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「小学生に俳句の作り方を教えたいけど、どのように教えればいいんだろう」
「俳句を教える時のポイントはあるのかな」
このようなお悩みをもつ小学校の先生は多いのではないでしょうか。
俳句は五・七・五の17音でつくられる作品で、季語が入っているのが特徴です。リズムのある短い音数の中で季節の自然や情景を想像できるのが魅力であり、小学生にもその楽しさを味わってほしいと考える先生もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、小学生が楽しみながら行える俳句づくりの手順や、教え方のコツをまとめました。短歌や川柳との違いや学習指導要領での位置づけ、さらに手本として使える有名な俳句についても整理しています。小学生への俳句の授業を控えている先生は、ぜひ参考にしてみてください。
そもそも俳句とは?
俳句は、季節の一瞬を「五・七・五」の17音で切り取る短い詩です。基本的に俳句には、「季語」と呼ばれる季節を表す言葉が入ります。それによって、季節の空気や温度などが伝わってくるという良さがあります。17音という短い音数が、読み手の想像を促し、読むことで季節の景色が広がってくるのが俳句の魅力です。
短歌や川柳との違い
俳句と短歌・川柳との違いは、音数と内容にあります。
🔵俳句:17音(五・七・五)で、季節を表す「季語」を入れて季節を表現する。
【例】春風や 校庭の砂 ふわと舞う
🔵短歌:31音(五・七・五・七・七)で、気持ちや情景を深く表す。「季語」は入れなくてもよい。
【例】春風に シャツのそで口 ふくらんで なんだか今日が はじまる気がする
🔵川柳:17音(五・七・五)で、人間の気持ちや日常をユーモラスに表す。「季語」は入れなくてもよい。
【例】月曜日 上履き忘れて 走り出す
小学校の学習指導要領での位置づけ
俳句は『小学校学習指導要領(平成29年告示)』の国語の項目で、日本の言語文化として親しむ内容と自分で俳句をつくる表現活動として扱われています。
まず、3・4年生の知識及び技能の内容において、「易しい文語調の短歌や俳句を音読したり暗唱したりするなどして、言葉の響きやリズムに親しむこと」と示されています。ここで俳句は、文語の響きや五・七・五のリズムを味わう言語活動として位置づけられています。
そして、5・6年生では「書くこと」の言語活動例に「短歌や俳句をつくるなど、感じたことや想像したことを書く活動」と示されています。高学年では、実際に五・七・五の構成を意識して言葉を選び、表現を工夫する創作活動として位置づけられています。このように、小学校では俳句を読む活動や音読などを通して詩歌に親しみ、学年が進むにつれて俳句をつくる活動にも取り組むようになっているのです。
引用:文部科学省|小学校学習指導要領(平成29年告示)
俳句を味わったり創作したりする活動では、日本の言語文化に親しめるだけでなく、短い言葉の中に表現されたものを感じる力や、表現したい情景を言葉を選びながらまとめる力など、多面的な国語力につながると考えられています。
俳句の作り方の基本的なステップ
俳句づくりの基本的なステップは、「題材を見つける→言葉を集める→五・七・五にまとめる→声に出して整える」という流れになります。それぞれのステップを詳しくまとめていきます。
俳句の題材を見つける
俳句で表したい題材は、季節の中で心が動いた瞬間になります。大きな出来事より、「おっ」と思った小さな気付きの方が表現しやすい場合が多いです。児童が考えやすい問いかけとしては、「今日の中で『おっ』と思ったのはどんなとき?」「季節を感じたのはどんな瞬間?」などがあるでしょう。学校生活や日常生活に関する題材でも、季語と結びつけることで俳句らしくなります。
【例】
・桜のつぼみを見つけた
