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公開日:2026年07月10日  
更新日:2026年05月22日

学習塾の市場規模と将来性をデータで読み解く|開業前に押さえたい業界動向と成功のヒント

「少子化が進む中で、今から学習塾を開業しても本当に大丈夫なのだろうか…」そんな不安を抱えていませんか?教育現場での経験を活かして自分の塾を開きたいと考えていても、市場の動向や将来性が見えないと、なかなか一歩を踏み出せないものです。

実は、学習塾業界の市場規模は2024年時点で約5,900億円を超え、少子化が進行する中でも2020年から2024年の5年間で1,200億円以上の成長を見せています。

この記事では、学習塾業界の正確な市場規模データや将来性について、客観的な統計をもとに詳しく解説します。少子化というマイナス面だけでなく、成長している分野や今後のチャンスについても明らかにしていきますので、塾開業のヒントとしてぜひお役立てください。

学習塾業界の市場規模の現状

「塾を開業したいけれど、今の市場はどうなっているのだろう?」そう感じている方も多いのではないでしょうか。

ここでは、最新の統計データをもとに、学習塾業界の市場規模の現状を詳しく見ていきましょう。

学習塾の売上高推移

学習塾業界の売上高は、少子化が進む中でも着実に成長を続けています。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、学習塾の売上高は以下のように推移しています。

年次売上高前年比
2020年約4,703億円
2021年約5,517億円+17.3%
2022年約5,568億円+0.9%
2023年約5,813億円+4.4%
2024年約5,934億円+2.1%

2020年から2024年の5年間で約1,200億円以上の成長を遂げており、2020年と比較すると約26%の増加です。特に2021年は前年比約17.3%増と大きく伸びました。

このように学習塾は教育産業の中で重要な位置づけにあり、今後も安定した需要が期待できる分野と考えられます。

参考:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査

学習塾の事業所数と市場の変化

事業所数はほぼ横ばいで推移していますが、1事業所あたりの売上高は年々増加しています。これは市場全体が成熟しつつも、質の高いサービスを提供する塾が評価され、収益を伸ばしている可能性があることを示しています。

年次事業所数1事業所あたり売上高
2020年11,602箇所約4,054万円
2021年11,337箇所約4,867万円
2022年11,558箇所約4,818万円
2023年11,433箇所約5,084万円
2024年11,001箇所約5,394万円

事業所数は約11,000~11,600箇所の範囲でほぼ横ばいですが、1事業所あたりの売上高は2020年の約4,054万円から2024年には約5,394万円へと約33%も増加しています。このことから、単に塾の数が増えているのではなく、既存の塾が収益力を高めている状況が推察されます。

参考までに、2004年の事業所数は約6,444箇所でしたが、20年で約11,000箇所と約1.7倍に増加しており、長期的には市場拡大が続いています。そのため、まだまだ参入の可能性を検討できる市場と言えるでしょう。

参考:経済産業省「特定サービス産業動態統計調査

少子化が進む現代において、学習塾業界の実態を正確に把握することは、開業を検討するうえで重要な第一歩です。市場の変化をしっかり把握し、準備を進めていきましょう。

少子化でも市場が成長している理由

「子どもの数が減っているのに、なぜ学習塾市場は成長しているの?」その疑問には、明確な理由があります。

実は、少子化という逆風の中でも市場が拡大している背景には、教育に対する保護者の意識や社会環境の変化が大きく影響していると考えられます。ここでは、その3つの理由を具体的なデータとともに見ていきましょう。

子ども一人当たりの教育費が増加

少子化で子どもの数は減っていますが、保護者が一人の子どもにかける教育費は年々増加傾向にあります。文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によると、学校外活動費(塾や習い事などの費用)は以下の通りです。

【学校外活動費(年間・子ども一人あたり)】

学校種別学校外活動費
公立小学校約25.6万円
私立小学校約71.0万円
公立中学校約35.6万円
私立中学校約42.3万円
公立高等学校約24.5万円
私立高等学校約34.7万円

