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公開日:2026年05月01日  
更新日:2026年04月27日

小学校のプール開き、内容や流れはどうする?押さえておきたいポイント

プール開きの指導案作成や、プール学習の進行に悩んでいませんか?

小学校のプール開きはその年のプール学習の土台を作るうえで大切な時間になります。プール開きでルールの確認や安全指導をしっかりと行うことが、その後の安全で安定したプール学習につながっていくのです。

この記事では、「プール開きやプール学習の基本的な流れ」や「プール学習ができる条件」など、プール学習の指導を行ううえで先生が押さえておきたい情報をまとめました。プール学習をスムーズに進行したい先生は、ぜひ参考にしてみてください。

プール開きはいつ?授業ができる条件

ここでは一般的な学校のプール開きのタイミングや、プール学習ができる条件について解説します。児童の安全にかかわる重要な事柄なので、自分の学校での基準についてもしっかり確認しておきましょう。以下の項目で詳しく説明していきます。

プール開きの時期は地域によって差がある

プール開きの時期として全国的に多いのは、6月中旬~7月初旬ですが、地域によって差があります。プール開きは、気温・水温が安定し、設備点検や行事との兼ね合いも調整しやすい時期に行われることが多いです。

【プール開き目安の時期】
・沖縄:5月下旬
・九州:6月下旬
・関西:6月中旬~7月上旬
・関東:6月中旬~7月上旬
・東北:7月上旬

また、プール開きは単なるプール学習の開始日というだけではなく、安全に対する意識を共有する大切な機会でもあります。学校によっては校長先生の話や代表児童の言葉などを取り入れることもあります。

プール学習ができる気温・水温の条件

プール学習ができる気温・水温の条件は、プール学習における「安全のための基準」として扱われています。自治体や学校ごとに定められていることが多いので、確認しておきましょう。一般的な気温・水温の数値基準の例は以下の通りです。

・水温:低学年や初心者は22~23℃以上
・気温+水温の合計:65℃未満
・WBGT値:31℃以上の場合は要注意

体温調整が未熟な児童の安全を守り、熱中症のリスクを避けるため、水温と気温に加えてWBGT値が判断の基準とされることもあります。WBGT値は「暑さ指数」とも言われ、気温、湿度、日射など周辺の熱環境を組み合わせて算出される、熱中症の危険度を判断するための指標です。また、注意報・警報の有無や風の強さなどの天候もプール学習実施可否の判断材料となります。

安全管理体制を確保するための条件

プール学習は他の体育の学習活動よりリスクが高いため、複数名の教員配置が基本となっています。よくある体制としては、授業者・補助教員・養護教諭(場合による)となっており、死角が生まれないように人員を配置します。緊急時にすぐに対応できる体制かどうかも重要であり、学習中はAED・担架等をすぐ近くに置いておくことや、緊急連絡体制を整えておくことも大切です。

水質・設備の状態に関する条件

プールの水質・設備の状態が整っているかも、プール学習実施のための重要な条件です。水質や設備は児童の安全につながるため、しっかりと確認しましょう。実施可能な水質・設備の状態について、文部科学省の「学校環境衛生管理マニュアル」(平成 30 年度改訂版)では以下のようなポイントが挙げられています。

・水中でプール壁面から3m離れた位置から壁面が明確に見えるくらいの水の透明度
・残留塩素濃度は0.4~1.0mg/L
・pH値は5.8〜8.6
・循環ろ過装置は正常に稼働しているか
・吸水口の蓋はしっかり固定されているか
・プールサイドに危険な箇所はないか
・はしご、手すりにぐらつきはないか
・シャワー、足洗い場に異常はないか
・水量、水深は適切か

プール学習のある日には、必ずこれらのポイントを確認することが重要です。

児童の体調の状態

プール学習は身体への負担が大きい活動のため、参加する児童の体調については、普段の体育よりも慎重に判断をする必要があります。参加する児童については、以下のような条件を確認すると良いでしょう。