・雨上がりの道がキラキラしていた
・セミの声が急に大きく聞こえた
・花火の音が胸に響いた
・落ち葉がカサカサと音を立てた
・息が白くなって驚いた
関連する言葉を集める
俳句にしたい題材が見つかったら、感じたことを細かくほどいていき、俳句の材料となる言葉を広げていきます。そうすることで、自分の気持ちとぴったりと合う言葉が見つかりやすくなります。例えば、五感で捉えたことを中心に言語化していく方法があります。
【例】風
・見たもの:木が揺れている
・聞こえた音:さー
・におい:花の香り、草のにおい
・触れた感じ:風で髪の毛が揺れてくすぐったい、ひんやりして心地よい
・気持ち:わくわくする、深呼吸したくなる
季語を決めて、五・七・五にまとめる
俳句には基本的に季語が入るため、俳句に使う季語を選びます。児童が一番伝えたい「心が動いた瞬間」に合ったものを選べると良いでしょう。季語をまとめた一覧があると、児童の表したいものに合った言葉を見つけやすくなります。
【例】
・夕方の空が赤かった→季語:夕焼け(夏)
・風がひんやりした→季語:秋風(秋)
・息が白くなった→季語:木枯らし(冬)
季語を決めたら、集めた言葉をもとに五・七・五にまとめていきます。一番伝えたい瞬間が伝わるようにすることを意識しながら、言葉を選んで調整していきます。
俳句の味わいをつくる上で大切な言葉「切れ字」について紹介しても良いでしょう。切れ字は気持ちを強くし、余韻を残すために使われる言葉です。代表的な切れ字は「や」「かな」「けり」で、俳句の手本を示しながらその働きを味わえると良いでしょう。紹介で使える手本は、後述の「手本に使いたい有名な俳句の例」でまとめています。
声に出して整える
出来上がった俳句を声に出して整える作業は、作品の質を一段階上げるための大切な工程です。俳句は耳で聞いたときの心地よさが重要になります。声に出すことでリズムや音の流れ、言葉の重さや余白などがわかりやすくなります。声に出して整える際のチェックポイントとしては以下のようなものがあります。
・すらすら読めるか
・引っかかるところはないか
・音はきれいに聞こえるか
・言葉の並びは、気持ちいいか
・どんな景色かすぐに思い浮かべられるか
・難しく聞こえないか
・読み終わった後、心地よさがあるか
これらのチェックポイントを確認する際には、「ゆっくり一定のリズムで読むこと」「2~3回読むこと」などを意識すると良いでしょう。
俳句に表したい瞬間を思い出す過程が、俳句づくりでとても大切なステップになります。児童が共感できる俳句の例を効果的に提示し、「これならつくれそう!」とイメージがつかめるようにしましょう。
小学生に俳句の作り方を教える時の4つのコツ
なかには俳句になじみがなく、俳句づくりに抵抗を感じる児童もいるでしょう。そのため、児童が俳句の楽しさを感じ、「自分でもつくれそう」という気持ちをもてるようにすることが大切です。小学生に俳句の作り方を教えるコツを、4つまとめていきます。
先生が俳句をつくる過程を見せる
俳句に親しみがない児童にとって、俳句づくりはイメージがしづらく、難しさを感じることがあります。そのため、先生が実際に俳句をつくっている姿を見せることで、児童はどんな流れでつくればいいのかが理解できるようになり、俳句づくりがスムーズに進みやすくなります。
また、「先生のやり方を真似してつくってみよう」という一言を付け加えることで、児童は安心して始めることができるでしょう。先生が俳句をつくる過程を見せることで、児童は学びを得やすくなります。
俳句の題材を大切にする
俳句の題材となる心が動いた瞬間は俳句づくりの中心となる大切なポイントです。この心が動いた瞬間を五感を通じて言語化することが俳句づくりの一歩となります。いきなり五・七・五にまとめようとするのではなく、まずは五感メモなどを使って、俳句の題材としっかり向き合う時間を大切にしましょう。