特に注目すべきは、公立中学校の学校外活動費の推移です。2012年度の約28.3万円から2023年度には約35.6万円へと、約26%増加しています。

【公立中学校の学校外活動費推移】

  • 2012年度:約28.3万円
  • 2018年度:約30.6万円
  • 2021年度:約36.9万円
  • 2023年度:約35.6万円

また、2023年度の公立中学校の学校外活動費(約35.6万円)の内訳を見ると、補助学習費(学習塾や家庭教師、通信教育など)が約27.2万円と、全体の約76%を占めています。残りの約8.4万円は、スポーツや芸術文化活動などの費用です。

参考:文部科学省「令和5年度子供の学習費調査

中学受験ニーズの堅調さ

少子化が進む中でも、私立中学校への関心は維持されています。文部科学省「学校基本調査」によると、私立中学校に通う生徒の割合は年々上昇しています。

【私立中学校に通う生徒の割合推移】

年度中学生総数私立中学生徒数私立に通う割合
2023年度約317.8万人約24.8万人約7.8%
2024年度約314.1万人約24.8万人約7.9%
2025年度約310.5万人約24.9万人約8.0%

中学生の総数は少子化により減少していますが、私立中学校に通う生徒数は約24.9万人とほぼ横ばいを維持しており、結果として私立に通う割合は2023年度の約7.8%から2025年度には約8.0%へと上昇しています。

そのため、中学受験に特化したカリキュラムや、学校の授業フォロー、苦手科目の克服など、きめ細かい指導を提供できる塾には、今後も安定した需要が期待できるでしょう。

参考:文部科学省「令和7年度学校基本調査」「令和6年度学校基本調査

教育ニーズの多様化

学習塾業界において、過去には集団指導が多くを占めていましたが、近年、個別指導塾が増加傾向にあります。保護者や生徒のニーズが多様化し、「一人ひとりの学力に合わせた指導」「苦手科目の克服」「学校の授業フォロー」など、きめ細かい対応を求める声が増えていることが背景と考えられます。このトレンドは現在も続いており、個別指導のシェアは年々高まっていると考えられます。

個別指導塾は、授業料が集団指導よりも高額になる傾向があります。生徒数が同じでも1人あたりの売上単価が高いため、市場規模の拡大に寄与しているでしょう。

また、個別指導は生徒一人ひとりの目標や学習状況に応じた柔軟な対応がしやすいというメリットもあります。新規開業を考える際には、個別指導形態は初期投資を抑えやすく、収益性を確保しやすい、魅力的な選択肢の一つと言えるでしょう。

子どもの数は減っても、教育への投資意欲は高まり続けており、質の高いサービスを提供する塾には十分なチャンスがある市場と言えます。

学習塾業界の将来性

市場が成長している一方で、「本当に今から始めて大丈夫なのか?」という不安も感じているかもしれません。学習塾業界には確かにチャンスがありますが、同時に注意すべきリスクも存在します。

ここでは、プラス面とマイナス面の両方を客観的に見ていくことで、冷静に判断するための材料を整理します。

小規模でも収益化しやすいモデル

学習塾業界のプラス面として注目したいのが、個別指導塾のビジネスモデルです。特に新規開業を考える方にとって、個別指導形態は検討しやすい選択肢の一つと言えます。

【個別指導塾の主な特徴】
比較的少ない初期投資で始められるケースが多い
→集団指導塾のように大きな教室や多数の机・椅子を揃える必要が少なく、小規模なスペースからスタートしやすいです。
少人数からスタートできる
→1対1や1対2といった指導形態のため、開業当初は数名の生徒から始められます。
比較的高単価を設定しやすい
→集団指導よりも個別指導の方が高い月額設定になっていることが多いです。
地域の細かいニーズに対応しやすい
→「学校の授業についていけない」「特定科目だけ強化したい」といった個別のニーズに柔軟に応えられるため、地域に根ざした運営がしやすい形態です。

もちろん、個別指導塾にも講師の確保や指導品質の維持といった課題はあります。しかし、明確なコンセプトと丁寧な運営を心がけることで、小規模でも着実に成長できる可能性を持った塾形態と言えるでしょう。

少子化加速のリスク

一方で、学習塾業界が直面するリスクは、少子化のさらなる進行です。国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、子どもの人口は今後も減少が続く見込みです。