・発熱、風邪症状がない
・腹痛、下痢、吐き気がない
・皮膚疾患が悪化していない
・目、耳、鼻の疾患がない
・女子の月経への配慮
・食欲がない、または朝食を食べていない
・花粉症などのアレルギー症状の有無

朝の状態が良好でも、直前になって体調が変化する場合もあるので、プールサイドで改めて体調を確認するようにしましょう。

プール学習を行うときには、天候・水質・児童の体調など、さまざまな点で注意が必要です。プール学習を一緒に行う先生と確認をとりながら、判断をするようにしましょう。

【学年別】小学校のプール開きと学習の流れ

プール開きの形式については、学校によって違いが見られますが、「ねらいの確認」や「安全指導」といった内容は、どの学校でも扱うことが一般的です。また、プール学習の流れは学年ごとの目標によって違いがあるため、それぞれの学年における目標と基本的な学習の流れを押さえておくことが大切です。ここでは、学年別にプール開きで行う内容の例とプール学習の流れをまとめていきます。

1・2年生は水に慣れることを中心に

1・2年生は泳ぎの技術を高めていくための土台づくりとして、楽しんで水に慣れることができるような活動を行います。楽しみながらスモールステップで水に親しむ体験を積んでいくことに重点を置きます。また、今後のプール学習にもつながるため、安全についての約束を丁寧に確認することが大切です。

(プール開き)
1・2年生では、「プールの安全な入り方」「プール学習での約束」を丁寧に伝えましょう。初回は心身ともに負担が大きいため、早めに切り上げることも多いです。整列時や入水時にバディシステムを取り入れる場合は、やり方を説明し、練習する時間を設けましょう。

(学習の流れの例)
①水慣れ(水のかけ合い、顔をつける、ワニ歩き、水中じゃんけん)
②浮く・もぐる(だるま浮き・伏し浮き・5〜10秒のもぐり)

3・4年生は基本的な泳ぎの技術を身に付ける

3・4年生はプール学習の基礎技術を固める段階になります。けのび・バタ足や水中での呼吸の仕方を身に付け、クロール・平泳ぎの泳法につなげていきます。児童によって技術差が大きくなる段階でもあるので、グループ分けでの学習を取り入れるのがおすすめです。児童のレベルに合わせて少しずつステップアップできるよう、学習を進めましょう。

(プール開き)
プール学習の基本的な流れと、安全の約束を確認し、バディシステムのやり方を伝えます。バディシステムは、お互いの体調変化を確認し合ったり、バディ同士で助言し合うことでスキルを高め合える良さがあります。初回にバディシステムのやり方と合わせて意味も伝えられるとよいでしょう。

(学習の流れの例)
①けのび・バタ足の習得(けのびで5〜7m・バタ足で10〜15m・姿勢の確認・足の動きのリズムづくり)
②呼吸の練習(顔上げ呼吸・横呼吸・息を吐く→吸うのリズム練習)
③クロール・平泳ぎの基礎(クロールの手のかき・横呼吸のタイミング、平泳ぎのキックの形・手と足のタイミング)

5・6年生はクロール・平泳ぎの完成へ

5・6年生は、中学年までに作ってきた基礎を土台に、泳力のさらなる向上を目指します。クロール・平泳ぎを習得するとともに、背泳ぎなどの新しい泳法や持久泳などに挑戦してみても良いでしょう。中学年時よりもさらに泳力差が表れる場合が多いので、段階別指導が取り入れられることが多いです。

また、安全学習としては、自身のプール学習での安全管理はもちろん、水難事故に対する知識や水中での安全確保につながる運動など、日常の中での水の安全についても取り扱うこともあります。服を着てプールに入る着衣泳を実施する学校も多いです。