俳句の題材がなかなか見つからない児童に対しては、実際に自然を観察してみたり、季節を表す写真カード(落ち葉、花、氷など)を見せてみたりするなどしてあげると良いでしょう。先生は、児童が見つけた題材に対しては否定したり評価したりせず、「もっと教えて」と大切にする姿勢を示すことが重要です。それによって児童は安心して俳句づくりに向かうことができるでしょう。
始めは型にこだわりすぎずに、リズムを感じる
児童に始めから俳句の五・七・五の型を守らせようとすると、そこに納めなければいけないという意識ばかりに目が向いて、俳句の良さが伝わりづらくなってしまうことがあります。まずはリズムを大切にし、その気持ちよさを感じる体験をすることが大切です。
五・七・五のリズムを「読んでいて心地よい」と感じられるようになると、俳句へのハードルが下がりやすくなります。その上で、俳句をつくるときは五・七・五にこだわりすぎず、「リズムで読んでみる→読んで心地よいかを確認する→整える」の過程で進めていくと良いでしょう。
読み合いやアドバイスは良いところを中心に
俳句づくりにおいては正解がなく、自分の感性を大切にして進めていきます。そのため、友達同士の読み合いや先生がアドバイスをする際には、良いところを中心に行うことがおすすめです。これによって、児童は「自分の感じ方でいいんだ」と安心して表現しやすくなります。
基本的に友達同士で読み合う時には、思い浮かぶ季節感や情景を共有したり、良いと思ったところを伝え合ったりし、アドバイスは必要に応じて先生が行うようにすると良いでしょう。良いところを探す視点としては以下のようなものがあります。
【例】
・季語が合っている
・音が気持ちいい
・景色が浮かぶ
・言葉がきれい
・気持ちが伝わる
・音が聞こえてきた
「~な景色が浮かんだよ」というように、なるべく具体的に伝わってきた景色を伝えられると良いでしょう。
まずは、俳句のリズム感を楽しむこと、そして作品から伝わってくる季節の情景を味わうことが、俳句の良さを感じる大切な学習になります。「型に合わせてつくらなきゃ」と気負うことなく俳句づくりの活動に向かえるような手立てを取り入れてみましょう。
手本に使いたい有名な俳句の例
ここでは、俳句の手本として使いやすい有名な俳句の例を、季語や意味とともにまとめていきます。季節ごとに12個紹介します。
春の句
🔵「古池や 蛙飛びこむ 水の音」松尾芭蕉
・季語:蛙(春)
・意味:静かな古い池に、蛙がぽちゃんと飛び込んだ。その音だけが響いた。
・良さ:一瞬の音を切り取っている。静けさとの対比がわかりやすい。
🔵「菜の花や 月は東に 日は西に」与謝蕪村
・季語:菜の花(春)
・意味:菜の花畑の上で、月が東からのぼり、太陽が西に沈んでいく。
・良さ:色と光の広がり。大きな景色の切り取り。
🔵「やせ蛙 負けるな一茶 これにあり」小林一茶
・季語:蛙(春)
・意味:弱そうな蛙に「負けるな」と一茶が声をかけている。
・良さ:ユーモアがある。語りが入っている。
🔵「春の海 ひねもすのたり のたりかな」与謝蕪村
・季語:春の海(春)
・意味:春の海が一日中、ゆったりゆったりとゆれているなあ。
・良さ:ゆったりとした春の空気の描写。
🔵「赤い椿 白い椿と 落ちにけり」河東碧梧桐
・季語:椿(春)
・意味:赤い椿と白い椿が、どちらも同じようにぽとりと落ちていった。
・良さ:色の対比。切れ字「けり」の余韻。
夏の句
🔵「五月雨を 集めて早し 最上川」松尾芭蕉
・季語:五月雨(夏)
・意味:五月雨(長く降り続ける雨)が川に集まり、最上川が勢いよく流れている。
・良さ:動きのある描写。自然の力強さ。
🔵「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」松尾芭蕉
・季語:蝉(夏)
・意味:山の静けさの中で、蝉の声だけが岩にしみこむように響いている。
