子どもたちが英語になじむために役立つ、英語のゲームを紹介します。取り組む際のポイントは、勝負や成績にこだわらず、みんなで協力してチャレンジすること。失敗も笑い合えるような雰囲気作りが肝心です。英語を使うことと、ゲームで友達と楽しむ経験とが結びつけば、「言葉を使って豊かな人間関係を築く」という、コミュニケーションの本質をつかむ第一歩になるはずです。
「クラスがまとまる! 男女が仲良くなれる! 小学校英語コミュニケーションゲーム100」(明治図書出版)の著者。小学校の担任が中心となって行う外国語活動の指導法の研究に取り組んでいる。第四回国際言語教育賞児童英語教育部門受賞。
聞くゲーム PENとPANとPINゲーム
単語の発音を聞き分け、意味をとらえてから反応するゲーム。子どもたちの「音に対する気付き」を育てます。
【遊び方】
①先生が”PEN”と言ったら、生徒はペンで書くジェスチャーを。”PAN”と言ったらフライパンで料理をするジェスチャーをします。はじめは、先生もゆっくり発音しながらいっしょにジェスチャーをしましょう。
②①ができるようになってきたら、”PIN”もプラスします。”PIN”と言ったら、針で刺すジェスチャーをしましょう。
③慣れてきたら、テンポをアップしたり、先生がわざと単語とは違うジェスチャーをして生徒を惑わせたりすると盛り上がります。
人数:大人数
所要時間:10分程度
中学年以上向け
【POINT!】
•全員が立った状態からゲームを始めて、間違えた人は座らせる方法もあります
•”Do you have a pen?”など、文章といっしょに聞かせるといったアレンジをすると、高学年向けのゲームに
話すゲーム 数字でリレーゲーム
“one”→”two”→”three”……と、数字を順に素早くカウントするゲーム。大きな声を出して、英語で数えることに慣れましょう。
【遊び方】
①ゲームに参加する全員で大きな輪を作ります。人数が多い場合は2チームに分けましょう。
②先生が左隣の人に大事そうにボールを渡すジェスチャーをしながら、”One”と言い、渡された人も同じように”Two”とカウントしながら、左隣へ回します。
③カウントをどんどん進めて、最後の人までボールが届き、最後の人が数字を言ったら、全員座ります。
④①〜③のタイムをストップウォッチで計測し、ゲームを繰り返してタイムを更新しましょう。
人数:10〜20人
所要時間:10分
全学年OK
【POINT!】
•途中、どうすればタイムが縮まるかを相談して(「最初から手を近くに寄せておこう」「相手の顔をしっかり見て渡そう」など)協力しましょう
•「3の倍数の人は、ボールを回さずに手を叩く」など、課題を変更したり加えたりすると、難易度が上がります
書くゲーム スペリングリレーゲーム
先生の書いた英単語を一文字ずつ書き写すゲーム。つづりや意味を覚える必要はなく、「よく見て書く」ことが大切です。
【遊び方】
①先生が”What’s this?””It’s an apple.”と話しながらリンゴの絵のカードを見せて、黒板に”apple”と書きます(大文字でもOK)。
②生徒はいくつかのチームに分かれて、黒板の単語を書き写します。最初の人が”a”、次の人が”p”といった具合に、チョークをバトンに見立てて、正確に早く書きます。
③慣れてきたら、3分、5分などの制限時間を設けて、文字数の多い単語に挑戦しましょう。時間内にできるだけ正しく、たくさんのアルファベットを写したチームが勝ちです。
人数:大人数
所要時間:15分
高学年向け
【POINT!】
•アルファベットを書くことが苦手な人がいる場合や、習熟度の差が大きい場合は、2人1組でチョークを持って書くやり方にアレンジするのも◯
表現するゲーム 気持ち伝染るんですゲーム
気持ちを表現する英語と、それに合うジェスチャーを使ったゲーム。大きい声と派手な動作で「伝える楽しさ」を盛り上げましょう。
【遊び方】
①先生が”happy””sad””angry””hungry””fine”などの「気持ち」を表現する単語を黒板に書き、みんなでそれぞれに合ったジェスチャーを決めます。
②生徒は自分の「気持ち」をひとつ選びます。先生の合図で教室を歩いてまわり、英語とジェスチャーで、別の「気持ち」の人を探します。
③別の「気持ち」の人が見つかったら、二人でじゃんけん。負けたほうは、相手の「気持ち」に変えて言いましょう。
④再び、別の「気持ち」の人を探して、じゃんけんを続けます。次々と「気持ち」が伝染する様子が楽しいゲームです。
人数:大人数
所要時間:10分
中学年以上向け
【POINT!】
•”Rock, Paper, Scissors, One Two Three!”と、じゃんけんを英語で行うのも◯(Threeで「ぽん」)
•ゲームが終わったときに教室の大部分が”sad”や”angry”になってしまっても、「みんなで気持ちを共有できたね」と、笑顔で締めくくりましょう
最後に
英語ゲームは、授業に集中するきっかけづくりや、授業中のリフレッシュにもおすすめです。目的やルールの説明はシンプルにサクサク進めて、終了後に「振り返り」の活動を行えればベストでしょう。「よくできたところはどこか?」「どんな学びがあったか?」などをみんなで話し合って共有することで、英語への関心や子どもたちの絆はぐっと強まるはずです。
構成、文・林真理子 イラスト・小林孝文
※この記事は2017年12月に掲載されたものを転載しています
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