(プール開き)
プール学習の基本的な流れと、安全の約束、バディシステムを確認します。自分の泳力や課題を把握し、目標を設定することもあります。

(学習の流れの例)
①基礎の確認(けのび・バタ足の再確認、クロール・平泳ぎのフォームチェック、呼吸リズムの安定)
②泳法の習得(クロールのストロークの効率化・横呼吸のタイミング・25〜50mの持続泳、平泳ぎのキックの推進力を高める・手と足のタイミングを整える・25m以上の安定した泳ぎ、背泳ぎの手のかきとキックのリズム・姿勢)
③クロールや平泳ぎを長く泳ぐ練習(50mの持久泳、ペース配分の学習)
④安全確保のための長く浮く練習(背浮き、浮き沈み)

担当学年の指導内容だけでなく、前後の学年の指導内容まで意識した指導を行うことで、系統性のあるプール指導を行うことができるでしょう。

プール開きで行うべき安全指導

プール開きで行う安全指導は、その後のプール学習での児童の行動につながる大切な指導になります。プール開きでの安全指導を丁寧に行うことが、その後の安定したプール学習につながり、児童も安心して授業に取り組めるようになるでしょう。ここでは、プール開きで行う安全指導について詳しくまとめていきます。

プールサイドでの行動ルール

プールサイドは、転倒・衝突・頭部外傷のリスクが高いため、行動ルールを徹底しておきましょう。基本のルールとしては「走らない」「押さない・ふざけない」「飛び込み禁止」「静かに行動」「一方通行」などがあります。学校の実態に合わせて合言葉などを作ると、児童が意識しやすくなります。

入水・退水のルール

入水・退水時は、水温差で児童が体調を崩しやすいため、ゆっくり行うことを徹底します。また、無断で入水・退水を行うと監視が追い付かなくなるため、先生の合図で行うようにすると良いでしょう。入水の基本として、まずプールの縁に腰かけ、「1(バンザイ)、2(身体の横に両手をつく)、3(身体を反転させる)、4(ゆっくり入水する)」といった掛け声で行うと良いでしょう。

体調管理の指導

プール学習時に、先生が児童の体調変化に気づけなかった、ということが起きないように対策しておきましょう。基本的な自分の体調管理は児童自身が行えるように、プール開きのタイミングで以下のようなポイントを確認するのがおすすめです。

・少しでも「寒い」「気持ち悪い」「苦しい」があったらすぐに言う
・我慢しない
・友達の異変に気づいたら先生に知らせる

バディシステムを取り入れて、バディの様子に気を付けるよう指導することも効果的です。

人数確認のルール

プール学習時には、事故防止のために入水前・水中・退水後の人数確認が重要です。人数確認を素早く行い、スムーズに次の活動に移れるようにするために、バディシステムを活用した人数確認のシステムを作っておくと良いでしょう。例えば、先生の「番号」の声掛けで前から順番に数字を言っていくなどの方法があります。

監視の先生の役割

児童の安全確保のために、先生や見守りの大人が複数人いたとしても、児童はその意味を理解できない場合があります。そのため、プール開きで監視を担当する大人の役割を伝えておくと、指示が通りやすくなる傾向があります。ポイントとしては、以下のような点があります。

・先生や見守りの大人たちは「みんなの命を守る人」
・見守りの人たちの指示は必ず聞く
・見守りの人たちの邪魔になることはしない

これらを伝えておくことで、プール学習における児童の安心感も高められます。

水の危険性

プール学習は水中で行うため注意が必要な活動ですが、児童はその危険性がイメージできない時があります。そのため、先生がプール開きの時間に水の危険性を具体的に伝えておくことが、安定したプール学習につながっていくでしょう。伝えるべき内容としては以下のような点があります。

