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公開日:2024年03月08日  
更新日:2024年03月07日

授業は導入が9割!? 今日から生徒が前のめりになる授業導入テクニック10選!

「授業は導入で決まる」といっても過言ではないくらい、授業導入はとても大事。生徒の前に立って授業をした経験があるなら、身をもって体感していることでしょう。

しかし経験の浅いうちは「どんな導入にすれば、生徒を引き込めるのだろう…」と悩む先生も多いはず。そんな先生のために、この記事では授業の導入テクニックや導入を考える際に大切にすべきポイントをご紹介します。主な内容は、以下のとおりです。

  • 授業の導入がなぜ重要なのか
  • 生徒を惹きつける授業の導入テクニック10選
  • 導入を考える際に意識すべきこと4つ

今回ご紹介する実践的なテクニックを使えば、生徒の興味を引き、効果的な学びが提供できます。記事後半では、授業を計画するうえで大切な意識についても解説していますので、最後まで読んでぜひ参考にしてください!

そもそも授業の導入はなぜ大切か?

授業の導入が大切な理由は、主に2つです。

  1. 生徒の学習意欲に関わるから
  2. 生徒の心と頭の準備時間になるから

授業の成功に大きく関わるポイントなので、しっかりチェックしましょう。

1.生徒の学習意欲に関わるから

生徒は授業の導入で、意欲的に取り組めそうか否かを決めます。大人でもセミナーや研修の冒頭で「今日はつまらない」と感じれば、モチベーションが上がりませんよね。子どもなら、なおさらです。

導入以降の教え方がよくても、授業を聞く姿勢が作れないと意味がありません。導入で生徒を引き込んで、学ぶ意欲を高めることを目指しましょう。

2.生徒の心と頭の準備時間になるから

授業の導入は、生徒が目の前の学習に集中するための準備時間でもあります。いきなり授業の本題に入ると、心の準備や頭の回転も追いつかないですよね。

なかには朝から夕方まで学校の授業を受けたあとに、部活動に勤しんでから夕方に塾の授業を受ける生徒もいるでしょう。当然ながら疲れているので、頭の切り替えに時間もかかりますよね。導入を通じて、生徒の集中力を徐々に高めましょう。

生徒を惹きつける授業の導入テクニック10選

ここからは、生徒を惹きつける導入テクニック10選をご紹介します。紹介するテクニックは単体でも使えますが、組み合わせて使うのもアリです。どれも今日の授業から使える実践的なものなので、ぜひ参考にしてください!

1.授業のゴールを伝える

授業の最初に「今日は〇〇ができるようになろう!」と生徒に伝えてください。始めに授業のゴールを伝えると、生徒がモチベーションを高めて学習に取り組みやすくなります。

ゴールを明確に伝えれば、生徒は

  • なにを学ぶのか
  • どう役立つのか

をイメージしやすくなるからですね。

たとえばマラソンは、ゴールがあるから頑張れますよね。ゴールがはっきりしないと、力の出しどころがわかりませんし、達成感も味わえません。

なにを覚えるべきかを伝えたり、確認テストの目標点を伝えたり、目標の設定は自由です。導入のあとにも復唱して、目標を教室に浸透させましょう。

2.前回の復習から始める

授業の導入に復習を交えることで、生徒の集中力と意欲の向上を期待できます。知っている内容から確認できたほうが、安心できますよね。

たとえば、関係代名詞の目的格を初めて教えるときには、関係代名詞の主格から確認するといいでしょう(逆もOK)。相似な図形を教えるときには、1年前にやった合同な図形から確認すれば、新しい学習内容のイメージが簡単になります。

この手法は、生徒が苦戦しやすい単元ほど有効!大事なポイントを思い出させ、心理的なハードルも下げられます。

3.動画や写真を見せる

授業の導入で、テーマに関係のある動画や写真を見せるのもテクニックの1つ。動画や写真を見せれば、言葉で説明するよりも視覚的に理解しやすくなります。また、生徒の注意も引きやすくなるでしょう。

10代の子どもたちは、年齢を重ねるごとにインターネットの利用時間が長くなる傾向があり、特に動画を見ることに多くの時間を割いています。そのことは「令和4年度⻘少年のインターネット利⽤環境実態調査」 からも確認でき、中学生のインターネット平均利用時間は1日約230〜320分にも及び、中でも「動画を見る」ことが利用内容のトップになっていることがわかります。

昨今は生徒の生活にSNSが密着していて、「YouTube」や「TikTok」などの動画配信サービスもすっかりおなじみです。動画を身近に感じている世代だからこそ、授業に集中させる「きっかけ作り」に動画を用いることは有効と言えるでしょう。

ただし、単に注意を引くためだけに動画や写真を使うのはNG。導入で動画や写真を見せても効果が発揮されないなら、生徒の知的好奇心は維持されません。生徒は「ただ動画を見せられただけ…」と感じるでしょう。

事前に動画や写真のどこに注目してほしいか周知して、内容をまとめさせたり、疑問点を挙げさせたりして、アウトプットにつなげるのがおすすめです!

