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公開日:2026年04月22日  
更新日:2026年04月22日

最新時事から考えてみよう!「再生プラスチック」

この記事では、「再生プラスチック」の時事解説を小学校高学年~中学生にわかりやすく説明します。授業の合間に話すネタ、関連事項を解説する際の資料などとしてご活用ください。

廃プラスチックを利用する再生プラスチックに注目が!

ペットボトルや食品のパッケージ、ボールペンからゲーム機まで、私たちはプラスチックでできたものに囲まれて生活しています。プラスチックの原料は主に石油を精製したナフサです。さまざまな用途に利用できて便利なことから、大量に生産され、消費されてきました。しかし、石油資源には限りがあります。また、大量に生産されたプラスチックの廃棄が自然環境にあたえる影響が問題になっています。そうしたことから、一度使用されたプラスチックを再利用する取り組みが進められています。プラスチックを再利用してつくられた「再生プラスチック」とはどのようなものでしょうか。プラスチックによって起きている問題とあわせて調べていきましょう。

大量生産されたプラスチックが世界でごみ問題に

生活のあらゆる場所で利用されているプラスチック。その名称は「可塑性(固体に一定以上の力を加えて変形させることができ、力を抜いても元に戻らない性質)のある」を意味するギリシャ語“plastikos”が語源とされています。プラスチックにはさまざまな種類がありますが、熱を加えたときの性質から「熱可塑性樹脂」と「熱硬化性樹脂」の2つのタイプに分けられます。前者は熱を加えると何度でもやわらかくなって冷やせば固くなる、後者は一度固くなると熱を加えてもやわらかくならないという性質があります。身近なものでは「熱可塑性樹脂」はラップフィルムやビニール袋など、「熱硬化性樹脂」は食器やボタンなどに使用されています。

熱を加えることで薄くも厚くもできてどんな形にもできるプラスチックは、まさに万能の素材です。そのため、大量に生産され、消費されてきました。しかし、その結果、プラスチックごみも大量に発生しており、その影響が世界的な問題になっています。 ごみの投げ捨てなどで自然環境へ流出したプラスチックごみは、分解しにくいため長い期間にわたって残り続けます。そして地上だけでなく、海まで運ばれていき、そこで深刻な海洋汚染を引き起こしているのです。

経済協力開発機構(OECD)の2022年の報告によると、2019年の世界のプラスチックごみの発生量は3億5,300万トンで、そのうち2,200万トンが適切な処理をされずに自然環境に流出したと推計されています。また、1950年代以降に海に流出したプラスチックごみの総量は1億3,900万トンと推計されています。 なかでも5ミリ以下の小さなプラスチックをマイクロプラスチックといいますが、魚などが飲み込んで体内に取り込むと、それがめぐって私たちの人体にも影響を与えることが懸念されています。マイクロプラスチックには、もとから小さいプラスチックだったもののほかに、大きいプラスチックが摩耗や紫外線、風、波などの影響で小さくなったものがあります。マイクロプラスチックはごく小さいため、一度自然環境に流出すると回収するのが非常に難しくなります。

プラスチックごみの問題にはどのように取り組まれている?

プラスチックごみの問題を受けて、プラスチックの処理を適切に行うことが世界的に取り組まれています。2019年に開催されたG20大阪サミットにおいて、日本は2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにまで削減することを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を提案して、これが首脳間で共有されました。

その後、プラスチックごみによる汚染に関する法的拘束力のある条約の策定が進められています。

日本では、2022年4月にプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環法)が施行され、プラスチックの3R、Reduce(リデュース:ごみを減らす)、Reuse(リユース:繰り返し使う)、Recycle(リサイクル:再利用する)が進められています。

この法の施行によりプラスチックごみを適切に処理していくことに加えて、プラスチック製品の使用そのものを削減していくことや使用済みのプラスチックを再利用していくこと、代替製品を開発・利用することなどが取り組まれています。 プラスチックごみをリサイクルしていく方法としては、大きく分けて①マテリアルリサイクル、②ケミカルリサイクル、③サーマルリサイクルの3つがありますが、現状ではサーマルリサイクルが割合の多くを占めています。

マテリアルリサイクルプラスチックごみを原料としてプラスチック製品に再生する。
ケミカルリサイクルプラスチックごみを化学的に分解するなどして化学原料に再生する。
サーマルリサイクルプラスチックごみを固形燃料にしたり、焼却したりして熱エネルギーを回収する。

再生プラスチックとして新たな製品に

前述のとおり、プラスチックごみの再利用では焼却して熱エネルギーとして利用するサーマルリサイクルが多くを占めていますが、もう一度プラスチックとして使えるようにするリサイクルをもっと増やしていこうとする動きがあります。その一つが、再生プラスチックを利用する取り組みです。

再生プラスチックって何?