・水の中では声が出せない
・苦しくても手を挙げられないことがある
・ふざけ行動は事故につながる
・友達を押すと命に関わる

水中だからこそ起こりうる危険を、児童がイメージできるように伝えることが大切です。

プール学習でのルールは、合言葉やハンドサインなど学校で引き継がれているものがある可能性があります。大切なルールはしっかりと毎年伝えるようにしましょう。あわせてルールの見直しや改善を行うことが、児童の安全につながる取り組みの一つといえるでしょう。

プール開きまでに先生が確認しておきたいポイント

プール学習は児童の心身への負担があり、安全面への配慮も求められるため、先生の役割が大切になります。そのため、プール開きの前に先生が確認しておきたいポイントや、指導の際に意識すべき点をそれぞれ詳しくまとめていきます。

安全管理のための役割分担

プール開きの前に、プール学習の監視者と授業者とで役割分担を行っておくことで、先生も児童も安心してプール学習に臨むことができます。決めておくとよい役割としては、学習中の監視体制と緊急対応時の体制があります。

【体制の例】

(監視体制)
・監視者(メイン):プール全体を陸上から俯瞰し、児童の動きの変化を最優先で観察する
・監視者(サブ):主監視者の死角を補い、児童の体調変化を細かく観察する
・授業者:監視者と連携をとりながら、全体指導を進める
・養護教諭や保護者:可能ならば必要に応じて配置し、体調不良者の対応を行う

(緊急時)
・救助者:水に入っておぼれた児童を救助する
・監視者:二次事故が生まれないよう、全体の監視を続ける
・連絡担当:職員室・管理職に連絡をする
・児童誘導:他の児童を安全にプールから上げ、誘導する
・記録:事故発生時刻や児童の状態など、事故記録を残す

プール学習時や緊急時に迷いなく対応できるよう、どの役割をどの先生が担当するか、体制をあらかじめ決めておきましょう。

授業運営の準備

プール学習を始める前に、プール学習での学年別のねらいや指導内容を整理し、授業の流れを決めておきます。グループ分けの基準や安全指導の内容についても、担当の先生の間で共有しておくことが大切です。また、プール学習時は水の音で先生の指示が届きにくくなるため、笛や手振りなど合図を決めておくと、スムーズに授業を進行できるでしょう。

また、授業前後の着替え場所の動線を確認しておくことも大切です。複数の学級で授業を行う場合は、プールサイドには何を持って行くのか、どれくらいの時間にプールサイドに集合するのかなど細かく見通しを持っておきましょう。

活動中に注意すべきポイント

プール学習の活動時には、「安全面」「学習面」「心理面」の3つの側面から、児童を見守り指導していきます。まず、プール学習の活動時には、技術指導など個別での指導もあり、視野が狭くなる場合がありますが、安全面の点から常に全体を監視する意識を忘れないようにしましょう。児童の位置を常に把握し、グループ活動中に1人だけ離れていないか、深い場所に泳ぎが苦手な児童が行っていないかなど、児童を注意深く観察することが大切です。

学習面では、グループ分けを適切に行い、成功体験を積ませていくことが重要になります。心理面としては、水が苦手な児童への配慮を行い、スモールステップで活動を進めることを意識すると良いでしょう。

プール学習では、他の学習活動と比べて先生や大人同士の連携が大切になります。プール学習に入る前や、プール学習の期間中など気づいたことはすぐに共有していくことが大切です。

安全に気を付けて円滑なプール開きにしよう

小学校のプール開きは、気温や水温が落ち着いてきた頃に行われることが多く、その時期は地域によって差があります。プール開きでは、安全指導や学年ごとの学習のねらいの確認などを中心に行うことが多いです。プール学習は、安全面への手立てが非常に重要であることから、先生も児童も安全への強い意識をもって取り組むことが大切になります。

プール開き前に先生のやるべき内容としては、プール学習のねらいと内容を確認し、流れを整理しておくことです。その中には、安全管理の役割分担なども含まれます。

この記事を参考に、プール開き前にやるべきことや指導の際に意識すべきポイントを確認し、安全で円滑なプール開きの参考にしてみてください。

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