4.クイズを取り入れる

最初にクイズを取り入れるのは、授業を楽しく始めて生徒を惹きつけるのに有効です。理科の授業の一例を、ご紹介しましょう。

先生:「みんなは、地球温暖化って聞いたことあるよね?」
生徒:「あります!」
先生:「温暖化が進むと、どんなことに困る?」
生徒:(自由に答えさせる)
先生:「そうだね。なかでも海面上昇に注目したい!」
  :「ここでクイズ!」
  :「北極と南極の氷を比べて、溶けると海面が上昇するのはどっち?」
生徒:(自由に答えさせる)
先生:「じゃあ『せーの』で答えを言ってみよう!」
生徒:「北極(南極)!」
先生:「おぁ!意見が割れたね!」
  :「正解は…南極でした!」
生徒:「やったー!(えぇ〜!)」
先生:「じゃあ、どうしてなんだろうね?」
  :「みんなで、理由を考えてみよう!」

水は氷(固体)になると密度が小さくなるので、水の上に浮きますよね。浮いている氷が溶けても水面の高さが変わらないように、北極海の氷が溶けても海面上昇は進みません。

クイズから授業に入ることで、生徒たちはクイズの答えを理解するためにも熱意をもって学習に取り組み、より効果的に学習成果が得られるという訳です。

5.「なぜ?」と思わせる

授業の最初に問題提起をして、知的好奇心を煽るのも生徒を惹きつけるテクニックの1つ。生徒に「どうして?この先を早く知りたい!」と思わせたら勝ちです。その状態になれば、自然と前のめりになって授業を聞いてくれるからですね。

  • 烏(からす)という字は、鳥(とり)に似ていますよね。
  • 豊臣秀吉は、全国統一の後に朝鮮出兵を行いました。
  • 日本に到達した台風の多くは日本列島をなぞるように通り抜けますよね。

「これは、なぜでしょう?」こんな感じで、問いかけてみてください。知的好奇心は、学習意欲を掻き立てる最高の薬です。生徒がなにか考えたくなる、そんなネタを探しましょう。

6.身近な話・雑談とリンクさせる

身近な出来事や、世の中で起こっていることを授業とリンクできたら、スムーズに授業が始められます。雑談のようにスタートすれば、生徒も「授業だ」と身構えず聞けますよね。

他愛もない話に、ヒントはたくさんあります。具体例は、以下のとおり。

  • 自分の家族の話 → 家族がテーマの小説(国語)
  • 教室の窓が結露する話 → 飽和水蒸気量(理科)
  • 引っ越したらゴミ袋代が有料だった話 → 地方自治(社会)

教室に入ったときに「どんより」した雰囲気を感じることもありますよね。生徒が疲れていたら、ちょっとした雑談で教室の空気を変えるのも先生の大事な役目です!

7.いきなり生徒に考えさせる

新しいことを教える授業で、ゴールとなる問題にいきなり取り組ませるのもテクニックの1つ。特に野心的な生徒の多い教室では有効で、生徒の競争心を掻き立てることが可能です。数学や英語の授業で取り入れやすいでしょう。

【例:英語の授業の導入】

He lost the smartphone that his grandfather bought him three days ago.

  1. 例文を書く
  2. 今日はこの「例文」を訳すのがゴールと伝える
  3. ノーヒントで訳せたら「すごい」と盛り上げる
  4. 正解の生徒が出たら大きくほめる → できた生徒に説明させてもOK
  5. 本編で文法を確認する

一人ひとりが考える時間を作れるのも、この手法のよい点です。ただし、問題の選定がとても重要になってきます。前回までの理解でギリギリ解ける問題を選ぶ必要があるので、注意して問題を選びましょう。

8.続きが気になるところまで話す

授業で取り扱う小説や論説文の冒頭の部分までを話して続きを期待させるという方法も、導入で使えます。主に文系科目で有効な方法ですね。生徒に「この先の話が知りたい!」「結末はどうなるの?」と思わせるトークを考えましょう。