・良さ:山の静けさと蝉の声の対比。
秋の句
🔵「茨野や 夜はうつくしき 虫の声」与謝蕪村
・季語:虫の声(秋)
・意味:茨(いばら)の生えた野原では、夜になると虫の声が美しく聞こえてくる。
・良さ:荒れた茨野と美しい虫の声の対比。
🔵「をりとりて はらりとおもき すすきかな」飯田蛇笏
・季語:すすき(秋)
・意味:すすきを手で折り取ると、はらりと軽く落ちるように見えるのに実際は重みがある。
・良さ:見た目と異なる重さの対比と描写。
冬の句
🔵「初しぐれ 猿も小蓑を ほしげなり」松尾芭蕉
・季語:初しぐれ(冬)
・意味:冷たい初しぐれの雨に、猿も小さな雨具が欲しそうにしている。
・良さ:擬人化。季節の冷たさの表現。
🔵「初雪や 水仙の葉の たわむまで」松尾芭蕉
・季語:初雪(冬)
・意味:初めて降る雪が、水仙の葉に積もって、しなるほどになっている。
・良さ:視覚的な描写。雪の重さの表現。
🔵「寒月や 門なき寺の 天高し」与謝蕪村
・季語:寒月(冬)
・意味:寒い夜の月が澄んでいて、門もないような寺の上には広い空が高く広がっている。
・良さ:空間の広がり。余白の美。
児童になじみのない情景をもとにした作品だとイメージがしづらいので、例を提示する際は関連する写真も一緒に提示したり、わかりやすく先生が解説をしたりすることが大切です。
小学生が使いやすい季語まとめ
小学生が俳句をつくる際には、小学生にとって身近な生き物や食べ物などの季語を使うと良いでしょう。ここでは、小学生が使いやすい季語を季節ごとにまとめていきます。この中から俳句の題材に合うものを一つ選んで五・七・五の中に取り入れていきましょう。
春の季語
ちょう・かえる・うぐいす・つばめ・あり・てんとう虫・うめ・つばき・たんぽぽ・つくし・ふきのとう・桜・菜の花・すみれ・チューリップ・わかば・雪どけ・春風・春の雨・ひな祭り・こいのぼり・花見・桜もち・いちご・たけのこ・卒業・春休み・入学・進級・新学期
夏の季語
せみ・ほたる・かぶとむし・くわがた・あめんぼ・ひまわり・あさがお・ゆり・あじさい・青葉・竹・入道雲・夏空・夕立・風鈴・夕涼み・涼風・花火・プール・海水浴・夏休み・盆踊り・祭り・七夕・すいかわり・かき氷・すいか・そうめん・トマト・とうもろこし・アイスクリーム・扇風機・うちわ・日焼け
秋の季語
赤とんぼ・こおろぎ・鈴虫・きりぎりす・かまきり・もみじ・落ち葉・いちょう・どんぐり・すすき・きんもくせい・稲穂・稲刈り・十五夜・お月見・七五三・秋祭り・芋ほり・焼き芋・読書・さつまいも・りんご・くり・かき・なし・ぶどう・さんま
冬の季語
白鳥・雪・初雪・氷・霜柱・北風・正月・初詣・お年玉・もちつき・節分・クリスマス・おでん・なべ・みかん・大根・雑煮・こたつ・ストーブ・マフラー・手袋・雪だるま・大掃除・冬休み
題材が季節に関係していれば、季語は自然と俳句の中に入ってくるものです。「必ずどれかを入れさせなきゃ」とかたくならないように、「読む人に伝わるように言葉を選ぼう」と声かけをすると良いでしょう。
季節とリズムを味わいながら俳句づくりを楽しもう
俳句は五・七・五の型で季語を入れてつくる作品です。17音という短い音数の中で、季節の自然や空気感を楽しめるのが魅力です。小学校では、中学年で俳句の中に表現されている季節の情景やリズム感を味わい、高学年で俳句の創作活動を楽しむ内容を扱います。
俳句をつくる際には、自然や生活の中から心が動いた瞬間をもとに俳句の題材を見つけます。そして、五感をもとに言葉を広げ、五・七・五に整えていきます。教え方のコツとしては、型に縛られすぎず、感性やリズムを味わえるようにすることが大切です。この記事を参考に、季節感や、俳句のリズムを楽しみながら俳句づくりを行ってみてください。
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