【0~14歳人口の推移と予測】

年次0~14歳人口2020年比
2020年約1,503万人
2030年(予測)約1,240万人約17.5%減

2030年には、2020年と比較して約260万人、率にして約17.5%もの減少が予測されています。これは学習塾業界全体の顧客母数が縮小することを意味しており、競争はより厳しくなることが想定されます。

しかし、ここで思い出していただきたいのは、前述した「一人当たりの教育費増加」「中学受験率の上昇」「個別指導塾の増加」といった追い風です。子どもの数は減っても、教育への投資意欲は高まっていると考えられており、実際に市場規模は成長しています。

つまり、少子化は確かにリスクですが、それは「従来通りの運営のままでは」生徒が集まりにくくなるということを意味するに過ぎません。地域のニーズを的確に捉え、質の高い指導やきめ細かいサービスを提供できる塾には、十分に生き残れる可能性があるでしょう。

参考:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)結果の概要

学習塾業界には「小規模でも収益化しやすい」というチャンスと、「少子化加速」というリスクの両面があります。重要なのは、リスクから目を背けず、明確な強みを持って戦略的に取り組むこと。質の高いサービスを提供できれば、これからも十分に成功の可能性がある業界です。

押さえておきたい現在の教育情勢と学習塾業界への影響

塾経営を成功させるには、市場規模だけでなく、今の教育現場で何が起きているのかを理解することが大切です。

近年、学校教育を取り巻く環境は大きく変化しており、それが塾へのニーズにも直結しています。ここでは、特に押さえておきたい3つの教育トレンドと、学習塾業界への影響について見ていきましょう。

学習内容の増加・高度化

2020年度から順次実施された新学習指導要領により、小中高校で学ぶ内容は大幅に増加し、難易度も上昇しています。特に顕著なのが英語教育の変化です。

【新学習指導要領による主な変化】

小学校での英語教科化
→小学3・4年生で「外国語活動」が始まり、5・6年生では正式な教科として成績がつくようになりました。

英語の学習単語数の増加
→中学・高校を通じて学ぶ英単語数が増加しました。
旧学習指導要領:約3,000語
新学習指導要領:3,400〜4,300語へ

中学校だけでも約1,600~1,800語を学ぶことになり、学習負担は大きくなっています。

プログラミング教育の必修化
→小学校では論理的思考力を育むプログラミング教育が必修化され、中学校では「技術・家庭科」でより本格的な内容を学びます。

数学・理科の内容高度化
→数学では統計分野が拡充され、理科では観察・実験を重視した探究的な学習が求められるようになりました。

これらの変化により、「学校の授業だけでは理解が追いつかない」「もっと丁寧に教えてほしい」といったニーズが高まっていると考えられます。

参考:文部科学省「幼稚園教育要領、小・中学校学習指導要領等の改訂のポイント
参考:文部科学省「5.英語教育の改善・充実について

高校無償化と進学率の上昇

近年、高校教育を取り巻く環境も大きく変化しています。特に注目すべきは、高校授業料の実質無償化と大学入試制度の変化です。

2026年度からはこれまでの国公立に加え、私立高校でも所得による制限のない、全世帯を対象とする授業料の実質無償化が始まります。この制度により、経済的な理由で進学を諦めていた層が減少し、私立校への進学が増加すると予測されます。

また、2025年度の大学入学者選抜状況では、国公私立大学において総合型選抜と学校推薦型選抜による入学者が全体の53.6%を占めることが明らかになりました。つまり、大学入学者の半数以上が、一般入試ではなく推薦型の選抜で合格しているのです。

推薦型選抜では、高校での成績(評定平均)が重視されるため、日々の定期テスト対策が非常に重要になります。そのため、高校生向けの定期テスト対策や学校の授業フォローを行う塾の需要が高まりつつあります。

高校生は授業料が比較的高く設定しやすい層でもあります。大学受験という明確な目標があるため、保護者も教育投資に前向きな傾向があり、塾経営において重要なマーケットの一つと言えるでしょう。