【国語の説明文の導入の例】

「みんなはモアイ像って、知ってる?大きいものは、20メートルくらいあるんだって!6階建の建物と同じくらいだね。重さはなんと200トン。アフリカ象40頭分だよ。これを平安時代くらいに作った人たちがいるんだって…すごいよねぇ〜。」

「でも、そもそもモアイってどうして作られたの?そして、どうやって運ばれたの?今は作られなくなった理由は?今日は、この謎を解明しよう!」

作品によっては、魅力的なトークを考えるのは難しいケースもあります。しかし、そんなときでも作品の前提知識を事前に生徒に話すだけでも、文章を読むのが苦手な生徒の気持ちに寄り添うことが可能です。

9.単元の重要性を真剣に伝える

これから教える授業内容の重要性を導入で念入りに語り伝えることも、ときには効果を発揮します。なぜ重要であるかが伝われば、生徒も気が引き締まるからです。

【重要性を語るトークの例】

「今日から学ぶ一次関数は、ものすごく重要な単元だ。なぜなら、ほぼ必ず入試に出題されるから。しっかり理解できている人とそうでない人で差がついてしまう単元でもある。これまで数学が得意だった人が、急に得点を落とすこともある単元なんだよね…。」

「でも大丈夫!一つ一つの授業をしっかり聞いて理解すれば、定期テストでも高得点が取れるし、入試問題もいずれ解けるようになるよ!まずは、今日の授業の内容を大切にしよう。わからないことがあったら、その日のうちに質問して解決するよ。OK?」

ポイントは、生徒の危機感を煽りつつ期待感も感じさせることです。毎回使えるテクニックではありません。「ここぞ」という単元に差し掛かったら、ぜひ使ってみてください。

いつも和やかに授業をしている先生が、トーンを変えて真剣に話せば、なお効果的ですよ。

10.意外な事実を伝える

生徒が当たり前だと感じていた事実を揺さぶるのも、導入で使えるテクニック。自明だと思っていたことに「違う答えがある」と感じれば、大人でもワクワクしますよね。

【意外な事実を伝える例】

「犬公方と揶揄される徳川綱吉の「生類憐れみの令」が、日本人にとって非常に重要な政策だった、と聞くと意外に思えませんか?一般的なイメージは、「理不尽な動物愛護法」という感じですよね。」

「しかし実は…人間もその保護対象であり、武士が人を殺して当たり前だった世の常識を変えた政策でもあるんです。確かに、極端な政策ではありましたが、日本人の道徳心を育むのに大いに貢献した側面もあるんです。 」

一般的な理解とは異なる事実を先に伝え、のちにその真相に迫る流れにしましょう。さまざまな教科で使える場面があるはずです。

人が思い込みで世界を誤認しているのを指摘した書籍『ファクトフルネス』は、ベストセラーになっています。授業に限らず、意外な事実を伝えることは人の興味関心を引くのに大いに役立ちます!

授業の導入アイディアは増やせる!

授業の導入に使えるアイディアは、日々増やすことも大事。引き出しが多ければ多いほど、授業の魅力は増します。導入のアイディアを増やす方法もチェックしましょう。

本を読む

書籍を読んで、ネタを探すのは有効な方法です。生徒は、教科書に載っていないことに好奇心を示すからですね。具体的には、以下のような書籍を探すのがおすすめです。

1つ上のレベルの参考書・生徒が小学生なら中学生の参考書
・生徒が中学生なら高校生の参考書
専門誌・Science
・Nature
小説・教科書にある作品
・作者の別著
・歴史小説

一般的に、書籍はインターネット上の情報よりもエビデンスが正確なものが多く、安心して利用できます。生徒に話すネタが増えるのはもちろん、自分自身の成長にも繋がりますね。

YouTubeを見る

YouTubeで検索をして、教えたい単元の授業動画をヒントにするのもアリ。いろいろな先生が、さまざまな授業動画をアップロードしています。

また専門家(研究者など)が発信する情報の中にも、導入のネタは潜んでいます。書籍より情報の正確性に裏付けがない点には注意が必要ですが、情報量が多く、書籍よりも最新の情報を得られるのが魅力です。

YouTube動画の授業を「丸パクリ」するのはNG。熱心な生徒が同じ動画を先に見ているかもしれません…。

テレビを見る

日々なんとなく見ているテレビ番組にアンテナを向けると、授業の導入ネタが見つかることもあります。クイズ番組や旅番組、なにかの特集番組は、授業でも使える情報が隠れていることがあります。たとえば、社会の先生なら次の番組は忘れずチェックしましょう。必見ですよ。