再生プラスチックとは、一度使用されたプラスチックごみを原料の一部として作られたプラスチック製品のことです。プラスチックごみの種類や用途に合わせて、前述したマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルの方法でつくられます。

マテリアルリサイクルではプラスチックごみの種類の選別や不純物除去の後、それを粉砕・洗浄したものやさらに粒状にしたものを原料として製品がつくられます。また、ケミカルリサイクルではプラスチックごみを一度化学的に分解し、元の原料にしてから製品がつくられています。

再生プラスチックの製品としては、コンテナやベンチ、土木建築の部材などのほか、ペットボトル、文房具・洗面器などの日用品、繊維製品などに生まれ変わっています。

前述したサーマルリサイクルは確かに大切な熱エネルギーにはなりますが、一度燃やしてエネルギーとして使用してしまうとそれでなくなってしまいます。一方のマテリアルリサイクルやケミカルリサイクルで再生プラスチックとして製品になれば、原料が再び活用できるのです。 プラスチックごみをサーマルリサイクルとして利用するよりも、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルとして活用したほうが二酸化炭素(CO₂ )の排出量の削減効果が高いという結果もあります。資源の有効活用だけでなく、CO₂ 削減の観点からも再生プラスチックの割合を増やしていくことは有効であると言えるでしょう。

自動車部品で再生プラスチックの利用を促進する取り組み

再生プラスチックとしてプラスチックごみを利用したほうが有効なことは明らかですが、一方でリサイクルにかかるコストが高いという問題もあります。そのため、現状では日本国内で出たマテリアルリサイクルの材料となるプラスチックごみや再生材料に加工されたものの約7割が輸出されています。

リサイクルコストを下げるなどして、国内で再生プラスチックの製品としてもっと活用していくことが課題とされています。

また、近年、世界的に、自動車に再生プラスチックを利用するための取り組みが進められています。

1台の自動車は約3万点の部品で構成されていますが、シートやシートベルト、ハンドルをはじめランプやバンパー、燃料タンクなど、部品全体の3分の1を占めるほどプラスチックが使われています。

プラスチックの資源を循環させていくことは世界的な課題であることから、EUでは段階的に自動車に使用するプラスチック部品の25%が再生プラスチックに義務化される見通しです。このような義務は、輸出される日本車にも適用されるので、日本のメーカーも再生プラスチックを部品に利用する体制をつくっていく必要があります。

このような状況を受けて、2026年3月、環境省は自動車向けに安定供給する目的で再生プラスチックの集約拠点を2027年度から順次整備する方針を示しました。現状では量の確保が不安定であることや品質のばらつきが大きいことなどに問題を抱える再生プラスチックの製造ですが、一元的に再生プラスチックの素材を集めて製品メーカーにおろしていくことで、高品質の再生プラスチックを安定供給できるようにしていくとしています。 自動車向けの再生プラスチックの製造体制を整備していくことで、国内で資源を循環させて再生プラスチック市場全体の拡大につなげていくことがねらいです。

ポイントを確認しよう

自分の身の回りからプラスチックが使われている製品を取り除いたら、どれだけのものがなくなるか想像してみてください。それほど、私たちの生活にプラスチックは密着しています。ですから、リサイクルできるプラスチックを増やせるようにするなど、使わなくなった先の有効活用についても考えてみましょう。ごみにするときに燃やすごみにしてしまったり、容器が汚れたまま出すことでリサイクルできなかったりリサイクルの手間になってしまったりすることがあります。限りある資源でつくられていることや、ごみとなったときにどうなるのかを考えていくと、私たちができることはたくさんあるのではないでしょうか。

※執筆:NPO現代用語検定協会

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