文部科学省「令和7年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要

GIGAスクール構想とICT教育の普及

2019年から始まったGIGAスクール構想により、全国の小中学校で「1人1台端末」の整備が進み、学校教育におけるICT活用が急速に広がっています。子どもたちは学校でタブレットやChromebookを使った学習に慣れ親しんでおり、デジタル教材での学習が日常的なものとなっています。

【GIGAスクール構想による主な変化】

・1人1台端末の整備完了
・デジタル教科書の導入拡大
・オンライン学習の一般化

もちろん、「ICTを導入すれば必ず成功する」というわけではありませんが、今後開業を考える際には、デジタル化への対応を視野に入れておくことが重要と言えるでしょう。時代の変化に合わせた学習環境を提供することが、生徒や保護者からの信頼を得る一つの要素となります。

参考:文部科学省「GIGAスクール構想の推進について

塾経営を成功させるためのポイント

ここまで、学習塾業界の市場規模や教育情勢について見てきました。では実際に、これらの情報をどう活かして塾経営を成功に導けばよいのでしょうか。ここでは、開業前に考えておきたい戦略のヒントをご紹介します。

より詳しい経営ノウハウについては、別記事「塾経営の成功法」も合わせてご覧ください。

差別化戦略とターゲット設定の明確化

塾経営において重要なのは、「どんな塾にするか」を明確にすることです。総合型の塾を目指すのではなく、自分の強みを活かした差別化戦略を考えることが、成功への近道となる可能性があります。

【差別化戦略の例】

地域密着型
→地元の小中学校のテスト傾向を熟知し、学校の授業速度に合わせた指導を行います。

特定科目特化型
→「英語専門塾」「数学専門塾」など、特定科目に絞ることで、専門性をアピールします。

学年・目的特化型
→「中学受験専門」「定期テスト対策専門」など、特定の学年や目的に特化した塾です。

個別指導・少人数制
→「完全1対1指導」「最大3名までの少人数制」など、きめ細かい指導体制を強みにする方法もあります。

また、ターゲットを絞ることで、必要な教材や講師の専門性、指導方法が明確になり、準備がしやすくなります。

もちろん、開業後に状況を見ながら対象を広げていくことも可能です。まずは「自分が最も得意とする分野」「地域で求められているニーズ」を考え、明確な軸を持って始めることが大切と言えます。

ICT・デジタル教材の活用で競争力を高める

前述の通り、GIGAスクール構想により子どもたちはデジタル学習に慣れています。そのため、塾でもICT教材を導入することで、以下のようなメリットが期待できるでしょう。

【ICT教材導入のメリット】

・学習履歴の可視化
・効率的な指導
・保護者とのコミュニケーションのしやすさ
・講師が少人数でも質の高い指導の実現

ICT教材にはさまざまな種類がありますが、ここでは一例として「My eトレ」をご紹介します。

My eトレは、小学1年生から高校3年生までの主要科目に対応した約120万題の問題コンテンツを収録したICT教材です。「書いて身に付ける」という紙学習の良さとデジタル学習を掛け合わせ、生徒の自立的な学びをサポートできます。

【My eトレの主な特徴】

・幅広い学習シーンに対応
・学習管理のスマート化
・学習データの可視化

My eトレは、特に「少人数でも質の高い指導を提供したい」「講師の負担を軽減しながら生徒をしっかりサポートしたい」と考える方におすすめの教材です。

詳しくは下記サイトをご覧ください。 

できた!の先のワクワクが育つICT教材
詳しい紹介を見る

市場データを活かして前向きに塾開業を目指そう

学習塾市場は少子化の中でも成長を続け、一人当たりの教育費増加や個別指導へのニーズ拡大など、追い風となる要素が多く存在しています。新学習指導要領や推薦入試の拡大、GIGAスクール構想など、教育情勢の変化も塾の役割を重要なものにしているでしょう。

一方で、2030年には子どもの数が約17.5%減少する予測もあり、競争が厳しくなることも事実です。しかし重要なのは、これらのデータを正しく理解し、明確な戦略を持って取り組むこと。「自分の強み」「地域のニーズ」を考え、差別化された塾づくりを目指すことで、成功の可能性は十分にあると言えます。

あなたの塾で、多くの子どもたちが学ぶ喜びを感じられることを願っています。

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