽減税率が導入されました。
軽減税率は生活に必須とされるものの負担を減らすために設けられた制度で、お酒・外食を除く飲食料品、新聞(定期購読契約をしており、週2回以上発行されるもの)は8%のまま据え置かれました。
そして、消費税は使い道が高齢社会対策だけでなく子育て世代の対策のためにも広がりました。2026年度予算では、国・地方を合わせた消費税は34兆円にのぼりますが、全額が国の社会保障4経費(年金、医療、介護、子ども・子育て支援)と地方の社会保障財源として使われています。

これから消費税はどうなるの?
このように、社会保障費の財源となっている消費税ですが、物価の高騰が続く中で家計の負担を抑えるために引き下げが求められるようになってきました。
家計の負担を減らすために、消費税を引き下げるべきなのか、そのほかの方法をとるべきなのか。この問題を検討していくために超党派の議員による社会保障国民会議が立ち上げられ、2026年2月から消費税の引き下げと所得に応じて給付を行う給付付き税額控除の導入に向けた議論が行われてきました。
2026年7月、同会議は中間とりまとめを公表。その内容を踏まえて2026年9月、給付付き税額控除を2029年に本格導入することと、その導入までのつなぎとして、2027年4月から2年間に限り軽減税率の対象となっている飲食料品の消費税を1%に引き下げる税制改正大綱が閣議決定されました。
毎日の生活に直結する消費税の引き下げは、確かに私たちの生活の助けとなるでしょう。また、所得に対する消費支出の割合が高い低所得者ほど消費税の負担率が高くなる「逆進性」の問題も軽減されます。
一方で、国の税収は確実に減ることになるため公共サービスの質が低下する可能性があります。また、2年間という時限的なものなので、その期間が過ぎた後の生活に支障が出てくるということも考えられます。
さらに、事業者(商店など)の負担も懸念されています。今回、1%になるのは軽減税率の対象となる飲食料品のみですので、事業者は、客から預かる消費税の税率は下がりますが、仕入経費(電気代、輸送費、包装資材など)で支払う消費税は10%のまま変わりません。この仕入経費の消費税はいずれ国から還付されますが、それまでには時間がかかるため事業者の手元にある資金が少なくなり、資金繰りが大変になってくる可能性があります。そのほかにも店頭の値札を8%から1%につけ替える作業、レジの改修作業など、さまざまな負担が考えられます。また、外食の税率は10%のままのため飲食店の利用者が減るなど、外食産業に影響が出てくるのではないかとの見方もあります。
ポイントを確認しよう
消費税は世界各国で導入されていますが、比較してみると日本の消費税の税率は低いほうです。フィンランドやデンマークなど北欧諸国は軒並み25%を超える税率ですが、一方でこれらの国は医療や介護サービスが原則無料で受けられるなど、社会保障制度が充実しています。一時的なことではありますが、消費税の引き下げは日本の将来の財政にどのような影響を及ぼすことになるのでしょうか。そして、税金はどのように使われるべきなのでしょうか。支払った金額に見合うだけの公共サービスが受けられ、安心して生活していけると感じられれば、税金を納めることに対する不満も少なくなるかもしれません。消費税の引き下げを機会に、税金とその使い道について考えてみてはどうでしょうか。
※執筆:NPO現代用語検定協会
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