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公開日:2025年02月07日  
更新日:2025年02月07日

学習指導案の書き方~初心者から経験者まで使える完全ガイド~

「学習指導案、どう作ったらいいの?」
「押さえておくべきポイントは?」
授業に欠かせない学習指導案。作り方に悩む先生は多いですよね。

この記事では、学習指導案の基本から実践的なコツまで解説していきます。初めて指導案を作る先生はもちろん、長年教えてきた先生方にも新しい発見があるはずです。一緒に学習指導案作成のポイントを確認していきましょう。

学習指導案とは?

学習指導案は、授業を効果的に進めるための設計図です。ここでは、学習指導案の役割と基本的な構成について確認します。

学習指導案の役割

学習指導案の主な役割は以下の通りです。

1.授業のねらいと流れを明確にする

先生自身が、授業の目的と進め方をはっきりとつかめます。学習指導案を作っておくことで、その授業で達成するべきゴールを絞ったわかりやすい指導ができます。

2.指導方法をはっきり定める

具体的な指導の手順や使う教材を決めておくことで、事前に準備ができます。配慮が必要な児童への対応なども確認しておけるので、スムーズな授業進行ができるでしょう。

3.評価の規準を決める

児童生徒の学びの成果を評価する規準を前もって決めます。授業時間内で、なにをどのように評価するのかを定めておくことで、人や周りの環境に左右されない公平な成績評価を行うことができます。

4.先生自身の指導力を高める

学習指導案を作ることで、自分の授業を客観的に見直せます。日々の授業の計画・実践・ふりかえりを積み重ねることで、指導の腕も上がります。

5.他の先生と情報を共有し、協力する

学習指導案を使って他の先生と授業の内容や教え方を共有することで、学校全体の教育の質を高められます。

学習指導案の基本構成

学習指導案は主に以下の3つの要素で構成されています。ただし、記載すべき内容は自治体や学校によってもさまざまなので、確認をとってから作成してください。

1.基本情報

授業の基本的な情報(日にち、学年・クラス、教科名、単元名など)を書きます。学習指導案を見た人が、一目で授業の概要がわかるようにしておきましょう。

2.単元計画

長期的に見た学習の計画を示します。単元全体の目標や評価の規準、指導の計画などです。

3.本時案

1回の授業(1時限)の詳しい計画です。その時間の目標、学習活動の流れ、評価の方法などを書きます。

学習指導案に載せる内容は?

学習指導案は、授業をわかりやすく計画し、効果的に進めるためのツールです。授業の目的を明確にすることで、学習を最大限にサポートできるでしょう。以下で学習指導案に含めるべき主要な要素を説明します。

基本情報

基本情報として、まず以下のことを書きましょう。指導案の最初に明記し、一目で授業の概要がわかるようにします。

  • 日時:授業を行う日付と時間
  • 学校名・学年・クラス:対象となる学年とクラス
  • 教科名:授業を行う教科
  • 単元名:取り組む単元の名前

単元計画

単元計画には、以下の内容を記載します。

1. 単元目標

単元全体を通して生徒に身につけてほしい知識・技能・態度を書きます。

2. 単元の評価規準

目標達成度を測るための具体的な規準を決めます。

3. 単元設定の理由

どのような資質・能力の育成を目指し、どのような学習活動を行うか、単元全体のねらいや学習活動の概要を説明します。たとえば以下のような内容です。

〇単元(題材)観・教材観: 単元(題材)観では、学習活動を通したねらいや内容を記載します。

  • 単元(題材)の説明、選定した理由
  • 単元(題材)に対する考え
  • 単元(題材)を扱うことで期待される効果

学習指導要領の該当箇所を根拠にしつつ、本単元での活動概要を書きましょう。

〇児童観・生徒観:単元(題材)観に対して、児童生徒の実態がどのようなものなのかを記載します。

  • 単元(題材)についての興味・関心・意欲
  • 単元(題材)についての理解度、習熟度

単元・題材を進めていくうえでの前提となる児童生徒や学級の実態をまとめます。実態把握は、一人ひとりの児童生徒の具体的な資料に基づいて考察します。集団や個人の姿が具体的にイメージできるように記述しましょう。

〇指導観:児童観で書かれた実態と対応させ、単元(題材)で「どのような学習活動を行うのか」という意義やねらいを記載します。

  • 単元(題材)観と児童観、生徒観を踏まえた指導の重点・目標
  • 目標に対する手立てや指導の工夫
  • 学習形態や教員の支援

児童生徒のよさを生かす工夫や手立てを具体的に記述できるとよいでしょう。

4.単元の指導計画と評価計画

単元全体の授業の流れと、各時間の評価方法を示します。

本時案

本時案は、基本的には以下の要素を含めて記載します。

1. 本時の目標

この授業内で達成したい具体的な目標を書きます。

2. 本時の展開

授業の流れを時間順に詳しく書きます。

3. 時間配分

「導入〇分」「展開〇分」「まとめ〇分」のように、授業時間をセクションに区切り時間配分を考えます。

4. 学習活動と指導上気をつけること

児童生徒の活動内容と、それに対する先生の支援や注意点を書きます。

5. 評価規準

本時の目標と照らしあわせ、どのような観点で児童生徒の学習状況を評価するのかを記載します。授業内のどの場面で、どのような児童生徒の姿が見られると目標が達成できたと判断するのか、その根拠となる規準を評価の観点とあわせて示しましょう。