  • 歴史:大河ドラマ
  • 公民:ニュース番組

テレビを見ない人でも、ニュースサイトで情報を仕入れることは可能です。使えそうだと思ったことを、スマホならすぐメモできますね。

先輩の授業をまねる

先輩の授業を参考にするのも効果的です。経験の浅いうちは、導入からどのように本題へつなげるかを考えるのも大変ですよね。

なかなかスムーズに組み立てられないなら、先輩の授業をマネしましょう。学ぶの語源は「まねぶ」、つまり「マネる」です。生徒によい授業が提供できるなら、マネることは悪いことではありません。

まずは先輩に学び、次第に自分流にアレンジすればOK!多くの先輩も、そうやって教え方を身につけています。

授業の導入を考える際に先生が意識すべき4つのこと

導入は、授業を成功させるうえで大事な要素です。しかし、授業の成功に欠かせない要素は他にもあります。導入を考える際に意識したいことにも、目を向けましょう。

1.導入だけでなく授業全体の計画も大事!

授業を組み立てるときは、全体の計画も大事にしましょう。導入を盛り上げることは大事ですが、尻すぼみになっては意味がありません。

確認テストを用意するなど、ゴールから逆算して作るのもおすすめです。以下で、授業を組み立てる流れの一例を紹介します。

  1. ゴールを設定する
  2. 確認テストを作る
  3. 練習問題を決める
  4. 説明・発問を考える
  5. 導入を考える
  6. 板書をまとめる

導入以降が尻すぼみになるのを避けるためには、確認テストに向けて生徒を鍛える3〜4の計画も大事です。「教える→確認する」のステップをいくつか作ると、一気に教えてからまとめて練習問題を解く時間を作るより、生徒も飽きずに授業を受けられ、学習の定着にもつながります。

導入で盛り上げたあとは、リズムが単調にならないようにして集中力を持続させましょう。

2.授業の主役は生徒である

先生は「授業の主役は生徒である」という意識で授業に臨みましょう。なぜなら、次のような授業は生徒がイヤがるからです。

  • 先生の説明ばかりの授業
  • 板書が取りにくい授業

先生が長々と説明ばかりをする講義型の授業は、生徒が暇になります。生徒と対話をしたり、生徒に考えさせたりして「気づき」を与える場面を作りましょう。

また、板書の取りやすさも大事です。字に自信のない先生でも、バランスを考えて丁寧に書けば見やすくなります。また「板書をとるための時間」と「説明を聞いて理解する時間」を分けることで、生徒は集中して説明を聞くことができます。

3.教えるだけでなく導く

生徒を引き込んで、うまく授業を進行するには、指示を出して「導く」ことも重要です。教え方がよくても、教室全体の指揮を取れていないと、授業は成立しません。

たとえば、重要な説明をするときに、生徒がノートをとるのに必死で顔を上げていなかったら、聞き逃してしまいますよね。そんなときは「顔をあげて、説明をするよ!」と指示を出しましょう。

先生は「生徒をリードする感覚」を持つことが大切です。今すべきことが明らかになれば、生徒も授業を受けやすくなります。部活動のキャプテンや部長のようなイメージで、指示を出しながら進行を取り仕切るイメージです。

避けるべきは、指示と別のことをする生徒を「黙認」することです。指示をしたら必ず待ちましょう。最終的には、自ずと生徒どうしで注意しあってくれます。

4.授業外での生徒との関わり方も大切!

先生は、授業以外の時間も大切にしましょう。生徒との関係がよいほど、授業がしやすくなるからです。また生徒も、信頼できる先生の授業なら楽しんで参加できますよね。

生徒との心理的な距離を縮めるには、先生からの「はたらきかけ」が大事です。教室に入る前に以下のような行動が取れているかチェックしてみてください。

  • 明るく挨拶をする
  • 良く出来たら積極的にほめる
  • 自己開示をする

学生時代を思い返してみると、怖いと感じる先生の授業は、苦手でしたよね…。一方で、いろいろなことを相談できる先生の授業は安心感があったはずです。適度な親近感を感じさせ、授業への積極的な参加を促すために、授業以外での関わり方も大切にしましょう。

授業の導入の質を高めて学ぶ楽しさを伝えよう!

授業を成功させるためには、導入が非常に大事です。理由は、以下の2つです。

  1. 生徒の学習意欲に関わるから
  2. 心と頭の準備時間になるから

意味がありワクワクする導入で生徒を惹きつければ、集中力と学習意欲を高められます。

導入に悩む先生は、紹介した「生徒を惹きつける授業の導入テクニック10選」をぜひ参考にしてください。生徒にとっても、そして先生にとっても楽しい授業を実現して、学習効果を高めましょう!

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