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読書、勉強、貯金、早起き、片づけ、ダイエット……。
どんなプラスの行動も、長く続けるには「習慣づけ」が重要です。
いい習慣が無理なく身につくコツを、専門家にお伺いしました。
コツさえつかめばどんな人でも続けられる
語学や貯金、日記、整理整頓などを始めるも、すぐに挫折。「続けたくても、続かない」と落ち込んだ経験が、誰にでもあるのではないでしょうか。
克服するには、まず【習慣づけのコツ】をつかむことが重要なのだと、習慣化コンサルタントの古川さんは言います。
「自分を責めたりする必要はナシ。継続には性格や、意志の強さも関係ありません。挫折する時期やワナを乗り切り、やる気が続く2つのコツを抑えればいいだけなんです」(古川さん)
1つ目のコツは、【挫折しやすいポイントを上手に乗り切る】こと。人間の脳には変化に抵抗し、「いつも通り」を維持しようとする傾向があり、どんなに自分のためになることでも、始めたばかりの時には抵抗が起こるそうです。
古川さんによると、抵抗が起きやすい難所は「反発期」「不安定期」「倦怠期」の3ステップ。この3ステップを越えて、脳に新しく始めたことを「いつも通り」だと認識させてしまえば、どんな習慣もごく自然と身につけられるようになるのです。
習慣化すれば人生は必ずよくなる
古川さんが提唱する2つ目のコツは、【自分のやる気をマネジメント(管理)して、続ける仕組みを作る】こと。
まず、「できた時のごほうびをもうける」「誰かに褒めてもらう」「理想のモデルを決める」などの楽しいこと、「罰則や〆切をもうける」「友達と成果を話し合う」「周囲に宣言する」などの厳しいことの中から、「自分はこうすれば、やる気が湧いてくるんだな」ということを見つけておきます。
それを、なるべく具体的に考えて、タイミングよく実行すれば、もっと継続したくなる仕組みができあがる―というわけです。
「よい行動を続け、習慣化していくことで、人生は必ずよくなる」と説き、多くの人を成功に導いてきた古川さん。自らも52の習慣を身につけたことが、大好きな仕事に就いていることや、充実したプライベートの礎になっているそうです。
2016年夏にMLB通算三千本安打を達成し、43歳になる今も現役で活躍するマーリンズのイチロー選手も、高校時代に毎日10分間の素振りを続けたほか、今も多くの習慣を自己管理に役立てていることは有名な話です。習慣づけのコツをつかんで、前向きな一歩を踏み出しましょう。
まずは習慣化のための3つの大原則をCHECK!
一度にたくさんやろうとしない
張り切りすぎて、複数のことを同時に始めたり、最初から長時間取り組もうとするのはNG。「1つの習慣が身についたら、2つ目に着手する」というように、着実なステップアップを心掛けて。
ルールを難しくしない
例えば、英語学習の場合。電車の中ではリスニング、夜は文法、週2回は英会話教室……と、複雑なルールを設定すると、継続が困難に。
「帰宅後すぐに20分間は英語のテキストを解く」など、周囲の専門家からアドバイスをもらい、有効で効率のよい方法に絞ってシンプルに取り組みましょう。
結果にこだわりすぎない
目標が役立つこともありますが、こだわりすぎは×。理想のペースで達成できなくても、焦らないで。どんなことも、焦って課題や負荷を増やしたりすると、無理がたたって挫折しやすくなります。
「スランプ」も「投げ出し」もらくらくクリア|習慣が身につくまでの3ステップ対策
「主な行動習慣は、1カ月間毎日継続することで定着します。次の3ステップの対策を事前に知れば、ぐんとラクにクリアできます」(古川さん)
STEP1(1~7日目)やめたくなる【反発期】
実は最初の一週間こそ、続けることが最も苦しい時期。それだけに、「この時期さえ乗り越えられれば、成功率が確実に向上する」ともいえます。
【 この時期に起こること 】
● やる気が落ちて、三日坊主に終わる
● 計画に無理があり、諦めてしまう
● 数日間で億劫になってくる
【 対策 】
「1日に10分間だけ勉強する」「1ページだけテキストを読む」など、無理なくクリアできることからスタートしてみてください。実行できた日はカレンダーやスマホのタスク表に◯をつけるなど、簡単な記録をとるのも意欲を保つコツです。
STEP2(8~21日目)振り回される【不安定期】
いつもと違う予定や出来事に振り回されがちな時期。自分なりのパターンやリズムを作ることで、上手に乗り越えられます。
【 この時期に起こること 】
● 急な予定変更や誘い、ちょっとしたアクシデントなどを理由にサボってしまう
【 対策 】
「いつ・どこで・どのくらいやるか」を決めて、行動をパターン化しましょう。また、「できなかった時は、代わりにこれをやる」というように、事前に例外的なルールを決めておくのも◯。
STEP3(22~30日目)飽きてくる【倦怠期】
マンネリを感じる傾向が強く、油断しがちな時期。ここで習慣を手放さず、変化をつけることで一気に乗り切りましょう。
【 この時期に起こること 】
● 飽きてきて、やる気が出なくなる
● 意味を感じにくくなり、やめてしまう
● 物足りなさを感じる
【 対策 】
「環境やテキストを変える」「同じことに取り組む仲間と交流する」など、変化をつけてみて。ただし、自分のパターンやリズムは崩さないように。次に始める習慣を決めておくのもおすすめです。
1カ月達成おめでとう!
続けるためのスイッチを見つければ
もっと楽しく
「自分に合ったやる気スイッチを見つけておくと、よりラクになり、自然と続けたくなるようになります。習慣と関係のあるコツであれば、さらに有効です」(古川さん)
例:「英語のドリルができたら、大好きな海外ドラマを見る」「家族や先生に成果を発表して、褒めてもらう」「同じことに取り組む仲間と話し合って、テンションを上げる」など。
まとめ
人は習慣によってつくられる。
優れた結果は、一時的な行動ではなく習慣から産まれる
古代ギリシアの哲学者 アリストテレス
米国NLP協会認定マスタープラクティショナー。3万人以上のビジネスパーソンの育成、500件以上のコンサルティング実績を持ち、オリジナルの習慣化理論・技術を体系化。テレビ、新聞等のメディアやセミナー等でも幅広く活躍する。著書多数。
構成、文・林真理子 イラスト・小林孝文
※この記事は2016年12月に掲載されたものを転載しています
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