展開や活動内容は細かく書きすぎて融通が利かなくならないよう注意!大切なのは、子どもたちの活動と、それに対する支援をイメージすること。そうすれば、自然といい授業になりますよ。

学習指導案を作るステップ

では、具体的にはどのような手順で学習指導案を作ればよいのでしょうか。ここでは、学習指導案を作成する際の基本的なステップを紹介します。

ステップ1. 単元全体の計画を立てる

まずは教科書や学習指導要領を参考に、単元の全体像をつかみましょう。

  • 単元の主な学習内容を決める
  • 単元全体の目標を決める
  • クラスの実態などにあわせ、必要な授業の回数を見積もる
  • 児童生徒がすでに学んだことと、新しく学ぶ内容のつながりを考える

ステップ2. 本時の位置づけをはっきりさせる

単元全体の中で、この1時間がどんな役割を果たすかを考えます。たとえば、以下のような視点で授業を見てみましょう。

  • 新しい概念を教える
  • すでに学んだことの復習と応用
  • 技能の練習
  • 総合的な活動や発展的な学習

本時の位置づけをはっきりさせることで、先生にとっても、児童にとっても、わかりやすい指導計画が立てられます。

ステップ3. 本時の目標を決める

単元指導計画と評価計画で記載した各時間の学習内容・評価規準をもとに、本時の目標を設定します。

ステップ4. 学習活動を考える

配時、学習活動、学習形態、指導上の留意点、評価規準などを記載します。「各教科等の『見方・考え方』を働かせ、どのような資質・能力を、どのような学習活動を通して育成するのか」という視点から、授業1時間の学習活動を組み立てます。

  • 導入・展開・まとめの流れを意識する
  • 生徒が主体的に学べる活動を取り入れる
  • 個別学習、ペア学習、グループ学習など、さまざまな学習の形を適切に組みあわせる
  • ICTの活用など、効果的な教材・道具の使用を検討する

ステップ5. 評価方法を決める

目標の達成度を測る具体的な方法を考えます。評価方法には以下のようなものがあります。

  • 観察:生徒の活動や発言を見て評価する
  • ワークシート:書いた内容から理解度を評価する
  • 小テスト:知識の定着度を評価する
  • 成果物:作品やレポートから総合的に評価する

評価方法は目標や学習活動の特徴にあわせて適切に選びましょう。

ステップ6. 指導上の気をつけることを考える

生徒がつまずきやすい点、支援が必要な点を予想し、対策を立てます。たとえば、計画した学習活動を以下のような視点から見直してみましょう。

  • 生徒の既習事項や理解度にあわせた説明、サポート方法
  • 個人差への対応(補助教材の用意など)
  • 安全面への配慮(とくに実験や実習の場合)
  • 時間配分の調整方法

※学習指導案の作成例

評価は子どもたちの成長を確認するチャンス。テストだけでなく、日々の観察やワークシートなど、さまざまな方法で子どもたちの頑張りを見つけましょう。

より良い学習指導案を作るコツとポイント

基本的な作成ステップを押さえたら、次は学習指導案をより効果的にするためのコツとポイントを見ていきましょう。以下のポイントを意識することで、実践的で柔軟性のある指導案を作成できるでしょう。

生徒の実態にあわせる

生徒の興味・関心、学力レベル、生活経験などを考え、適切な難しさと内容を決めます。以下の点に注意しましょう。

  • クラスの特徴や雰囲気を反映させる
  • 個々の生徒の学習ニーズに対応する
  • 地域の特徴や今起きている出来事との関連を考える

生徒の実態にあわせた指導案を作ることで、生徒の学習意欲を高め、効果的な学びを実現できます。

具体的に指導方法を書く

具体的にどのような質問や指示を行うかを書きます。以下の点を心がけながら記載してみてください。

  • 質問の言葉を具体的に書く
  • 板書計画を含める
  • 予想される生徒の反応とそれへの対応を書く
  • 教材・道具の使用タイミングと方法を明記する

具体的に書くことで、他の先生が見ても授業のイメージがはっきり伝わります。また、自分の授業改善にも役立ちます。

評価の視点をはっきりさせる

なにを、どのように評価するのかを具体的に書きます。

  • 評価の規準と評価方法の対応をはっきりさせる
  • 観察の視点を具体的に示す
  • 評価のタイミングを明記する
  • 評価結果の活用方法を考える

はっきりとした評価の視点を決めることで、より客観的な評価ができるようになります。

基本を押さえたら、次は自分なりの工夫を加えていきましょう!

学習指導案で指導力をアップさせよう!

学習指導案は、わかりやすい授業を行うための大切なツールです。この記事で紹介した基本的な構成や作成のコツを参考に、指導案を作ってみてください。そして、実際の授業での経験を踏まえて、改善を重ねていきましょう。

一方で、完璧を求めすぎないことも大切です。生徒の反応は予測できない面もあり、臨機応変な対応が求められることもあります。指導案はあくまで道しるべであり、実際の授業ではクラスの状況に応じて柔軟に対応することを忘れずに。

さあ、この記事を参考に、あなたの理想の授業を実現する学習指導案を作ってみましょう。きっと、児童生徒たちの目が輝く素晴らしい授業ができるはずです!​​​​​​​​​​​​​​​​

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